米南部テキサス州と国境を接するメキシコの町で、亡命審査を待つ子どもたち
(3月、メキシコ北東部ピエドラスネグラス)
【ニューヨーク=朝田賢治、野一色遥花】
中南米や中東、アフリカの権威主義国を離れて国外に脱出した難民・亡命希望者が2023年末時点で過去最多の2400万人にのぼることがわかった。
政治的な締め付けや貧困・格差が背景にあり、自由を求め欧米へ逃れる動きが目立つ。世界規模でかつてない人口の大流動が広がっている。
日本経済新聞が国連経済社会局、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民データベースを分析した。
英エコノミスト誌が算出する「民主主義指数」に基づいて59カ国の「権威主義国」を抽出し、それぞれの国から逃れた人を集計した。
権威主義国から国外へ避難した難民・亡命希望者は最新統計の23年末時点で2407万人にのぼる。
避難民の数はシリア内戦が激化した12年ごろから急増し、22年は難民登録者の増加数が306万人と過去最多になった。
避難民にはシリアやアフガニスタンなどから戦乱を逃れてくる人のほか、中南米からメキシコ経由で米国に不法入国し、拘束された人も該当する。
母国に戻ったり渡航先の国籍を得たりすれば統計から外れる。
武力紛争発生地・事件データプロジェクト(ACLED)によると、23年の世界の紛争は22年比で12%、過去5年間では22%増えた。
ロシアによるウクライナ侵略の長期化や23年10月から続くイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘も難民を生み出す原因になっている。
民主国への流入、10年で3.5倍に
従来は紛争や迫害のない国内の別の地域か近隣諸国へと退避する例が多かった。最近は安定した生活を求め、米欧などの民主主義国へと渡る長距離移動が目立つ。
背景には強権各国で広がる経済の失敗や社会の混乱がある。
南米ベネズエラは実勢を無視した物価統制や為替管理を繰り返し、23年末時点の亡命流出者は世界最多の100万人超にのぼる。
カリブ海の社会主義国キューバや、ギャングが政治の実権を握るハイチも経済の混乱が止まらない。
21年にバイデン米政権が誕生すると、中南米諸国からの亡命希望者が殺到するようになった。メキシコとの国境に壁をつくったトランプ前政権から一転し、移民受け入れに当初寛容な政策をとったためだ。
中国やロシアからの脱出者も相次ぐ。中国からは23年末時点で12万人、ロシアからは9万人の亡命流出者がいる。
出身国でともに上位20位以内と、内戦で政情が悪化するエチオピア、スーダン、ソマリアといったアフリカ諸国に並ぶ。
中国は不動産バブルが崩壊し、当局が体制批判を厳しく取り締まる。ロシアはウクライナ侵略を始めた22年以降に徴兵を逃れて西側に避難する人が急増した。
民主主義国の保護を求める人は23年末で634万人と10年前と比べ3.5倍に増えた。脱出者全体に占める割合は過去最高の26%になった。行き先の半分は米国が占める。
SNSなどのネット情報を駆使して脱出ルートや支援者を探し、米欧にたどり着くケースが多い。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のヒロシ・モトムラ教授は「難民や亡命者は圧政だけでなく、経済的な理由と子どもの人生の機会を考えて出国に踏み切る」と説明する。
多くが米欧の民主国をめざすのも「経済環境と保護制度が充実しているからだ」と話す。
史上最大規模の人口流動
難民・亡命希望者に出稼ぎなど自発的な移住を含めた移民全体に広げても、過去最大規模の人口移動が起きている。
世界の移民数は欧州で産業革命が広がった19世紀半ば以降に増加した。第1次世界大戦直前の1901年〜10年には合計で約2700万人超がアメリカ大陸など他国に渡った。
89年のベルリンの壁崩壊、91年の旧ソ連崩壊後は東欧から多くの人が就業機会などを求めて西側に移った。
2016〜20年の移民の数は5年間で3200万人に達した。イリノイ大学のマイケル・ジン准教授は「(難民急増を受けた)ここ10年間の人口移動は100年前の大移民時代、
旧ソ連が崩壊した1990年代の混乱期をしのいで過去最大の規模とスピードで進んでいる」と分析する。
受け入れ国側にも反作用
こうした動きは受け入れ側の民主主義国にとっても治安悪化など反作用が大きい。移民の増加で雇用機会が減ったり、住宅補助などの負担が増したりしている地域も多い。
バイデン米大統領は4日、メキシコからの不法越境者が1日平均2500人を超えた場合、難民申請を受理せずメキシコや本国に即時送還する大統領令を発令した。
米税関・国境取締局によると、メキシコ国境で拘束した不法越境者は23年に254万人にのぼった。多くが中南米からで、中国出身者も増えている。
メキシコからの越境後に米国境警備隊の施設に移送される亡命希望の移民ら(4月、カリフォルニア州)
欧州でも移民を巡って各国の世論が揺れている。
11年に中東シリアで内戦が起き、多くの避難民が欧州各国に押し寄せた。先行して受け入れてきたドイツを中心に、各国で移民排斥を掲げる極右政党が勢力を伸ばしている。
大規模な人口移動は労働力の流出と体制の不安定化につながり、長期的に権威主義国が被る打撃は大きい。一方で受け入れ国側でも人種・宗教間の対立や失業、住居費の上昇といった問題を招き、歴史的に国際社会の混乱の原因にもなってきた。
足元の難民と亡命者の急増も各地で波紋を広げている。各国とも新たな人口の大移動に手をこまねいたままでは、世界にさらなる分断の火種を広げかねない。
調査概要国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民データベース「Refugee Data Finder」、英エコノミスト誌が算出する2023年の民主主義指数を使い、権威主義国からの脱出者数を推計した。
エコノミストは指数に基づき、世界の167カ国・地域を「完全民主主義」「弱点のある民主主義」「中間体制」「権威主義」の4つに分類している。
権威主義は59カ国あり、それぞれの国を逃れた難民と亡命者の数を難民データベースで抽出した。その上で完全民主主義、もしくは弱点のある民主主義と認められる74カ国へ逃れた人数をクロス集計した。
長期的な移民統計の分析は歴史学者・故アダム・マッケオン氏の論文などを参考にした。国連経済社会局、世界銀行のデータをもとに長期トレンドを比較した。
データの扱いや分析の視点については、米アメリカン大学のエルネスト・カスタニェダ教授、米イリノイ大学のマイケル・ジン准教授らの助言を受けた。
分析・考察
移民が増えると、国際政治は荒れがちです。文中も言及がある1901~1910年あたりはヨーロッパのカトリック系、それからロシア帝国内からのユダヤ系住民が急増し、人種差別、反ユダヤ主義につながり、クー・クラックス・クランなどの人種主義団体の活動の活発化、悪名高い排日移民法を含む移民規制法制に繋がりました。
排除されたのはアジア系だけではありませんでした。その後しばらく、中立主義と国際関係からの孤立主義の時代が続きました。
その意味で、トランプ主義が出てくる土壌は当時と似ていると言えます。歴史はくりかえして欲しくないですが、意識して対策を考える必要があります。
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日経記事2024.06.08より引用
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移民と言っても、人それぞれ。 本国で生活苦に困り、社会保障をもとめてくるアフリカ系移民は困ったものですが、アメリカの例をとると、アップル創業者のスティーブ・ジョブズはシリア系難民だし、そのたユダヤ系の多くの人が科学技術、IT、金融、財界で大活躍をしている。
という私も。オーストリアに必要な人材として、欧州のグローバル企業が国に申請し、移民じゃないけど高優遇で就労VISAを取得できた。 留学生・奨学金制度も人それぞれで、無知な阿呆ミジンコたちが日本人は奨学金は個人の借金とデマを流しているが、実際私の子供は返済不要の奨学金月20万円国からもらい、ポスドク状態でも返済不要の奨学金+研究費年100100万円もらっていた。 最も帝国大学の博士ですが。 結局は人それぞれ、日本の国にとって有用なじっぶつを選別して、受け入れたり、奨学金を与えればよいだけの話。
何事も、人それぞれという事を忘れて、実社会で認められないお馬鹿の評論家・学者・コメンテーターの話を鵜呑みにしてはいけない。 本当に価値があるなら、有名なシンクタンクが採用しているはずであるからである。 しょうもない名のない有料サイトに面倒見てもらっているだけでアウトの評価でよいと思う。
何でも予想通りだったと、自慢しているが、それなら銀行から借金でもしておお金持ちになっているはずである。これを信じる阿呆ミジンコがいること自身信じれないが、これまた問題。 儲けはなしをしてきたら、アホみたいに有料サイトにお金を払うのではなく、お金を100万円貸してあげるから年10%でよいから金利を付けて返却してくださいと契約すればよいさけの話である。
ミジンコ脳のアホは、お馬鹿な儲け話を信じて、有料サイトの責任のない商品にお金何万円もドブに捨て、結局貧乏から抜け出せないのが現実でしょ。 もういい加減にわかりなさい!