インプロヴィゼーションの彼方に

人生ヨウスルニインプロヴィゼーション

真夏の幻

2005-08-14 15:01:07 | 今日のぐるめ
すた丼の翌日、iの家に一泊した後、半ば拉致されるかたちでiの地元まで連れて行かれる途中、僕らは腹をすかせて昼飯屋を探してさまよった。さまよっているうちにどんどん時間が過ぎていき、そのとき既に時刻はもう4時をまわっていた。空腹に判断力を失いかけていた我々は、見た事も聞いた事もないファミレス風カレー屋を見つける。その名は『欧風カレーボンディー』。サイゼリヤテイストあふれるカラーリングのチープな外観。入り口にはまったくかわいくない招き猫のぬいぐるみ。雨に濡れないようにとビニールがかぶされている。不安と期待を抱きつつ何か見えない力に吸い込まれるようにドアをあけた瞬間、僕らは異世界に迷い込んだ。まったく高級感のない店内には一組のカップル客と女性店員数名。メニューを見ると、最低価格1350円。高い。逃げられない。お子様カレーが500円だったが、流石にそれを選択するわけにはいかない。もしお子様カレーを選んでしまったら、もう現実には帰してくれないような怪しい雰囲気があった。仕方がないから1350円のカレーを注文すると、わずか数秒でいきなりジャガイモが丸ごと1つ出てきた。ウマい。そうこうしているとカレーが出される。とろけるチーズカレー。とろけすぎてウマくご飯にかけられない。けどウマい。ご飯にもチーズがちりばめられていてウマそうだ。しかし欧風なのにカリカリ梅がトッピングされていたのが謎。デザートにはライチ2個。さっぱり。さすが1350円。でも正直850円でいけそうなきがする。そうこうしているうちに、たぶんオーナー息子だろう、店の裏から甚平を着た青年がでてきて彼の周りを女性店員たち全員が囲み、たのしくそしてなにかあったかのようなイヤラしい視線と笑みをぶつけ合いながら談笑していたり、客が福神漬けの入ったビンを福神漬けごと落として割ったり、その割れて床に散らばった危険なガラスの破片を「大丈夫ですか~?」と異常に優しく諫めながらなんと素手で回収しているさまを見せ付けられ、僕らは「狂ってる・・」とつぶやき、薄れていく現実感に戸惑いながら何とかそのカレーハウスから脱出した。ミステリーカレーハウス。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
オアシス (momoru)
2005-08-15 01:48:20
あの女性店員は完全に血だらけになりながら皿を拾ってましたよ。謎だらけですね。あの店から出た瞬間にインドになってたら世にも奇妙な物語で使えますね。 かしこ
返信する