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資産運用、銀行・証券動く 家計資産2000兆円を投資へ

2023-10-03 22:36:28 | 日本経済・金融・給料・年金制度


討論する(右から)三井住友・太田氏、野村・奥田氏、みずほ・木原氏、大和・中田氏、三菱UFJ・亀澤氏(3日、東京都千代田区)

 

3メガバンクと2大証券のトップが金融の役割を議論する「金融ニッポン」トップ・シンポジウム(日本経済新聞社主催)が3日、開かれた。

家計に滞留する現預金を投資に回し、企業の成長を後押しするには、運用力の強化が重要だとの意見が相次いだ。


シンポジウムは「貯蓄から資産形成、銀行・証券が果たす役割」をテーマに議論した。日本の家計の金融資産残高は6月末時点で2115兆円。

5割超が金利がほとんど付かない現預金だ。インフレが続けば現金の価値は目減りし、家計にとっても日本経済にとっても大きな課題となる。


野村奥田氏「代替投資に拡大余地」

投資を呼び込むには魅力のある商品を増やすことが求められる。野村ホールディングスの奥田健太郎社長は「各社が同じような商品を並べており、とがったところがない」と指摘した。

対応策として、不動産やインフラといったオルタナティブ(代替)運用強化を挙げた。海外の有力投資家と比べて日本の機関投資家は代替資産への資金配分が小さく「拡大余地は大きい」(奥田社長)

オルタナティブ運用は米KKRなど海外勢が先行しており、政府も海外勢の参入を促進するため「資産運用特区」を設ける計画を掲げる。

大和証券グループ本社の中田誠司社長は「プレーヤーに厚みが出れば、必然的に正しい競争環境がつくられる」と期待を示した。


大和中田氏「法人税率、参入の壁」

中田社長は海外勢の誘致を巡る課題にも触れた。海外勢にとっては「もうかるかどうかが一番重要だ」と述べ、シンガポールや香港などと比べて高水準の法人税率が参入の壁になりかねないと指摘した。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など、国内の年金基金が運用会社に対して支払う手数料率が海外と比べて低い問題があると述べた。

手数料率が低い背景に、日経平均株価などの指数に連動する「パッシブ運用」の割合が大きいことを挙げ、市場平均を上回る成績をめざす「アクティブ運用」の拡大も呼びかけた。海外勢の参入はアクティブ運用拡大にもつながると指摘した。


三菱UFJ亀澤氏「M&Aを活用」

三菱UFJフィナンシャル・グループでは海外の運用会社や資産管理会社を相次ぎ買収している。

亀澤宏規社長は「M&A(合併・買収)を含めてやっていきたい」と意欲を示した。資産運用、管理の分野での収益の比率を倍増させていく考えも示した。

2024年には新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まり、個人の資産運用への関心が高まっている。亀澤社長は「社会的使命としてグループ全体で推進していく」と話した。

三菱UFJ信託銀行やauカブコム証券などと連携を深める。具体策としてグループ合同でのセミナーの開催やプロジェクトチームの組成をあげた。


三井住友フィナンシャルグループはNISA口座を5年間で4.5倍の510万口座に増やす目標を掲げた。3月に始めたスマートフォン上の総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の会員数が半年で100万人を超えたことも明らかにした。

太田純社長は「資産運用に向けたエントリーのバリアーを低くすることに役立っている」と自信を見せた。

太田社長は「駅前の一等地に支店を持つ必要はない」と語り、約400ある支店のうち6割程度を小型店舗にする考えを示した。平日の夕方や土日でも開いているショッピングモールに設置する構想も披露した。

 

 

 

みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は銀行や証券、信託、運用の連携を課題に挙げた。国内では高齢化が進み、資産形成だけでなく、資産承継の相談も重要になっている。

「今まではバラバラだったが、持っている機能を顧客に説明し、ニーズを拾い上げて、最も見合った機能を提供することが重要だ」(木原社長)

貯蓄から投資を促すためには魅力のある投資先企業を増やす取り組みも併せて必要になる。みずほは中堅・中小企業に対しても投資銀行サービスを提供し、成長を後押しするとした。


三井住友太田氏「日銀の選択肢広がる」 

足元の金融市場では円安とインフレが同時進行する構図が続く。日銀が追加の金融政策の修正に踏み切るとの観測が絶えず、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの姿勢が続くかも焦点となる。大手金融機関の首脳からはリスクを含めて先行きを注視する発言が相次いだ。

三井住友の太田社長は「日銀が金利の正常化に向けてアクションをとる環境は整いつつある」と強調した。

米欧の景気減速の懸念が弱まっているとの見方を示した上で「日銀が取り得る施策・オプションは昨年度の今ごろよりずいぶんと広がった」と話した。


みずほ木原氏「物価見通し、楽観視できず」

物価の動向に警戒感を示す発言も出た。みずほの木原社長は「物価の見通しを楽観的に見ていないかが気になる」と述べた。「物価の上昇は続いていく可能性がある。

マイナス金利の修正がいつか起こったときにどういう反応をマーケットがしてくるかは要注意だ」と説明した。

大和の中田社長は金利の上昇について「社債市場は金利が上がっても市場機能が復活するほどワークする。コンスタントに発行は増えると想定している」と言及した。

環境や社会の課題解決につなげる事業に使途を限定する社債「サステナビリティーボンド」の発行増にも期待感を示した。

三菱UFJの亀澤社長は「日米の金融政策の方向性はだいたい見えてきている。タイミングや時間軸が重要だ」と発言した。

野村の奥田社長はインフラなどオルタナティブ資産への投資などを念頭に「金利水準にかかわらず、個人や機関投資家が多様な商品を運用するニーズが広がる」と説いた。


鈴木金融相「ガバナンスの改善必要」

鈴木俊一金融相は「金融ニッポン」トップ・シンポジウムで「成長と分配の好循環を実現するには資産運用セクターの抜本的改革が不可欠だ」と述べた。

大手金融グループに対し「資産運用ビジネスの経営戦略上の位置づけを明確にしながら、運用力を高めてガバナンスを改善・強化していく必要がある」と話した。

政府は家計金融資産の半分以上を占める現預金を成長投資に振り向け、成果を家計に還元しながら資産形成を促しつつ、さらなる投資にもつなげようとしている。

大手金融グループには「中長期の資産形成に資する商品の組成や提供、人材育成を含めた運営体制の整備を進めてもらいたい」と話した。

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「金融ニッポン」トップ・シンポジウムであいさつする
鈴木金融相(3日、東京都千代田区)

 

 

資産運用立国に向けた施策を検討する場として、政府の「新しい資本主義実現会議」の下に「資産運用立国分科会」を設置する。

「有識者の意見を聞きながら関係省庁と密接に連携して政策プランを年内に策定する」と述べた。

世界の金融センターとして機能を評価したり、比べたりする上で「多くの人が納得できる信頼度や透明性の高い指標が存在しない」点を課題にあげた。

「研究機関において新たな指標の策定が進められている」として、新指標などを参考にしながら「国際金融センター構想を推進していきたい」と語った。

 

 

日経記事 2023.10.03より引用

 

 



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