ロスチャイルド財閥-237 三男ネイサン イギリス・マンチェスターに派遣https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2d137df07bb86c88075df556d2008689
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その頃の交通手段は駅馬車くらいのものであり、フランクフルトからマンチェスターまでの旅行はもちろん、情報交換も容易な事ではありませんでした。
ドーバー海峡を渡ってパリとロンドン間に片道4、5日かかった頃ですから、それより遠いフランクフルトとマンチェスター間は天候に恵まれても片道一週間はかかりました。
フランクフルトの兄弟の手の空いていないときは、ロスチャイルド商会の信用のおける従業員が飛脚として手紙や手形をもって往復しました。
マイヤーは、これらの手紙をイディッシュ語に暗号めいた約束事を組み合わせてしたため、決して署名することはありませんでした。 イディッシュ語というのはドイツ語を基礎に、北部ヨーロッパのユダヤ人に間に成立した言葉で、表記は右から左へと書くヘブライ語です。
従って宇陀野人以外にはチンプンカンプンです。 強盗が出ないでもないし、商売敵がどんな手段に訴えないかもしれないというわけで編み出したこの秘密保持の手法は、.一族の間で近年まで続けられていました。
手堅く、しかし大胆な商売で、ロスチャイルド商会が隣国フランスの革命の混乱をむしろ追い風にして地歩を固めつつあったとき、一大ピンチが訪れます。
コルシカ生まれの風雲児ナポレオン・ボナパルトがフランスの実権を握り、プロシアに攻め込んできたのです。 1806年10月の事で、ヴィルヘルム9世までがフランス兵が居城に迫ったために馬車で北方に逃げざる得なくなりました。
この時、王妃の実家であるデンマークに隠れたヴィルヘルム9世の財産の管財人として、隠密にマイヤーが選ばれました。戦乱の異常下で、大手銀行のようなところでは却って危ないということでロスチャイルド商会に白羽の矢が立ったのです。
それまでの実績で信用を得ていたことはいうまでもありません。ナポレオン軍の占領下にもかかわらず、ロスチャイルド商会はこの任務を見事に果たしました。
別の人物の手で隠された宝石類は見つかり押収されてしまいましたが、ロスチャイルド商会が隠すよう頼まれた現金60万ポンドはブドウ酒樽に入れて秘密の場所に隠され、ナポレオンの失脚で1814年にヴィルヘルム9世が領地に戻ったとき、ソックリそのまま樽ごと返却されました。
諸侯への巨額の貸付金もロスチャイルド書記が管理することにより、マイヤーとその息子たちがヨーロッパ中を走り回って平時さながら回収し、ナポレオン軍の目を盗んで隠棲するヴィルヘルム9世に届けられました。
もちろん占領軍であるナポレオン政府はヴィルヘルム9世のすべての資産と債権はフランスの物であると広告して、あらゆる手段で接収しようとしました。
フランクフルトのロスチャイルド商会も捜索され、帳簿を調べられました。 しかしマイヤーーたちがフランスに敵対する商行為を行っているという証拠をつかむことは出来ませんでした。 尻尾をつかまれないよう巧妙な二重帳簿おつくっていたのです。
ヨーロッパで唯一、フランスに敵対するイギリスを痛めつけるために、ナポレオンは1806年イギリスとの貿易をいっさい禁止する大陸封鎖令を出しました。 これがロスチャイルドにとって千載一遇チャンスになりました。
コーヒーや砂糖、煙草、綿製品などイギリスとその植民地からの商品が、封鎖令のために底をついて暴騰したのをみたマイヤーとその息子たちは、既に確立していたルートでそれらの物資を大々的に大陸に運んで売り捌きました。
フランスにとっては密輸ですが、物資の不足に悩む人々にとっては干天の慈雨でした。イギリスではこれらの品々は販路を失って暴落しており、その頃mンチェスターからロンドンに移り住んでいたネイサンは、これを買いたたき大陸の海岸に陸揚げし、アムシェルら別の兄弟たちがこの禁製品を受け取り販売したのです。
これらは、べらぼ高値でも飛ぶように売れて巨大な利益をもたらしました。 取り締まりをすべき沿岸警備のフランス兵は、ロスチャイルド一族にたっぷりと鼻薬をかがされていたのです。
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