三菱HCキャピタルは海上コンテナに2000億円を投資する
三菱HCキャピタルは2024年中に、リース用の海上コンテナに約2000億円を投資する。発注規模は業界内で今年最大となる見通しだ。
中東情勢の緊張を受け、コンテナ船が紅海・スエズ運河の通航を回避する影響で輸送日数が長期化し、足元ではコンテナの需給が逼迫している。世界の海上貿易量も堅調に推移している。
発注は年初から既に実施した分と12月末までの分を合わせて約2000億円。23年12月末時点の保有数(約330万個、20フィートコンテナ換算)のおよそ2割に相当する約70万個となる。
このうち9割は常温で生活用品や工業製品を運ぶドライコンテナだ。生鮮食品や医薬品などを運ぶ冷蔵コンテナも発注する。
三菱HCキャピタルは海上コンテナのリースで世界4位の13%のシェアを持つ。コンテナは傘下の米コンテナリース会社CAIインターナショナルが発注し、欧州やアジアなどの海運会社を中心にリースする。
世界の海上コンテナは全体の5割をリース会社が保有しており、海運会社は市況などを見極めてリースで調達している。
英調査会社ドゥルーリーによると、24年の世界のコンテナ生産量は20フィートコンテナ換算で前年比約2.5倍の578万8000個に達する見通しだ。
新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で輸送量が伸び、コンテナ市場が活況となった21年以来の高水準となる。
コンテナ需要が高まっているのは貿易量の増加で荷動きが活発なことに加え、地政学的な要因がある。
多くの海運会社は中東情勢の緊迫化を受け、23年12月以降、アジアと欧州を結ぶ要衝である紅海・スエズ運河の通航を取りやめた。
アジアから欧州に向かうコンテナ船はアフリカ南端の喜望峰を迂回しており、輸送日数が通常よりも20日ほど延びている。
このため必要なコンテナ量が増え、コンテナ不足の状態に陥っているという。
アジア―北米航路では対中輸入関税の引き上げを見据え、11月の米大統領選を前に米企業が年末商戦の在庫確保を早めている。
こうした事情から需給の逼迫は当面続くとみられる。
三菱HCキャピタルは、前身の三菱UFJリースが14年に米ビーコン・インターモダル・リーシングを買収し、コンテナリース業界に参入した。
21年にはCAIを約1200億円で買収し、23年には両社を統合した。
需要の高まりからリース料は高水準で推移しており、収益は例年を上回る状況だという。
三菱HCキャピタルは今後も市況を見極めながら積極的に投資する方針で、25年も1000億円規模の発注を計画している。