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安保理、ガザ新停戦案の履行要請 米提出・ロシアは棄権

2024-06-11 17:17:03 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


10日、安保理は米国提案の決議を採択した(ニューヨークの国連本部)=ロイター

 

【ニューヨーク=三島大地、佐藤璃子】

国連安全保障理事会は10日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスに新たな停戦案の履行を求める決議案を採択した。両陣営が決議案を受け入れるかは不透明だ。

ロシアは当初反対するとみられていたが、棄権に回ったことで採択につながった。ガザでの人道危機が深まるなか、国際社会が一定の協調を示した形で、イスラエルの孤立がより際立つ結果となった。

 

理事国15カ国のうち、日本を含む14カ国は賛成に回った。決議案を提出した米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「安保理はハマスに明確なメッセージを送った。

イスラエルはすでにこの取引に合意しており、ハマスが合意すれば、きょうにも停戦に至る可能性がある」と強調した。

 

ロシアは停戦手続きが不透明であるとして、採決を棄権した。

ロシアのネベンジャ国連大使は「(拒否権を行使しなかったのは)アラブ世界が決議案を支持しているからだ」と述べた。ロシアは当初、反対に回るとみられていた。

 

米英仏ロとならぶ常任理事国である中国は賛成票を投じた。米国の提案にはロシア同様に反対や棄権で応じるケースが多かったが「これ以上の戦闘を止め、人道的な大惨事を軽減するためだ」(傅聡国連大使)と説明した。

新停戦案は、5月31日にバイデン大統領が明らかにした。パレスチナ自治区ガザでの武力衝突を止めるための3段階の工程表が柱となっている。

 

第1段階はガザの人口密集地からのイスラエル軍撤退を含む6週間の停戦に入る。米国人を含む一部人質も解放する。

第2段階はハマスによるすべての人質解放とイスラエル軍の全面撤退を進める。第3段階でガザの復興計画に移る。

 

今回安保理が採択した決議は「イスラエルが受け入れた新たな計画を歓迎し、ハマスにも受け入れるよう求め、両当事者に対して遅滞なく無条件で完全に履行するよう促す」としている。

決議案は、交渉に6週間以上かかる場合でも、交渉が続く限り停戦が続くとも強調した。会合後、パレスチナのマンスール国連大使は「停戦を皮切りに決議が履行され、恒久的なものになることを望んでいる。

 

イスラエルに課せられているのは決議を履行し、直ちに停戦を実施することだ」と語った。

もっとも、イスラエルの出方は不透明だ。米国はすでにイスラエルが新停戦案に合意したとしているが、ネタニヤフ首相は「バイデン氏の説明には重要な要素が欠けている」と軌道修正している。

極右政党「ユダヤの力」出身の閣僚も、新停戦案を受け入れれば連立政権を崩壊させると圧力をかける。

 

安保理での決議案の採択後、イスラエルの代表は「ハマスの軍事力と統治能力を解体し、人質を取り戻すまで立ち止まらない」と述べ、戦闘継続の可能性を示唆した。

23年10月の戦闘開始以降、安保理はガザでの戦闘停止を巡り計4本の決議案を採択してきた。だが、ラマダン期間中の停戦を求める決議など一部は完全に履行されず、ガザに住む多くの人々がイスラエルによる空爆などに脅かされてきた。

 

イスラエルはこれまで入植地の建設停止を求める非難決議や占領地からの撤退要求決議に従ってこなかった。安保理は国連機関で唯一、法的拘束力のある措置を実行できる。

シンクタンク「国際危機グループ」のリチャード・ガウエン氏はイスラエルが決議を履行しなくても「(後ろ盾である)米国が制裁措置に同意する可能性は非常に低い」とみる。

 

ハマスが決議に従わない場合は「米国はハマスへの制裁を求めるかもしれないが、ロシアやアラブ諸国は距離を置くだろう」と指摘する。

「本日、安保理は(ガザにおける報復の)悪循環の終結を強く望んでいることを表明した。決議案が採択されたいま、この機会をとらえなければならない」。日本の山崎和之国連大使はこう訴える。

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席フェロー

分析・考察

バイデン大統領は6月7日にフランスを訪問して、第二次世界大戦の帰趨を決めた上陸作戦が行われたノルマンディーで恒例の演説を行い、ウクライナ支援に対する米欧の結束を訴えました。

フランスのマクロン大統領を始め、欧州の首脳と会ったバイデン氏は、ガザでのイスラエルの軍事作戦への米国と欧州との立場の乖離が、ウクライナ支援の結束を維持する上でも、障害になりかねないことを実感したと思われます。

その意味で、ガザでの停戦について、安保理決議において、とりあえず米欧の足並みが揃ったことは良い知らせだと思います。また、米欧の結束を望まないロシアが棄権する意味もわかります。

 

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植木安弘
上智大学特任教授

分析・考察

今回の安保理決議は米国が発表した3段階の工程表に基づいているが、新停戦案が前進しない状況下で法的拘束力のある安保理決議を通してイスラエルとハマス双方にさらなる圧力をかける意図がある。

エジプトやカタールがハマスの説得にあたり、ブリンケン国務長官もネタニヤフ首相と会談。

イスラエルは戦争の目的は変わっていないとして攻撃を継続しているが、安保理で猛反対はしておらず、少なくとも第1段階は実施可能とみているのではないか。

あとは戦時内閣の極右を説得できるかである。

ハマスも自らのサバイバルのためには早期に戦争の終結が必要。まずハマスがこの新停戦案の受け入れを発表すればイスラエルも対応せざるを得なくなる。

 
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イスラエル・ガザ情勢

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日経記事2024.06.11より引用

 

 


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