【ワシントン=坂口幸裕】
米民主党のハリス副大統領は6日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで演説した。「赤い州から青い州まで、すべての人に手を差し伸べると約束する」と表明し、党派を超えた米国の団結をめざす姿勢を強調した。
米国は二大政党のシンボルカラーにちなんで呼ばれる民主が強い「ブルーステート(青い州)」、共和が優勢の「レッドステート(赤い州)」に大別される。勝利政党がたびたび入れ替わる「スイングステート(揺れる州)」が選挙結果を左右するため、両党は激戦州として重視する。
ハリス氏は6日、激戦州のひとつであるペンシルベニアを訪れ「すべての米国人を代表して選挙戦を展開している。当選すれば、すべての米国人のための政治をする」と強調した。
共和党のトランプ前大統領について「我々のキャンペーンはドナルド・トランプに対する戦いだけではない。未来のための戦いだ」と訴えた。
「まだ高すぎる物価を下げ、家庭の生活費を引き下げることでより良い生活ができる未来のために戦う」と話した。
選挙戦から撤退したバイデン大統領が繰り返し唱えてきた中間層への支援で経済を底上げする姿勢も示した。
ハリス氏は6日、大統領選をともに戦う副大統領候補に中西部ミネソタ州のティム・ワルツ知事を選んだ。ペンシルベニアを皮切りに、5日間で6つの激戦州を一緒に訪れる。
ワルツ氏とは「中間層が強くなれば米国は強くなり、中間層を強化することを明確な目標にするなど多くの意見が一致している」と唱えた。
ハリス氏は西部カリフォルニア州で検事だった経歴を振り返り、詐欺や性犯罪などの犯罪者と対峙してきたとし「トランプのような人間をよく知っている」と明言した。有罪評決を受けたトランプ氏との対決構図を明確にする狙いがある。
ワルツ氏は演説で「トランプが復帰のチャンスを得れば、彼は(大統領在任中の)4年前と同じことを繰り返すだろう。今回はもっともっとひどいものになるだろう」と指摘。
トランプ氏が返り咲けば社会保障やメディケア(公的医療保険)を削減し「中流家庭の負担を増やす」と決めつけた。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、現職のバイデン大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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