フランス北西部フラマンビル原発のEPRの建設現場(2022年6月)=ロイター
【パリ=北松円香】
フランス北西部フラマンビル原発で3日、新型原子炉の欧州加圧水型原子炉(EPR)が稼働した。2007年に着工したが工事が大幅に遅れ、17年後にようやく稼働にこぎ着けた。
フランス原子力安全局(ASN)が2日、フランス電力公社(EDF)に対して核分裂の連鎖反応を始めるための作業を許可した。5月には試運転の許可を出しており、その後の査察で原子炉に問題がないことを確認したという。
EDFは今後出力を25%まで上げた後、送電網に接続すると説明している。
「今秋の終わりよりは前に」接続できる見通しだという。
ただしEPRの発電コストは1メガワット時(MWh )当たり110〜120ユーロ(約1万7600〜1万9200円)と、EDFの他の原子炉の2倍程度とみられている。
EDFにとってはEPRで発電するほど損失がかさむ可能性もある。
フラマンビル原発のEPRは元々2012年に完成予定で、建設予算は30億ユーロ程度だった。
事故で電源が失われても自動的に運転停止する機能を備えるなど、安全性の高さが売り物だった。
だが圧力容器の強度問題など様々なトラブルが浮上して工期が延び、総費用は132億ユーロに膨らんだ。
EPRを開発した仏原子力大手の旧アレバ(現フラマトム)の経営不振と解体の一因にもなった。
マクロン大統領は2050年までに、改良型欧州加圧水型原子炉「EPR2」を6基建設する方針だ。今年6月には今後の建設計画にさらに8基を追加する姿勢も示した。
フランスは欧州の他の国々にも電力を輸出する発電大国で、供給能力は欧州のエネルギーの安定性を大きく左右する。
日経記事2024.09.04より引用