インタビューに答えるスペイン経済・通商・企業相のカルロス・クエルポ氏
スペインのクエルポ経済・通商・企業相は、欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に追加輸入関税を課すと決めたことを受け「対中関税の拡大は避けなければならない」と述べた。
中国との貿易戦争を回避する努力をしていると明らかにした。
「欧州企業が公平に競争できないケースがある」とも話し、中国との関係強化と欧州の産業保護とのバランスが重要だと訴えた。
都内で日本経済新聞の取材に答えた。中国はスペインにとって欧州域外で最大の貿易相手国だ。中国がスペインに対し、EUが関税問題を議論する際の交渉役を果たすよう求めているとの指摘がある。
クエルポ氏は対中関税の拡大阻止への働きかけを「出来る限り行う」と強調した。一方で中国政府の補助金を受けた安価なEVが流入し、EU市場で競争を不当に阻害していることを問題視した。
中国政府による助成は有害で「補助金の引き上げは許されない」と主張した。
クエルポ氏は中国EVの欧州域内生産については「スペインの技術や産業の発展に貢献する」と歓迎した。
追加関税を避けようと、中国車大手によるEVの欧州域内生産の機運が高まる。奇瑞汽車は4月、スペイン企業と共同で同国でのEV製造販売に乗り出すと明らかにした。
中国はEU産の豚肉とその関連商品を対象に反ダンピング(不当廉売)調査を始めた。
EUによるEV追加関税の対抗措置とみられる。クエルポ氏は「EUを通じて中国との貿易戦争をいかに回避できるかを模索している」と語った。
スペインはEVの製造・開発で欧州拠点となることを目指す。
欧州からの資金を使った投資プロジェクトで、スペインを欧州のEVハブへ成長させる狙いだ。クエルポ氏は「31億ユーロ(約5400億円)の公共投資が行われ、うち約3分の2がすでに支出された」と話した。
(三好博文)
日経記事2024.07.11より引用