日本製鉄によるUSスチール買収を巡る米当局の判断は大統領選後に持ち越される公算が大きくなった
日本製鉄が23日までに米鉄鋼大手USスチール買収計画の審査について対米外国投資委員会(CFIUS)へ再申請したことがわかった。関係者が明らかにした。
従来の審査期間は23日までだったが、再申請により審査期間は90日間延びる。買収の可否を巡る判断が米大統領選後になる公算が大きくなった。
CFIUSは8月に経済安保上の懸念があると日鉄に伝えた。買収計画が米国の鉄鋼生産能力の削減につながり、関税引き上げの阻害要因になりえると指摘していた。
9月上旬にはバイデン大統領が経済安保上の理由から買収中止を命じる方向で調整に入ったと欧米メディアが報じた。買収成立が危ぶまれたが、日米の経済界から大統領選を巡る政治的な判断への懸念の声が上がった。その後日鉄幹部がCFIUS高官と面談し、再申請などについて話し合ったとみられる。
全米鉄鋼労働組合(USW)は日鉄の買収に反対している。この組織票を念頭に民主党候補のハリス副大統領や共和党候補のトランプ前大統領が、買収への懸念や反対の声を出してきた。
11月5日の大統領選後の判断となれば、USWと両陣営の関係が薄まり、政治リスクの軽減につながる可能性がある。
2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、大統領選挙を控えた米国で政治問題となり、先行きが注目されています。最新ニュースと解説をまとめました。
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