烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

シルク・ドゥ・ソレイユ 「キュリオス」

2018-06-30 | 日記


太陽のサーカス、シルク・ドゥ・ソレイユを初めて観に行った!
サーカスは子どもの頃、従兄弟と伯父、父親の4人で観に行って以来である。
サーカスという言葉にはノスタルジックな響きがある。テントという簡易な小屋の中で、夢のような時間が流れる。ポップコーンにジュース。空中ブランコの離れ業、猛獣たちのコミカルな芸。


目指すはお台場である。



実寸大のガンダムがお出迎えである。こんなのが宇宙空間で戦っているのかあ。宇宙は無重力だから大丈夫なのか、などと考えながら通り過ぎる。


「キュリオス」開場までには時間があるので、ヴィーナスフォートへと向かう。



入ってすぐに、クラシックカーを展示していた!! すごい! ホンダのS800にはじまり、なんとMGのTCまで展示してあった!



シャレードの大型看板。こちらは切手がキーになる映画である。
昭和のレトロな街並みが再現され、懐かしのスポーツカーが並んでいた。



ウィンドーショッピングをして、いざ!お食事である。





本日のディナーは、レモネードと海鮮ばらちらしである。
ネタが思ったよりも新鮮で美味しかった。こちらはまぐろ丼のお店とRUBY CAFÉのメニューである。




さあ、おまちかねのサーカスの時間。
KURIOS -CABINET DES CUEIOSITES- .
「キュリオス」というのは、「好奇心」と「骨董品」を掛け合わせた意味だそうだ。
副題は「驚異の部屋」。15~18世紀にヨーロッパで作られた、世界の珍しい品々を集めた部屋のことである。
科学技術の黎明期に、人々が憧れていたものや、好奇心を持って迎えられていたもの、そうした象徴が至る所に装飾されている。真空管やアンテナ、大小様々の歯車、蓄音機。スチーム・パンクの世界観である。もう、それだけでわくわくしてくるのだ。


舞台の時計がゆっくりと動く。
11:11。
欧米では「願いの叶う瞬間」と信じられている、神秘の時間である。主人公のシーカーが、この願いのかなう1分の間に様々な冒険をするというストーリーだ。
次々に素晴らしい技が披露されて、息つく暇もないほどだった!私が特に気に入った演目をご紹介しよう!

★ロシアン・クレードル・・・男性が女性を空中に放り投げ、女性は様々な回転技を披露する。まるで、人間による空中ブランコだ。

★エアリアル・バイシクル・・・空中にぶら下がった自転車にのって、命綱なしで女性がアクロバット。はらはら・どきどきの空中技である。

★バランシング・チェア・・・ディナーのテーブルに男性が次々と椅子を積み上げてその上でポーズを取る。段々と高くなっていくその先を見つめると、なんと天井にもテーブルが逆さまに!まるで上下でかがみ写しになっているような、パラレルワールドを同時に見ているような、不思議な感覚になる。

他にも、ローラ・ボーラという驚異のバランス男が登場したり、トランポリンで天井にぶつかるくらいに人が飛び上がったり、開場も感嘆のため息が漏れっぱなしであった。



とうとうフィナーレ!最後の数分間だけ、携帯電話による撮影が許可された。出演者の皆さんに手を振りながら、写真を撮った。終わった後が、何だか切ない。
時計は11:12を指していた。



音楽もとっても素敵だったので、思わず記念にCD、その他色々購入。ガチャも回して一番欲しい「ビッグ・アイ」のマークをゲット! エアリアル・バイシクルの素敵なブックマークも購入した。


シルク・ドゥ・ソレイユは昔ながらのサーカスのお祭り騒ぎや、ノスタルジックな雰囲気を持ちつつ、様々な演目は最先端の技術と、なにより人間の驚異の身体能力によって成り立っており、間違いなく世界最高峰のサーカスなのだなあと感じた次第である。
久しぶりに、手に汗握るスリルと興奮を味わった。
夢のような素敵な時間だった。



【参考サイト】
・キュリオス公式サイト http://www.kurios.jp/index.html

さよなら、ペロリンガ!

2018-06-24 | グルメ


中野ブロードウェイの地下に、とっても素敵なカフェがある。



色の洪水、というよりも、「色の共存」である。
赤と黄色が仲良く同居。
紫とピンクが寄り添っている。
黄色と緑が肩を組んで。
そして金と銀がみんなを優しく見守っている。
そんな色達の共存、ユートピアの空間が、「カフェ ペロリンガ」である。


こんなにたくさんの色に囲まれていても、落ち着かないどころか、とっても落ち着く。
色とりどりの素敵な家具や雑貨は、オーナーさんが集めたもの。
どれも喧嘩せずに仲良く共存しているのが素敵なのである。




この席に座って、カラフルなソーダを飲んでいると、穏やかな気分になってくる。



真っ白な熊が見守ってくれている。




こちらの名物、「ペロタン」こと、美味しいチーズケーキである。今日はチョコレート・ペロタンの日であった。
下のタルト部分がビターで、レアチーズケーキ部分は濃厚なチョコレートの香り。大人の味わいである。一口一口、じっくり噛みしめながら、味わう。チーズの酸味とチョコの苦味、そしてその両方が繰り出す奥深い甘みのデュエットが、口いっぱいに広がる。この味、忘れない。

というのも、6月30日でこの空間とはお別れなのである。

オーナーの「のんたす」さんが体調を崩され、お母様の具合も悪いということで、カフェの営業が難しくなってしまったということである。
残念だけど、体が大事。そして家族が大事。介護となるとどうしても介護者が無理をするというケースが多い。昔、私自身も経験したのだけど、自分自身の生活とのバランスを保つのがとても難しいのだ。
のんたすさんには、くれぐれもご自身のお体を大切に、新しい生活を頑張ってください。


空間だけではない。訪れる度、店員さんの笑顔にもとっても元気づけられたのだ。
実は彼女、「けいとのまほうつかい」なのである。いつも素敵な色遣いのファッションと、かわいいヘアアクセサリーをつけてたわけだ。



彼女は、ばあばらさん。「みどろや」というブランドで、毛糸のエクステを手作りされている、アーティストだったのだ。帰る時にお話をして、かわいい名刺とステッカーを頂いた!

ばあばらさんの作品、色遣いが素敵で、とっても好き!! いつか、そういうアクセサリーを身につけてみたいものだ。


中野ブロードウェイに行くたびに楽しみにしていた「カフェ ペロリンガ」。もうこの空間は無くなってしまうけど、のんたすさんは、また違った形でペロリンガの復活を計画されているようである。
気長に、ゆっくり楽しみにしていますから!

さよなら、ペロリンガ!
そして、ありがとう、ペロリンガ!

沖縄 慰霊の日

2018-06-23 | 切手


今から73年前。1945年6月23日、組織的な沖縄戦が終了したとされる日である。
沖縄では県民の4人に1人が、沖縄戦によって命を落とした。
家族に必ず1人~2人の犠牲者が出たと想像すれば、戦争を知らない私達にとってより分かりやすいだろうか。おそらく、それ以上に身内を亡くした方々が多かったのだろう。そんなことが、現実に起こってしまったのである。


戦争とは、人が人の命を奪うことである。そこに大儀など無い。ただの国家をあげての人殺しにすぎない。
犠牲になるのは、戦争を言い出した本人ではない。必ず一般の国民達、すなわち我々のような名もない人間達が、平然と殺されていくのである。弱い物ほど犠牲となっていく。


今でも地球の何処かで戦争が起こっている。ニュース映像はもはや当たり前すぎて、驚きを覚えなくなってくるほどだ。感覚が麻痺してしまっている。戦争に対してだけではない。太平洋戦争後から現在も続く沖縄の基地問題に対しても、である。


きっと、そうやって感覚が麻痺したような雰囲気の中で、戦争への一歩が踏み出されているのだろう。ひとしれず、ひっそりと、でも確実に。


今日は、過去の悲惨な歴史が紛れもない現実であることに思いをめぐらせ、平和であることの尊さを確かめる日にしたいと思った。
戦争の犠牲になった方々―沖縄も現在の何処かでも―に祈りを捧げたいと思うのである。

切手の博物館 再訪

2018-06-20 | 切手


そぼ降る雨の中、目白の「切手の博物館」を訪れた。再訪である。ちょうど到着した時、郵便屋さんも博物館前に到着。ぐわしポストから郵便物を回収していた。こんな光景に出くわすなんて、ちょっとラッキーだなと思う。

前回、私はなんと博物館を見学せずにミュージアムショップとテナントショップを堪能して帰るという暴挙(「中国古生物切手(特22)とウドムルト共和国加刷切手」の回参照)に出たので、今度はきちんと博物館を見学してからショップに向かうことにした。






チケットがかわいい!目白だけに「めじろ」である。
ちなみに、このきれいなクリアファイルは、企画展の画像を受付でお見せして、頂いた物である。企画展のチラシの画像を印刷して持って行くか、スクリーンショットなどで保存して受付で提示すると、なんと記念品がもらえちゃう、とHPに書いてあったのだ。


4月4日~7月1日の企画展は、「チクタク・チクタク―時を刻む―」である。
学校の時間割のような構成で、「時」をテーマに様々な切手が展示してあった。非常に面白い。

◎1時間目「時間を観測する」
月の満ち欠け、動植物の生態などから時間を割り出す方法にまつわる切手や、日時計や天文時計の切手など。さらには、イギリスのエリザベス女王の様々な年齢の切手などまであった。

◎2時間目「時間を考える」
プラトン、アリストテレス、コペルニクスといった、「時」について思考していた人物の切手、時の流れを詠んだ和歌、時間がキーワードの物語などの切手。地球には3分間しかいられないウルトラマンの切手(20世紀シリーズ)も展示してあった。

◎3時間目「時計を作る」
機械式時計、ぜんまいや振り子、鐘楼や時計台、美しい時計の切手など。時計産業に関する切手もあった。

◎4時間目「時計を使う」
正解の標準時、日付変更線などに関する切手。スポーツやチェスの図案の中にさりげなく描かれている切手も。

◎5時間目「時間と郵便」
郵便業務、消印について。郵便を受け付けた日時を刻印しているため。

このように、「テーマティク」という切手収集のジャンルとして、「こんな風に発展して集めるのか」と、大変参考になった。
「時」がテーマだと、つい時計なんかに集中してしまいそうだが、時を詠んだ和歌、時について思考していた人物なんか、コレクションの幅を広げ、一層面白味を付加してくれそうだなあと感じた。
なるほど、こうやって発展させるのか。「恐竜」についても、もうちょっと幅を広げられそうじゃないだろうか。少し考えてみることにしよう。


有料スペースのミュージアムショップには、楽しい切手やグッズが並んでいる。
実は私は恐竜の他に、「文学」に関する切手も収集している。アイルランドから出ている「オスカー・ワイルド」の小型シートを見つけた時は小躍りしそうになった。ワイルドといえば、『サロメ』、『ドリアン・グレイの肖像』なんかで有名な作家だ。その人生も波瀾万丈で、なかなか興味深い人物なのだ。
スペインの「闘牛2種」も購入したのだが、これ「文学」に含んでしまえるのである。なぜかは今後をどうぞお楽しみに。


さて、ロータスフィラテリックセンターさんにお邪魔する。ちょっと馴染みになってきたのだ。顔を覚えられている。うれしい。
以前お邪魔した時に、「今度来る時には恐竜切手をさがしといてあげる」とご主人が言って下さっていた。その通り、今日は迷いに迷うくらい恐竜切手がわんさかあった。どれにしようかしばらく悩んで、小型シート2枚と、未使用の切手10枚を選んだ。本当は全部買い占めちゃいたい位ですよ。



というわけで、本日の漁獲である。ロータスフィラテリックセンターさんでは、ついに秘密の小部屋に案内していただき、面白い使用済み切手を発見!!例のごとく、小出しにご紹介していくつもりなので、お楽しみに。


今回はモナリザスタンプさんにお邪魔する時間が無かったのが残念だったが、またの機会を楽しみにしよう。
そして、ロータスフィラテリックセンターさんには、まだまだお宝が眠っていそうだということが分かった。
次の企画展が始まったらまた訪れたいと思う。次は「世界の鉄道」展(7月4日~9月30日)である。こちらも楽しみである。



【参考】
・切手の博物館 展示案内No.89

カンボジア 恐竜切手 1995年:多彩な角竜類(2)

2018-06-19 | 切手


セントロサウルスは、多彩な角竜類の中でも際だって複雑な、凝った作りのフリルを備えている。推定全長は4~5m、体重1~2トンである。

平均的な大きさの中型種である。フリルの縁がとげとげしている。また、フリル中央上端にある2対4本の突起(とげ)は曲がっている。目の上の角はごく小さい。(『ニュートン』p.127)

切手の図案だとちょっとわかりにくい部分なので、こちらの図を紹介したい。


『恐竜学入門』p.122

フリル中央部にある2対のトゲのうち、下側にある1対が手前に向かってくるりとカールしているのである。上側のもう一対が中央で上向きにとがっているのだ。
こうしたフリルの多様化については、次のような説がある。

より派生的なケラトプシダエ類になると、派手なフリルに加えて鼻角や後眼窩角まで発達させた。例えばカスモサウルスやペンタケラトプス、トロサウルスのように長いフリルをもったケラトプシダエ類であるカスモサウリナエ類では、フリルのディスプレイ機能がより強調されていただろう。対照的に、セントロサウルスやアヴァケラトプス、そしてパキリノサウルスのようなフリルの短いケラトプシダエ類であるセントロサウリナエ類はもっとサイのような外見をしており、おそらく対戦相手と互いに鼻角で組み合うことで、目や耳、吻部など体が被る損傷をなるべく減らすように闘争を行ったのだろう。(『恐竜学入門』p.122)




さて続いては、スティラコサウルスとトリケラトプスである。スティラコサウルスは推定全長4~5m、推定体重は1~2トンである。生息していたのは約7600万年前頃である。フリルの縁に、長いトゲが並んでいる。見た目がとっても派手である。かっこいい。

一方のトリケラトプスは推定全長5~9m、推定体重は4~8トンにもなる。角竜類で最も大きい部類である。6600万年前に生息していたので、恐竜絶滅の直前の時代に生息していたのである。
トリケラトプスは角竜類で最も進化した、容姿の洗練された種であったのではなかろうか。完璧とも言えるその形の美しさは、種として完成された美しさではないかと思ってしまうのだ。


ところで、角竜類は、アジアでプシッタコサウルスのような原始的な種類が生まれ、プロトケラトプスのようなネオケラトプシア類が生まれる。そしてこのネオケラトプシア類の段階で角竜類は北アメリカ大陸へと渡ったと考えられているのである。北米へと渡った種類は大きく2つのグループに分かれて発展した。

北米に渡った仲間のうち、祖先種のもっていたやや原始的な形態的特徴を保持していた系統はごくわずかであった。その他の仲間は、豪華で多様な、もっと大型で派手なケラトプシダエ類に含まれる二つのグループへと分岐していった。それはカスモサウルスを模式属とするカスモサウリナエ類と、セントロサウルスを模式属とするセントロサウリナエ類である。カスモサウリナエ類は巨大で幅広いフリルを発達させる傾向にあったことから、“長いフリルをもったケラトプシダエ類”ともよばれる。一方のセントロサウリナエ類はフリルが短い傾向にあったことから、“短いフリルをもったケラトプシダエ類”ともよばれている。(『恐竜学入門』p.121)

カンボジアの切手のうち、セントロサウルスとスティラコサウルスは「短いフリルをもった」セントロサウリナエ類である。トリケラトプスは「長いフリルをもった」カスモサウリナエ類に属するのである。


というわけで、このカンボジア切手、額面順に図案を並べてみると、角竜類の進化の歴史が辿れるようになっているのである。
ジュラ紀に現在のアジアで生まれた角竜類は、大陸の分岐にあわせたかのように北米へと渡り、めざましい進化を遂げたのである。現在でも新種の角竜類が相次いで発見されているようである。どんな個性的な姿をした角竜類が出てくるか、今後も非常に楽しみなのである。



【参考文献】
・『恐竜学入門』Fastovsky, Weishampel 著、真鍋真 監訳、藤原慎一・松本涼子 訳 (東京化学同人、2015年1月30日)
・『世界恐竜発見地図(ちしきのぽけっと 18)』 ヒサ クニヒコ 絵・文 (岩崎書店、2017年5月31日)
・『ニュートン(2015年10月号)』(2015年10月7日、ニュートン プレス)