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EVワイヤレス給電「究極の姿」へ 電池依存脱却なるか

2024-06-27 15:26:33 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


EVワイヤレス給電協議会が発足(写真:日経Automotive)

日経クロステック

「(走行中の車両に給電する)『DWPT』をやらないと日本は滅びる。こう考える同志がたくさんいることを世の中に示す」。

強い言葉で訴えたのは、「EVワイヤレス給電協議会」の会長に就任した堀洋一氏(東京理科大学教授)である。

 

同協議会は、電力会社や自動車メーカー、電機メーカー、ゼネコン、商社など55社が参画して2024年6月10日に発足した。

関西電力ダイヘン、シナネン、三菱総合研究所、米ワイトリシティの5社が幹事会員を務める。

 

オブザーバーとして、経済産業省や国土交通省、環境省の関係部局、大学や学会など19団体も名を連ねた。

協議会の名の通り、電気自動車(EV)向けワイヤレス給電技術の実用化や普及を促進し、社会インフラ化を推進することを目指す。

 

 

 

「コストが合わず見送った」トヨタ

ワイヤレス給電は、無線で電力を供給する技術の総称である。停車中の車両の蓄電池にワイヤレスで充電する「SWPT」と、走行中の車両に給電する「DWPT」に大別される。

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停車中と走行中に大別されるワイヤレス給電(写真:日産自動車、イスラエル・エレクトレオン)

 

 

技術開発で先行するのはSWPTだ。日本の自動車メーカー各社は10年代の前半から中ごろにかけて、電動車両向けのワイヤレス給電機能を積極的に開発していた。

試作車両を公開し、実証実験を精力的にこなした。それでも、実用化の壁は高かった。

 

「コストが合わず、トヨタ自動車は採用を見送ったようだ」。事情を知る関係者からこう聞いたのは、16年のことだった。

同年に発売したプラグインハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」に、オプション装備として用意する方向だった。その後、ドイツ自動車メーカーによるSWPTシステムの発売や、SWPTに関する国際標準規格の策定などがあり、製品化の土台が整いつつある。

 

それでも、現時点では普及には至っていない。ワイヤレス給電の動向に詳しい三菱総合研究所モビリティ・通信事業本部モビリティ戦略グループ主席研究員の高橋香織氏は、「コストの課題が依然として残っている」と話す。

解決策の1つとして考えられるのが、トラックやバス、タクシーといった商用車への展開だ。「自家用車だとEV1台のために自宅にワイヤレス給電機設備を導入する必要があり割高だ。商用車なら、複数のEVで給電設備を共有できる」(同氏)

 

EVワイヤレス給電協議会としては、SWPTを「当面必要な通過点」(堀氏)と位置付ける。まず、SWPTによって充電の利便性を高め、EVの普及を支援するという。

堀氏は「DWPTが究極の姿」と力を込める。走行中のEVに電力を供給できるようになれば、「車載電池の搭載量を劇的に減らせる」(同氏)ためだ。

 

自動車メーカーがSWPTの開発を競っていた10年代は、充電の手間を減らすことに主眼が置かれていた。だが、最近ではEVに搭載するリチウムイオン電池の容量を削減できるという価値に注目が集まる。

堀氏は、「EVに使われるリチウムイオン電池はクリーンでも脱炭素でもなく、地政学的な問題もつきまとう。(原材料を含めた

)電池の国内生産はほぼゼロ。電池依存からの脱却が重要だ」と電池生産時の課題を強調する。この他、コスト面でも、高価な電池を減らせれば車両価格の削減に直結する。

 

 

トヨタ・デンソーがイスラエル社と提携

DWPTの実用化に向けて、日本ではいくつかのプロジェクトが動いている。トヨタとデンソーは23年3月、DWPTの技術開発で先行するイスラエルのエレクトレオンと共同開発することで合意した。

既に、トヨタの多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」のPHEVを改造し、走行中給電できる車両を試作済みだ。

 

東京大学などの大学や企業11団体は23年10月、日本では初となるDWPTの公道での実証実験を開始した。

対応車両2台を用意した他、東京大学柏キャンパスの最寄り駅であるつくばエクスプレスの「柏の葉キャンパス駅」近くの交差点に送電コイルなどを埋設した。

 

25年国際博覧会(大阪・関西万博)でも、DWPTシステムを搭載したEVバスを走らせる計画だ。

同プロジェクトを担当する1社が関西電力で、EVワイヤレス給電協議会の幹事会員にも名を連ねる。同社執行役常務の槇山実果氏は「大阪・関西万博での実証実験に向けて準備を進めている」と話す。

 

海外でもDWPTのプロジェクトが各地で予定されている。三菱総研の高橋氏によると、「日本よりも大規模な予算の実証プロジェクトが、ドイツや米国を中心に続々と始動している」という。

 

 

個社での対応・相談に限界

DWPTの社会実装に向けて重要になるのが、標準規格の策定である。

大規模実証を進める欧米との規格競争、あるいは協調に向けて、「個社では対応できない課題が顕在化してきた」(EVワイヤレス給電協議会の事務局長を務めるダイヘン技術開発本部インバータ技術開発部長の鶴田義範氏)。

 

DWPT開発に取り組む国内メーカーの担当者は「個社で関係省庁へ相談に行っても相手にしてもらえない」と明かす。

EVワイヤレス給電協議会によって日本の産業界として意見を集約し、産官学の連携を促す。

 

堀氏は「特に官に強いリーダシップを発揮してもらいたい。DWPTのインフラを実現し、世界に手本を示したい」と意気込む。

(日経クロステック/日経Automotive 久米秀尚)

[日経クロステック 2024年6月13日付の記事を再構成]

 

 

 
 
 

 

 

 

日経記事2024.06.27より引用

 

 



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