インド太平洋に派遣する空母「プリンス・オブ・ウェールズ」=英国防省提供
【ロンドン=江渕智弘】
英国防省は8日、空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核とする空母打撃群が22日にインド太平洋地域に向けて出発すると発表した。
夏ごろに日本に寄港する。日本やオーストラリアなど地域の同志国と共同演習をする。
インド太平洋への空母打撃群の派遣は空母「クイーン・エリザベス」が参加した2021年に次ぐ2度目となる。「プリンス・オブ・ウェールズ」は22日に英南部ポーツマスを出発する。
最新鋭のステルス戦闘機「F35B」を搭載し、駆逐艦や補給艦が随伴する。
8カ月の期間中に海軍の2500人、空軍の592人、陸軍の900人ほどが参加する。
地中海やインド洋を通って東南アジアやオーストラリア、日本に向かう。ノルウェーの軍艦が付き添うほか、カナダやスペインも派遣を支援するという。派遣先では日本や米国、豪州、インド、シンガポール、マレーシアなどと共同演習をする。
中谷元防衛相と英国のヒーリー国防相は1月にロンドンで会談し、空母打撃群の派遣の際に自衛隊が他国の艦船や航空機を守る「武器等防護」を適用することを議論した。
英国に適用すれば米国、オーストラリアに次ぐ3カ国目で、欧州では初となる。
空母打撃群の派遣は台湾周辺や南シナ海で威圧的な行動を繰り返す中国をけん制し、インド太平洋の安全保障への貢献を示す狙いがある。
トランプ米政権の欧州の安保に対する消極的な姿勢がはっきりするなか、幅広い同志国との関係強化につなげる。