烏鷺鳩(うろく)

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世界初の古生物切手:インド 1951年 「地質調査100年」

2019-04-14 | 切手


体の半分の長さはあろうかと思われる、巨大な牙。現生のアフリカ象よりも長く伸びた牙である。
学名は「ステゴドン・ガネサ(ガネーシャ)」。「ガネサ」、つまり「ガネーシャ」は、ヒンドゥー教の象頭の神の名前である。
牙と牙の間が狭いために、鼻は左右どちらかに垂れ下がっていたのではないか、という復元に基づく図案である。
「自然界において、そんな左右非対称のアンバランスを常態とする生物がいるもんだろうか?」という疑問が沸いてくる。もしかしたら、もっと短くて平たい鼻が牙の上にきちんと乗っかっていた、なんていう想像だってできるはずだ。なんせ、鼻は柔らかいから化石に残らないのだ。



それはそうと、学名に「ガネーシャ」を入れた辺り、素敵なネーミングセンスを感じてしまう。ちなみにガネーシャは、シヴァ神の妻、パールヴァティが自らの垢と香油で作ったとされているが、「リグ・ヴェーダ」などの叙事詩には登場しないので、比較的新しい信仰だとされている。なんせ、20世紀になって映画の世界から生まれた女神様もいる位だから、歴史と共に新しい神様が生まれてきたとしても全然不思議ではないのが、インドのヒンドゥー教である。大変興味深い。


さて、肝心の1851年に行われたとされる地質調査についてであるが、情報を得ることができなかった。今後の課題である。
その代わりにと言っては何だが、ステゴドン科についての興味深い記事が見つかったのでご紹介したい。

第2回 実はゾウの楽園だった日本列島(ナショナルジオグラフィック)
さて、日本列島が、意外にも「ゾウの楽園」だったかもしれない話。

 まだ、今の形の「列島」になっていなかった多島海時代の1800万年から1600万年前には、ステゴロフォドンというゾウがいて、時代が下るに従って小型化していったという。

 そこから先、日本のゾウはどうなったのか。

 実は、よく分からないのだそうだ。なぜなら、1600万年前から600万年前までの間、ゾウに限らず陸の生き物の化石記録がほとんどないからだ。



「とにかく化石記録がないのでそこはすっ飛ばしまして、600万年ぐらい前になるとツダンスキーゾウというのが見つかります。アジア大陸に当時いたでっかいゾウなんですがそれが日本に渡ってきている。渡ってきた時点では、大陸と日本がつながっていたのかもしれないんですが、その後、しばらくまた切り離されて交流がない状態が続きます。それで、何百万年かにわたって日本で独自に進化していくんです。ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウという系列。ハチオウジゾウは2010年に命名されたばかりです。原始的なアケボノゾウという位置づけで別種にする必要はないという説もあるんですが」

この系列は、ゾウの系統でいうと、ステゴドンというアジアに広く分布していたグループだ。長く前に突きだした牙が特徴。牙と牙の間が狭くて、鼻が間を通らなかったのでは、と言われるものもある。前に出てきたゴンフォテリウムやステゴロフォドンよりは、現生のゾウに近いが、分類学的に言うと「ステゴドン科」として、「ゾウ科」と区別されるようだ。しかし、ここではほかにもいろいろな種類が出てくるので、分岐図を見て系統関係を理解した方がいいだろう。

「日本のゾウ」として関係してくるものとしては、まず原始的なゾウの先祖から、ゴンフォテリウムが分かれて、その後、ステゴロフォドンや、さらにステゴドンが出る。さらに、アジアゾウ類が分岐して、その先にマンモスの仲間と現生アジアゾウの仲間が分かれる。現生アジアゾウとナウマンゾウは、ほとんど「きょうだい」のような近縁だ。


ステゴドン科は、アジアに広く分布していた象の仲間であり、実は、あのマンモスよりも古い時代の生き物だということが分かり、結構驚いた。
正直、私はこの時代の生物達については、全く知識があいまいなのだ。
この奇妙な象の仲間をきっかけに、新生代の古生物についてももっと調べてみようと思った次第である。


【参考サイト・文献】
・ナショナルジオグラフィック「第2回 実はゾウの楽園だった日本列島」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140710/407028/
・『インド神話の謎』丸山勇・写真、佐藤和彦・文(学研、1998年1月26日)

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