中国の董軍国防相㊨と握手する木原防衛相(1日、シンガポール)=代表撮影・共同
【シンガポール=田島如生】
木原稔防衛相は1日、訪問先のシンガポールで中国の董軍国防相と会談した。中国による沖縄県尖閣諸島周辺や南シナ海での挑発行為に「深刻な懸念」を表明した。日中防衛当局の対話の重要性は確認した。
木原氏が2023年12月に国防相に就任した董氏と会談するのは初めて。中国の公船が日本領海侵入を繰り返す尖閣周辺を含む東アジア情勢や、中国とロシアの軍事面の連携を例示し「日中間に多くの懸念が存在している」と指摘した。
中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題も話し合った。木原氏は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調した。
董氏は「台湾は中国の内政問題」という従来の主張を説明し、日米などの関与をけん制した。
木原氏は中国がフィリピンと領有権を争う南シナ海の問題にも「深刻な懸念」を伝えた。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射を強く非難し、中国に朝鮮半島情勢の緊張緩和に向けた役割を果たすよう求めた。
日中の防衛当局が23年5月に運用を始めたホットライン(専用回線)も話題になった。海空域での偶発的な衝突を避けるため、適切に運用していくと申し合わせた。
木原氏は「日中間に懸念があるからこそ、防衛当局間で率直な議論を重ねるのが重要だ」と呼びかけた。董氏は「日中は互いにパートナーであり、脅威にならないという政治的合意を実践すべきだ」と言明した。