ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ロックダウンの夢

2020-08-03 | 調査・探求

Getty Images

 

 

三月からロックダウン生活に入って、徐々には色々緩和はされてはいるが、再び感染状況が悪化したりの毎日。テレワークも当初は、夢見たことだから、楽しめそう、と笑顔だった勤め人も、最小限の人との接触に心しているうちに4ヶ月も過ぎ、抑圧感いっぱいの生活に、嫌気がさしている。いつこれが終わるのだろうか。本当に終わるのだろうか。そんな不安が心の隙間から忍び込む。

私は三月から、毎朝起きると、さて、今日は何をしようか、と比較的楽しげに1日を始めているし、それほど抑圧感や厭世観の忍び込む余地がないようなお軽い頭脳なのだが、ここ最近気が付いたことがある。いわゆる「お花畑」が頭に存在する私でも、例えば、青森の友人に京都の友人がズームやスナップチャットで久しぶりに会い、涙を流して喜ぶ姿などを目にすると、不意にもらい泣き的に涙ぐむ。人と人との交流は、とても人間として生きる上で大事なことなのだと今更しっかり気づくのだ。

そしてもう一つ。見る夢の鮮やかさ。彩色され、鮮明な夢を見るのだ。卒業式でいざ卒業証書を受けとらんとすると、険しい顔をした体育教師が立ち上がり、あなたは体育の単位取れていませんから、卒業できません!、だったり、誰だかわからない、どちらかというと蛇少女な怪しい人が、私をどこまでも追いかけてくる、といった、つまり不安要素満載の夢である。そして非常に彩色豊かで、映画で言えば、「総天然色パノラマ」なのである。

この極彩色・鮮明なハイディフィニション(高精細・高解像度)な夢と対になるのが、不眠。寝つきが悪かったり、ぐっすり眠っていると思うと、夜中の1時23分など突如目が覚め、もう2度と眠られない。体は疲れているのに、頭が冴えているようで眠っているような状態。そんな時は、思い切って起き、本を読んだり、洗濯室で洗濯を始めたり、二階で普通に寝ている夫を起こさないように、下階で深夜の深夜食堂を観たりする。大抵は抗ヒスタミン剤のベネドリルというアレルギー用の薬を就寝前に摂るとぐっすり眠ってしまうのだが、最近は夜中に目が覚める中途半端な不眠が起こる。

こうした現象は、パンデミック禍にある人々には共通することで、二つともストレス症状の現れだそうだ。早速SmithonianMag.com(スミソニアン博物館のオンライン記事)で調べてみた。すると合衆国のあちらこちらでロックダウンの令が入るにつれ、人々の日常生活で、ますます奇妙で鮮やかな夢の風景と不眠がペアになっているそうだ。そして、不眠、安定した眠りにつけないことを経験する人々が増えているとも言う。どちらもストレスの症状であり、COVID-19パンデミックを取り巻く不安の一部である。そしてロンドンの精神分析学生のグループ(ロックダウン・ドリームと呼ばれる)によって収集された一般的な夢のシナリオは、何かから逃げたり、何か間違ったことを発見する夢が多いそうだ。

このロックダウンドリーム・チームのスポークスパーソンのジェイク・ロバーツはこう語った:「誰もが信じられないほど鮮明な夢を見るという事実にかなりショックを受けています。私たちの起きている時の物質が、どちらかと言うと、ある意味、より鈍く見えるようになっているので、それはとても興味深いです。」

テレビの性能がより高精細・高解像度になり、携帯のカメラさえかなり鮮明になっている現代社会だから、逆に人の目はそれに慣れ、夢さえもそうした高度な鮮明さを持つようになる、と言う考えが興味深いと言うことだ。

又、フランスのリヨン神経科学研究センターの調査では、夢の想起が35%増加し、ネガティブな夢が15%増加したそうだ。医療従事者と緊急医療対応の最前線にいない人々にとって、新しいコロナウイルスに対する恐怖は、ゾンビ、虫、およびパンデミックを示唆するような影のある人物に並んで脅威となっていると言う。こうした無意識に脅威と感じることは、つまりレストランへ行くことへの懸念が恐怖になり、ハグについても同様で、ハグをしようとする人や自分が『人殺し』になる恐れを想起してしまうそうである。

ボストン大学医学部神経科医のパトリック・マクナマラはナショナルジオグラフィック誌に語っている。 「明らかに、このパンデミックは多くのストレスと不安を生み出しています。〜中略〜 不安は鮮明な夢を引き起こすだけでなく、人がまったく眠りにつくのを妨げることもできるのです。」

一部の人々は毎日、より少ない仕事をしているので、夢を見る時は、脳は少ない情報なので記憶をより深く掘り下げるが、医療専門者は水晶ごときに鮮明な悪夢を見ると報告している。多くの研究グループが夢へのパンデミックの影響を、2009年9月11日のテロ攻撃やイタリアのラクイラに影響を与えた地震などの他の災害と比較している。

朗報はこの現象がおそらく時間とともに消えていくということである。前述のジェイク・ロバーツは言う:「一般的に、人間はあらゆる状況に慣れる驚くべき能力を持っています。したがって、少なくとも暫定的には、この信じられないほど鮮やかな夢は、この状況に慣れてくると、衰え始めるかもしれないと言えるでしょう。」

よし、それでは私は、悪夢や不眠が次第に衰え始めるかもしれない夜を夢見ることにしよう。明日の朝は必ず来るし、明日は明るいかもしれない。催眠剤はアメリカン・スタンダードの古い曲を聴くこととしよう。そしてララランドでダンスをしようか。

 


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4 コメント

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Unknown (マダム・グラハン・洋子)
2020-08-03 09:21:11
おはようgざいます

今日の投稿読む時間なくて、あとでじっくり読みますね

ところで、空白ページ(だったかな?)と寄り添う

すごく胸打たれました
子育て中の娘・娘の夫さんのお母さんにも紹介しました。

みな、うんうんとうなづいていました。
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べネドリル (ハブグレジュンタのマミー)
2020-08-03 10:09:17
こんばんわ。
私はコロナ以前からずーとべネドリルを飲んでいますが効く時には効くけど、あまり効果はありません。私の不眠症は妊娠した時から始まりました。その後よくなったりひどくなったりで、今は不眠になれてしまいました。友達曰く、別に朝起きて仕事に行く必要もないのだから、寝たいだけ寝ればいい。それもそうですね。でもぐっすりと寝たいです。学生の頃は起きたらもう夕方だった、なんてことがしょっちゅうありましたが。誰かが言ってましたが、寝ると言う動作にはエネルギーが必要。年寄りにはそんなエネルギーがないから寝れなくなる、だそうです。若い時は恐竜に追いかけられた夢をよく見ていました。
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コメントをありがとうございました。 (ままちゃん)
2020-08-04 00:31:40
洋子さま、

まあ、恐縮してしまいます。

孫神様のサークル、とても素敵ですね。もうそろそろたくさん冒険し始めるお年ですから、役立つこと間違いないでしょう。
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コメントをありがとうございました。 (ままちゃん)
2020-08-04 00:51:25
マミーさま、

不眠はおそらく現代病の一つかもしれません。”自然”的なメラトニンは医師が勧めましたが、蕁麻疹が出るなど私にはあいませんでした。その結果メラトニンなしのベネドリルや似たような成分のDoxylamine Succinate(コスコのKirkland brand SLEEP AID)を勧められました。習慣性はありません。薬に頼らずに、早寝早起きで、催眠を試みることもあります。ベネドリル系でも長く使用すると、毎回ぴったりと効くということが薄れてくるようです。やはり一度医師に相談、ということになりますね。
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