Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

米EV・半導体産業、育成に遅れ 電池輸入7割が中国頼み

2024-08-17 16:20:43 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


バイデン政権はEVの生産や普及に力を入れてきたが、自国のEV産業の育成は進まない=ロイター

 

 

バイデン米政権が半導体や電気自動車(EV)の国産化を目指し、巨額の補助金拠出を定めた産業育成法を成立させてから2年がたつ。

国内外の企業がこぞって米国向け投資を表明したが、実際の生産活動は停滞が目立つ。サプライチェーン(供給網)からの「中国切り離し」も途上で、EV向けなどの電池では輸入の7割をなお同国に頼る。

 

バイデン氏は補助金拠出による産業育成を自身の経済政策「バイデノミクス」の中核に据えてきた。11月の米大統領選で、民主党政権が成果をアピールできるかは不透明だ。

バイデン政権は2022年、自国産業を育成し、台頭する中国に対抗する狙いで2つの法律を成立させた。

 

同年8月9日に半導体を対象にした「CHIPS・科学法」が成立し、同16日にEVや再生エネルギー設備の「インフレ抑制法」(IRA)が続いた。

気候変動関連と半導体関連の2つの法律で5000億ドル(73兆円)規模の予算を確保した。

 

巨額の補助金に引き寄せられ、国内外の企業が米国生産の強化に向けた投資を決めた。

米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)によると、24年5月時点で総額3820億ドルの投資表明があった。半導体が7割、EV・再エネが3割を占めた。

 

 

EVや半導体で計画遅延や縮小、中断も

足元では、投資計画の遅延や縮小、中断が目立つ。

EVでは、米フォード・モーターが中西部ミシガン州の車載電池工場の規模を縮小し、南部テネシー州のEV生産も延期した。韓国LGグループは西部アリゾナ州での電池工場建設を中断した。

 

半導体でも、台湾積体電路製造(TSMC)がアリゾナ州で建設する第2工場の稼働を従来の26年から27〜28年に延期した。

インテルも補助金の支給対象となるオハイオ州の工場新設が遅れている。

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=470&h=227&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=8a6c86a4ed0e5f1f1951b08236e5a8aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=940&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=eded9349d1bea9f820a0577148331c88 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=470&h=227&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=8a6c86a4ed0e5f1f1951b08236e5a8aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=940&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=eded9349d1bea9f820a0577148331c88 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=470&h=227&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=8a6c86a4ed0e5f1f1951b08236e5a8aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=940&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=eded9349d1bea9f820a0577148331c88 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=470&h=227&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=8a6c86a4ed0e5f1f1951b08236e5a8aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=940&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=eded9349d1bea9f820a0577148331c88 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=470&h=227&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=8a6c86a4ed0e5f1f1951b08236e5a8aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194407005082024000000-4.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=940&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=eded9349d1bea9f820a0577148331c88 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

バイデン政権は補助金をてこに新たな需要や雇用の創出を狙ったが、企業の現場では実態が目標に追いつかない状況が目立つ。

EVは米国販売が減速するなか、最大手テスラを含めたメーカー各社の事業採算が悪化。中国の低コスト車に対抗するのが難しいことが明らかになり、事業拡大のスピードが落ちた。

 

半導体は、技術者など人手不足が計画の足かせとなっている。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は8月中旬、CHIPS・科学法とIRAの成立初年度に発表された大型投資の4割が延期または一時停止されていると報じた。

 

 

太陽光パネルでは中国製を「迂回輸入」

企業の計画の停滞が目立つなか、国産化と「背中合わせ」の狙いだった供給網の中国依存からの脱却も滞りがちだ。

米商務省によると、EVや蓄電池に使うリチウムイオン電池は、24年1〜6月輸入額の70%を中国からが占めた。中国比率は23年(71%)とほぼ変わらず、20年(44%)から30ポイント弱増えたままだ。

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=443&h=596&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=805da8afbf6251c3449d9fc006926df9 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=886&h=1192&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c70c5135705828b074b3ca305455e7a1 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=443&h=596&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=805da8afbf6251c3449d9fc006926df9 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=886&h=1192&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c70c5135705828b074b3ca305455e7a1 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=443&h=596&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=805da8afbf6251c3449d9fc006926df9 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=886&h=1192&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c70c5135705828b074b3ca305455e7a1 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=443&h=596&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=805da8afbf6251c3449d9fc006926df9 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=886&h=1192&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c70c5135705828b074b3ca305455e7a1 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=443&h=596&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=805da8afbf6251c3449d9fc006926df9 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5194410005082024000000-6.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=886&h=1192&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c70c5135705828b074b3ca305455e7a1 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

中国からの電池輸入額は1〜6月は62億ドルだった。23年は130億ドル。22年比で4割増え、過去3年では6倍となっている。IRA成立後も輸入は増加基調にある。

IRAで税額控除対象となった太陽光パネルでは、中国製品が東南アジア経由で入ってくる「迂回輸入」が問題となった。

 

 

米国ではこの2年間で、太陽光など再生エネで300ギガワット分の発電計画が表明された。

4700万世帯の家庭の電力を賄える規模だが、太陽光パネルは米国生産が遅れ、輸入に頼っている。従来、主流だった中国からの直接輸入は高率な関税で減ったが、東南アジア諸国連合(ASEAN)からが急増した。

 

24年6月は輸入の8割がASEANからだった。PIIEのカレン・ヘンドリックス上級研究員は「中国系企業が東南アジアを経由することで関税を回避している」と指摘する。

米当局は状況を懸念し、東南アジア4カ国からの輸入製品に対する関税の免除措置を6月に終了した。

 

 

供給網刷新に向け、支援内容にも懸念

CHIPS・科学法とIRAによる支援の内容が「脱中国」に向けた供給網の刷新には不十分との見方もある。

米国での電池工場新設を一部延期したパナソニックエナジー北米法人のアラン・スワン最高経営責任者(CEO)は、電池の部材や原料を含めた供給網の確立を巡り「中国は10年先を行っている。簡単に追いつけない」と話す。黒鉛やリチウムなど電池資源はなお中国が世界市場で圧倒的なシェアを握っている。

 

 

半導体についても、CHIPS・科学法の補助対象は、インテルやTSMC、韓国サムスン電子など大手の大型工場が大半だ。材料や製造装置など生産に不可欠な裾野企業が十分な支援を受けられていないとの見方が少なくない。

米半導体装置大手アプライドマテリアルズは7月、見込んでいた補助金を得られない見通しだと報じられた。

 

バイデン氏が推し進めてきた主力産業の国産化は途上だ。同氏の後を継ぎ、共和党のトランプ前大統領と選挙戦を戦うハリス副大統領は近く、自身の経済政策を公表する。

気候変動対策に関してはバイデン氏より急進的だという見方がある一方、補助金政策を大幅に変える可能性は低いとの観測がある。

 

バイデン政権は産業育成法による雇用創出を訴えるが、投資や生産の勢いが鈍っている状況を踏まえれば、ハリス氏が政策の成果をどこまで有権者に訴求できるかは未知数だ。

中国製品に高関税を課すことを強調するトランプ氏は、国内産業を保護・育成する方針ではバイデン政権と共通している。

 

ただし、気候変動対策を巡ってはバイデン政権の政策を「詐欺」と評している。トランプ氏が再選すれば、IRAの枠組みが骨抜きになる可能性がある。

12日夜にテスラのイーロン・マスク氏と対談したトランプ氏は、EVについて「あなたの製品は素晴らしい」と持ち上げつつも「地球温暖化という言葉を使うのは少し問題がある。全ての地域が暖かくなっているわけではない」と話した。

(ニューヨーク=川上梓、シリコンバレー=清水孝輔、ワシントン=八十島綾平、ヒューストン=花房良祐)

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

山本真義のアバター
山本真義
名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科電気工学専攻 教授
別の視点

米国カリフォルニア州が1990年に導入したZEV規制の流れを受けて、同州は2035年までに州内のガソリン車やHEVなどの新車販売を全面禁止する規制案を決定しています。

すなわち、同州の方針として電気自動車を強力に推進しながらもそれらを支えるバッテリーの70%は中国製に頼ることになります。

米国は中国と政治的に距離をおきながらも、米国の大学の半導体工学分野で博士号を取得した中華系学生たちは台湾のTSMCやデルタ電子、中国本土のテック系企業へ就職しており、米国は足元の技術系領域における求心力を急速に失っています。

今、米国は彼らが掲げるゼロエミッション社会の理想と現実の狭間で、揺れ動いています。

 (更新)
<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="44850" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":44850,"expert_id":"EVP01192","order":1}">いいね36</button>
 
 
 
 
 
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
分析・考察

半導体はともかく、電池について中国に頼らざるを得ない。

欧米では、中国政府の補助金が問題視されているが、アメリカ政府も巨額の補助金を拠出している。

おそらく中国自身文脈で考えて、補助金は産業構造の歪みをもたらしている。

しかも、太陽光パネル製造やEV車のように不当競争が起きている。

それでも、今からアメリカが製造業を強化するのは不可能と思われる。

アメリカがすごいのはイノベーションの力である。中国を脅威と考えれば、インドなどを新たな世界の工場として育成しないといけない。しかし、時間がかかる

<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="44844" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":44844,"expert_id":"EVP01105","order":2}">いいね52</button>
 
 
 
 
 
米大統領選2024

2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

続きを読む

 

 

日経記事2024.08.17より引用

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。