26日、ナゴルノカラバフを逃れアルメニア国境までたどり着いた避難民ら=ロイター
【イスタンブール=木寺もも子】
アゼルバイジャンに事実上降伏した形の係争地、ナゴルノカラバフのアルメニア系住民支配地から、アルメニア本国に避難民が殺到している。
26日までに2万人を超えたもようだ。同日には300人超が死傷する爆発も起きるなど混乱が広がっている。
タス通信はアルメニア政府報道官の話として、既に2万270人が同国に到着したと報じた。住民の総数は約12万人に上る。
アルメニアに向かう道路は避難民で渋滞しており、人数はさらに膨らむ可能性がある。アルメニア政府は全避難民を受け入れる姿勢を示している。
25日夜にはナゴルノカラバフの燃料貯蔵施設で爆発が起きた。アルメニア系の当局者によると、少なくとも20人が死亡したほか重傷者を含む290人のけが人が病院に搬送された。
爆発の原因は明らかになっていない。燃料を求める人が押し寄せていたとの情報もある。
ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領だが、ソ連が崩壊した1991年以降、多数派のアルメニア系住民が「ナゴルノカラバフ共和国」を名のり、事実上の独立状態を維持してきた。
その後、軍事力を蓄えたアゼルバイジャンは2020年の紛争で一部を奪還し、今月19〜20日の軍事作戦で「首都」ステパナケルトも陥落。「共和国」側が武装解除するなどの条件で停戦した。
アゼルバイジャン政府はアルメニア系の住民の安全を保証して自国に統合するとしているが、長年の紛争で両者の間の不信感は根深く、どれだけの住民が残るかは不透明だ。
日経記事 2023.09.27より引用