烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

スタンプショウ2019(1)

2019-05-01 | 切手


若葉を潤す春雨の降る中、浅草へ。
今年もいよいよスタンプショウの時期がやってきた!「今年は休日に開催なのだなあ」と漠然とした印象しか持たずに会場へ向かう。が、しかしである。
予想だにしなかった大誤算がここで明らかになるのだ。

行列!!
かつてないほどの行列ができているではないか・・・。なぜだ?なぜこんなに駐車場にまで何列にもなる行列ができているのか!?
ここでもまだ私は薄ぼんやりとした思考しか働いておらず、列が進むにまかせて前進する。

「『おそまつさん』グッズ販売の最後尾はこちらです!!」
「宮内庁押印の方はこちらにお並び下さい!!」
あ・・・そういうことね。

そうだ、2日目の4月30日は「平成最後の日」であった・・・。
普段から押印にあまり食指の動かされない私は、この事態を全く想定していなかったのである。
切手収集の割と基本な部分、それが押印であると言っても過言ではない。
切手の発行日に押される「初日印」、有名な観光地で押してもらえる「風景印」、そして特別な日に押される「記念印」。
そう、この日は結構な特別な日であったのだ。
むしろ、通常は切手を収集しなくても「この日は特別だから」ということで、記念印に人々が殺到することぐらい、予想できたものを。甘い。推測の詰めが甘すぎる私であった。

いつものように4階の会場にご挨拶をして、つまりはぐるっと回ってから、5階のディーラーズブースへと向かおうと思っていたが、とんでもない事態になっていた。
「すみません、『公式ガイドブック』ください」
「申し訳ありません、ガイドブックは売り切れてしまって。スタンプラリーの用紙ならございます」
「・・・あ、いいです」
なんとなんと、「公式ガイドブック」が売り切れていたのである!!
これは緊急事態発生である。
楽しみにしていた「切手つかみ取り」ができない・・・。公式ガイドブックを持っている人の特典が、100g切手つかみ取りなのである。とほほ。
これはどうやら今年のキャラクター「おそまつさん」の仕業であるらしいことが後ほど分かるのである。


さて、気を取り直して5階へと向かう。
「きっと5階も大変な騒ぎだろうな・・・。やれやれ」
と思いきや、割と落ち着いた雰囲気である。ほっ。
人混みに若干酔い気味の私が、いささか朦朧として吸い寄せられたのが「中川スタンプ商会」さんのブース。「恐竜・古生物」のファイルが目にとまったのである。最初に捕獲したのがこちら!



面白いものが目にとまった。ちょっとコレクションに斜めな視点というか、変化を持たせてくれるような切手もたくさんあって、いきなり大漁である!!



「チェコ恐竜切手1994年3種完」は、前から欲しかったものだったのでかなり嬉しい。
三角形の恐竜切手や、カラフルな古生物切手のシリーズも面白い。
中でも「英領南極」の6枚組のシリーズは、南極大陸が2億8千万年前から現在に至るまでどのように移動したかを描いた、大変興味深い切手だ。
こちらのお店、クラシカルなものがそろっている上にどれも美品なので必ずチェックしているのだ。今年も美品の揃いが捕獲できて大満足である。


続いて5階会場をぐるぐると回る。
目を皿のようにして「恐竜・古生物」のバインダーを探す。と、なんとバインダー①~④と豊富に取りそろえてらっしゃるブースが!!
はるばる京都からいらっしゃった「フジスタンプ」さんである。実はこちらのホームページ、いつも拝見しながら「いいなあ」と思っていたのだ。ネットでも恐竜切手が大充実。
ブースでも4冊もバインダーをご用意下さっていた!!
早速机に向かって椅子に座り、じっくりページを繰る。
これもいいな、あれもいいな、と迷いながらも大興奮である。
おそらく外から見ればただバインダーをむっつり眺めているようにしか見えないだろう。
しかしである。その実、心は躍り上がらんばかりに興奮し、無数の恐竜切手からせいぜいその1割以下の枚数に絞り込まなければならないという重圧に押しつぶされ、頭は大パニックなのである。
「ああ、きっと皆さんもそうなのかな」
と、周りを見回し、ふとそんなことを思う。落ち着いてバインダーに向かっていらっしゃるように見えるおじ様方も、内心はうきうきわくわくなのであろう。
さて、私が苦しみにもだえながら絞り込んだのは、こちら!!



こちらは個性的な切手が充実しているブースで、去年も「おもしろ恐竜切手」(スティラコサウルス)を捕獲したお店である。
そして、今回も、去年に劣らず個性的で面白い切手が大量に発掘できたのだ!!是非とも一つ一つをご紹介していきたいのだが、今回の「スタンプショウ2019」の白眉はこちら!!



「恐竜切手の切手」である!!
一瞬見過ごしてしまうかと思う位、控えめな、落ち着いたデザインの切手である。
ところが、よくよく見てみるとなんと興味深い一枚であろうか!

過去に発行された各国の恐竜切手を図案化しているのである。通常の「切手の切手」、つまり、やはり過去に発行された有名な切手を図案化した切手というのは、結構人気のあるトピックなのだ。「切手の切手」を専門に集める方も少なくない。例えば外国でいうなら「ペニーブラック」というイギリスの超有名な切手を図案化したものが発行されているし、日本でいうなら「龍文切手」という日本で最初の切手を図案化した物などが発行されている。
つまり、切手の中に図案化されている切手は、オマージュを捧げられるような存在なのであり、つまりは重要な切手と言うことである。

この「恐竜切手の切手」も、そんな有名どころへのオマージュを捧げた一枚であるのだ。
恐竜切手収集家としてはこれは大発見の一枚であるといっても過言ではない。
「いや、こりゃいいもの見つけたじゃないの」
と、帰宅後にやつくこと、しきりであるのだ。


少しお昼には早いのだけれど、結構お腹が空いてきた。
今年こそは「神谷バー」へ!!と思っていたのだが、会場の人の多さに圧倒され、やや疲れてしまったので、11時半頃早々にお昼休憩を取ることにする。
4階の会場には、お弁当屋さんやお菓子屋さん、酒屋さんのブースが並んでいるのだ。ちょっと気になっていたお弁当屋さんへ。



普通のお弁当だとちょっと私には多いかな、というボリュームだったので、こちらのおにぎり弁当にする。
お弁当屋さんの前にテーブルと椅子が置かれているのでそこで休憩することに。
おじいさんが助六寿司を召し上がっている。お隣には別の人の荷物があったので、前の席に座る。
「こちら、よろしいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ」
紳士は快く席を勧めて下さる。
梅のおにぎりをほおばりながら、会場の熱気を観察する。梅干しの酸っぱさが疲れを癒してくれ、気分をさっぱりさせてくれる。
女子達が「おそまつさん」のスタンプラリーに長蛇の列。
斜め向かいにも老紳士が席を取り、同じおにぎり弁当を開いていた。
何となく、会話が始まる。
「今年はすごい人数だね」
「そうですね、驚きます」
と言うところから始まり、3人でお弁当をたべつつ、静かに会話。会場の騒ぎはBGMである。
やはり今年は元号の切り替わりということもあり、例年以上に盛り上がっているのだそうだ。「宮内庁」の出張押印には長蛇の列で、10:45の時点で締め切っているとのこと。
「押してあるものを販売するのもあるけど、自分で用意した紙に押印する人もいるから。スタンプ1個じゃどうしたって押す数に限界があるからね。それで締め切ったんでしょう」
と、助六寿司の紳士が仰っていた。
「今年の記念品もすごい行列だね。12時半頃、ダメ元で並んでみようか」
とおにぎり弁当の紳士。
「私は早々に諦めちゃいました」
と、頭を掻く私。
「平成最後の押印」は手に入らなかったけれど、会場の騒然とする熱気の中で、こんな素敵な出会いがあったことが、なんだかとっても嬉しかった。大先輩の収集家さん達とお話しできたことが、私にとっては「平成最後の」記念だったような気がする。
助六寿司の紳士が、
「私は植物切手の部会に入っていて、上でやってるから、良かったら見にいらして下さい。無料で切手差し上げてますから」
と誘って下さった。なんと、切手部会のブースの方にお会いするなんて、これはラッキー!! 各部会のブース、興味はあったもののどうアプローチしていいのか分からなかったので、千載一遇の好機である!


二人の紳士とお別れして、4階を何とかしてめぐろうとする。どうしても行きたかった「外国郵政」のブースへやっとの事で辿り着いた。


ということで、この続きは是非とも次回ゆっくりご紹介したい。

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