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ロスチャイルド財閥-288 バルフォア宣言

2023-12-31 21:23:21 | 国際政治・財閥

 

 

 

・ロスチャイルド財閥ー287 現代イスラエルの父 エドモン男爵
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/98f678cce4f844772b3706edce01a021

からの続き

 

 

 

エドモン男爵が慈善家の立場を崩さなかったことにはいくつかの理由があります。 それは「ユダヤ定住の父」と呼ばれて慕われることに喜びを見出していたためであり、また最初、匿名で援助したことからも分かるように、ロスチャイルド家として出来るだけ表面にでないように心がけていたためでもあります。

イスラエル国家の建設を目指す『シオニズム』そのものが、ロスチャイルド一族にとって受け入れ難いものだったのです。

 

・ロスチャイルド財閥ー220 シオニズム運動
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/9a6c68c76fcb17fc31f4be46f4d932d8

 

国境を越える国際金融資本、多国籍企業であるロスチャイルド家にとって、国家を作って国境に閉じこもろうとする民族主義は本質的に矛盾する考え方だからであります。

また『シオニズム』が各地での反ユダヤ主義を激化させて、それぞれの国でせっかく獲得したユダヤ人の権利を台無しにしてしまうことも懸念されたからです。

 

己を語らず、政治的運動に巻き込まれて国際経済活動の自由を損なうことは避けなければならないいと考えるロスチャイルド家のなかで、エドモン男爵の行動そのものが例外的でした。

ロンドンのロスチャイルド家の人々などは、当初ヘルツェルらに会おうとさえさせず、『シオニズム』に反対するための組織を作ったほどであります。

 

しかし、20世紀に入って、ロシアとその支配下の東欧で鎮まるどころか激しくなる一方の『ポグロム』の嵐が吹く中で、ロンドン・ロスチャイルド家の当主、ナサニエルは次第に考えを変えて祖国建設運動に理解を示すようになり、イギリス政府の説得に動き出していました。

1914年7月に火を噴いた第一次世界大戦は、ユダヤ人にとって非常な苦痛でしたが、未曽有のチャンスでもありました。

パレスチナは、オスマン帝国の領土であり、そこに独立した祖国を建設するというユダヤ人の夢は帝国が崩壊しなければ実現し得ないものでありました。

それがオスマン・トルコがドイツと結んでイギリス、フランスの連合軍と敵対したため、帝国解体の可能性が出来、世界中のユダヤ人は色めきたったのです。

 

まず、オスマン・トルコ領であるパレスチナに住むユダヤ人は、ドイツと結んだトルコの兵士として、イギリスなど連合軍と戦わなければなりませんでした。

その一方で、トルコが敗北して解体されるところに祖国イスラエル建設の可能性があると考えるユダヤ人いたことも事実です。

ユダヤ人の一部は、秘密部隊を作り、スパイ網を編成してあらゆる手段でイギリスを助けました。

こうして開戦早々に、エジプトを抑えてスエズからパレスチナに進撃するイギリス軍に加担したユダヤ人と、トルコ軍としてのユダヤ人は、同じ民族同士で銃撃戦を行わなければならなたのです。

イギリス側のスパイとしてパレスチナのトルコ軍の動向を伝えるために働いた人のなかには、エドモン男爵が目をかけて農業の専門教育を受けさせたアロン・アーロンソンがいました。

スパイ組織は摘発されてユダヤ人はトルコ政府に徹底的に弾圧されましたが、この協力もあってイギリス軍はパレスチナをトルコから奪うことに成功し、ついに「イスラムによるエルサレム支配」は終わりを告げたのです。

開戦前に、パレスチナ在住のユダヤ人は8万5000人でしたが、戦争が終わった1918年には5万6000人に減っていたと言います。

この戦争も終わろうとする1917年11月2日、ロンドンの二代目ロスチャイルド卿(1868~1937)のウォルター・ロスチャイルドは、外相バルフォアからの手紙を受け取りました。

先代ナサニエルは戦争中の1915年に亡くなり、男爵位と上院議員ポストは博物学者ウォルターにバトンタッチされていました。

 

「陛下の政府(イギリス政府)はパレスチナにおけるユダヤ民族のためのナショナル・ホームの建設を好意を持って見ており、政府はこの目標達成が促進されるよう最善の努力をするものである」


「バルフォア宣言」と呼ばれるこの手紙は、単にロスチャイルド卿らの働きかけによる産物ばかりとは言えません。 イギリス政府には、なによりもその年4月に参戦したアメリアのユダヤ人の支持を取りつけたいという思惑がありました。 

また不安定な中東地域に親英的なユダヤ国家を持つことは、長期的に何かと好都合であろうというイギリスの帝国主義的な戦略的発想もあったと思われます。

宣言の内容は、国家をホームとするなど『シオニスト』たちが望んでいたものより後退したものでしたし、その後に存在が明らかになった、トルコ降伏後のパレスチナを含む中東地域における影響圏をフランスと取り決めた秘密協定である「サイクス・ピコ秘密協定」とも矛盾するものでした。

バルフォア宣言より前の1916年5月、イギリスとフランスは極秘に中東の勢力圏の取り決めを行。っていたのです。

それでもロスチャイルド卿ウォルターを議長に、ロンドンのオペラ座でイギリスのユダヤ人大会が開催されて、バルフォア宣言は正式に発表され、世界中のユダヤ人を勇気づけました。

そしてパレスチナへの移住に向かう大きな波が起きることになります。

 

しかし、戦争の熱狂が覚めると、各方面からユダヤ国家への反発が起こり、イギリス政府は言葉を左右するようになり、パレスチナはひとまず国際連盟によってイギリスの委託統治領とされるに止まりました。

 

 

(関連情報)


・ロスチャイルド財閥-280 ユダヤ人差別という宿命https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ebb8c4fc7c78defcb59d4ea79147bf59

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