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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【大切なのは個人の尊重】こども基本法に反対する自民党右派が戦前過ぎる!城内実議員「個人を大事にし、それを拘束するものは悪であるというマルクス主義思想」山谷えり子議員「誤った子ども中心主義」

2022年02月08日 | 子どもの権利

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「子ども権利条約」(児童の権利に関する条約)は,1989年11月20日に第44回国連総会において採択され、日本は1990年9月21日にこの条約に署名し,1994年4月22日に批准を行なったので、1994年5月22日に効力が生じています。

 つまり、子ども権利条約はもう30年近く前から日本を法的に拘束し、我が国はこれを順守する義務があるのです。

 ユニセフ(国連児童基金)によれば、

「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。

 18歳未満の児童(子ども)を権利をもつ主体と位置づけ、おとなと同様ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めています。

 前文と本文54条からなり、子どもの生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現・確保するために必要となる具体的な事項を規定しています。」

と説明されています。

 

 基本的人権は普遍的であり、人類誰に対しても平等に保障されるものです。

 そして、特に子どもたちの権利がないがしろにされがちなので、あらためて子どもも人権を享有する主体であることを確認し、さらに子どもたちに自分たちが成長の過程で特別な保護や配慮を求めることができる権利があることを明記したのが子どもの権利条約です。

 つまり、子どもたちは大人と同じ人権を保障されるのが原則であり、それに加えてさらに自分たちが健やかに成長するための特別な権利も保障されているということになります。

 

 ところが、子ども庁の名前を子ども家庭庁に変更させる過程や、子ども家庭基本法について議論する中で、自民党の保守派から、およそ子どもの権利条約と真っ向から対立するような意見が続出しています。

1 「子どもは家庭でお母さんが育てるもの」参院のベテラン議員(発言者未特定)(朝日新聞2021年12月20日報道

2 「最近は学校に行かない権利を唱える子どももいるようだが、権利ばかり唱えても(よくない)。青少年が健全に育つには家庭がしっかりしている必要がある」自民党青少年健全育成推進調査会(中曽根弘文会長)の会合出席議員(発言者未特定)(朝日新聞2021年12月20日報道

3「(子供の権利を守る機関に対し)個人を大事にし、それを拘束するものは悪であるというマルクス主義思想があり、制度を作ったらそういう人たちばっかりだったみたいなことになる」城内実衆議院議員(静岡7区)(時事通信2022年2月5日報道

4「(子供の権利を守る機関に対し)左派の考え方だ。恣意(しい)的運用や暴走の心配があり、誤った子ども中心主義にならないか」山谷えり子参議院議員(比例代表・全国区)(時事通信2022年2月5日報道

上 高市早苗政調会長と城内実議員。下 山谷恵理子議員と高市氏。

「自民党の有志議員でつくる「保守団結の会」は2月2日、党内でこども家庭庁に関する勉強会を開いた。議題に「誤った子ども中心主義」「子どもコミッショナーの問題点」などを盛った。高市氏も出席した。」(日本経済新聞2022年2月3日報道

 

 

 日本国憲法の第13条が

「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

と規定している通り、憲法は最高価値を「個人の尊重」(13条)「個人の尊厳」(24条)としていて、憲法は徹底した個人主義に立っています。

 個人を大切にする個人主義に対立するのが全体主義で、全体主義は個人の自由を抑圧して、国家や社会の価値観をより重視する考え方で、戦前のナチズム・ファシズム・絶対的天皇制などがその典型です。

 日本国憲法は戦前の大日本帝国が「滅私奉公」=全体主義思想のもと、国内外の民衆の命と権利を踏みにじった経験を反省して、個人主義を基本に据えたのです。

 

 ところが、上の3で自民党の城内議員が

「個人を大事にし、それを拘束するものは悪」

と言った考え方はまさに個人主義です。

 城内議員は個人主義はマルクス主義?で、そんなことを主張する人だと思われたくないと明言しました。

 この人が言っていることこそがまさに全体主義なんです。

 自民党保守派は社会主義を信奉する中国政府を全体主義として批判しているんじゃなかったんですか。

 彼らこそがまさに全体主義者、中国共産党や北朝鮮の体制とそっくりです。

 

 城内氏らが発言した自民党の会合の名前は、「『こども・若者』輝く未来実現会議」(笑)。

 子どもたちを権利の主体と認めず、個人として尊重することを否定する人たちがこどもや若者を輝かせられるわけがありません。

 折しも、今国会には法制審議会から、家庭内の体罰の温床となってきた民法の「懲罰権」を削除する法案が提出されます。

 法制審議会はさらに

「子の人格を尊重するとともに、年齢・発達の程度に配慮しなければならない」

「体罰その他、心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」

との規定を新設するよう提言しています。

 こども基本法も右翼のアナクロニズムに毒されず、子どもたちの個人の尊厳を第一に置く、子どもの権利条約に沿ったものになるように監視し続けるのが大切です。

 

自民党右派が強固に反対しているのが、子どもの人権侵害をチェックするコミッショナー構想。

彼らは人権擁護法案にも頑なに反対してきましたよね。

よほど子どもや大人の人権を侵害する気満々なんだと思わざるを得ません。

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自民党本部

こども庁設置へ議論本格化 自民

 コミッショナー制度は、公明党が昨年の衆院選で掲げた。自民党の資料によると、子ども政策の実施状況を調査し、首相や文部科学相らへ勧告する権限の付与を想定。国家公安委員会のように高い独立性を持つ国家行政組織法の「3条委員会」とする案も示している。
 4日の実現会議では、城内実氏が同制度について「個人を大事にし、それを拘束するものは悪であるというマルクス主義思想があり、制度を作ったらそういう人たちばっかりだったみたいなことになる」と主張。山谷えり子元拉致問題担当相は「左派の考え方だ。恣意(しい)的運用や暴走の心配があり、誤った子ども中心主義にならないか」と訴えた。岸田文雄首相が実現を目指すこども家庭庁に「機能を集約すればいい」との意見も出た。
 これに対し、賛成論も相次いだ。阿部俊子氏は「子どもの権利を守る機関を置かないと、党のイメージへの影響は破壊的だ」と指摘。山田太郎氏は「子どもの意見を聞きながらどういう問題があるか、現場からも解決できるルートを作っておこうということだ。マルキシストによって作られたものでは決してない」と反論した。
 一方、自民党内の議論に関し、公明党の石井啓一幹事長は記者会見で「コミッショナーにはいろんなやり方がある。自公間の議論が既に開始されているので、十分検討していただきたい」と促した。共産党の田村智子政策委員長は会見で「科学的社会主義(マルクス主義)は女性や子どもの権利を重要視していた。先駆的な役割を評価すべきだ」と強調した。

 

 

自民党は子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」の設置にあわせて調査・勧告機能を持つ第三者機関を新設する法案を検討する。今国会に政府が提出する設置法案とは別に、関連した理念法として議員立法に盛り込む異例の対応となる。党内には反対論があり、実現は難航が避けられない。

自民党は近く開く「『こども・若者』輝く未来実現会議」(座長・加藤勝信前官房長官)の会合で議員立法について議論する。公明党はかねて児童虐待などを調べて勧告する機関の必要性を主張している。

政府は子ども政策を統括する組織としてこども家庭庁を2023年度に設置する。内閣府の外局として専任の閣僚と長官をおく。内閣府や厚生労働省から業務を移管し、文部科学省のいじめ問題の対応などでも関与する。

こども家庭庁を設けるのは政府提出法案(閣法)となる。これとは別に、議員立法で子どもへの意見聴取や現状を調査する独立した第三者組織の設置に触れる。

設置法案に伴う組織改編にとどめず、いじめ対応など現場のニーズを反映した政策がとりやすい環境整備を進める。

金融庁に設置された証券取引等監視委員会などの「8条委員会」を想定する。予算や人事権などの権限は省庁にある。公正取引委員会など省庁と並ぶ「3条委員会」に比べて独立性で劣りながらも第三者の独立機関として政策に関われる。

子どもは自ら権利侵害を訴えることが難しく、行政組織の調査では内情を把握しきれないとの指摘がある。社会問題になった19年の千葉県野田市での虐待事件では、暴行被害を訴えた女児のアンケートを教育委員会が父親に渡していたことも問題となった。

法案には新しい機関の運用方法について具体的に書き込まない予定だ。子どもから直接相談や報告を受けたり、必要な調査を独自に実施したりする運用が想定される。

必要な場合は関係省庁に制度改善を勧告し対応を促す仕組みになる公算が大きい。新設するこども家庭庁も関係省庁への勧告権を持つ。第三者機関はこども家庭庁自体に勧告するなど一定のすみ分けがありそうだ。

海外でも同様の第三者機関がある。英国では子ども政策を一括して担う省庁とは別に「子どもコミッショナー」と呼ばれる監視機関を置く。いじめ問題や子どもを対象とする性犯罪の処罰強化、貧困を受けた就学支援など幅広い分野で勧告事例がある。

議員立法は国の制度や政策に関する理念や基本方針を示す「基本法」としてまとめる。国際条約に規定された子どもの権利を保障する総合的な法律に位置づける。過去にも少子化対策基本法などの基本法を議員立法でまとめている。

党内では「一定の権限を持つ機関は議員立法ではなく閣法に盛り込んで出すべきだ」との意見もある。証券取引等監視委は閣法で設けた。

基本法の骨子案の策定に関わった党幹部は「基本法に定めた子どもの権利を担保するための組織の新設を同じ基本法に盛り込むのは自然だ」と主張する。設置法案とは別で提出することで、片方の法案だけが成立する事態もおきうる。

党内には今回のような独立した第三者機関の設置に否定的な意見がある。子どもの権利を過度に重視し、教育上の影響が出るという理由だ。安倍晋三元首相や高市早苗政調会長らに近い議員は伝統的な家族観を重視する。

自民党の有志議員でつくる「保守団結の会」は2日、党内でこども家庭庁に関する勉強会を開いた。議題に「誤った子ども中心主義」「子どもコミッショナーの問題点」などを盛った。高市氏も出席した。

高市氏は1月26日の記者会見で議員立法について「いま政調会長としての個人的な考えを申し上げる段階にない」と述べるにとどめた。

こども家庭庁は当初、名称を「こども庁」と想定していた。党内で「子どもは家庭を基盤として成長する存在だ」といった意見が出たため修正した経緯がある。

 

 

社説

民法の「懲戒権」削除へ 社会全体で意識変えたい

毎日新聞 2022/2/8 東京朝刊 825文字

 子どもの人権を侵害する法律の規定が、ようやく見直されることになりそうだ。

 教育に必要な範囲なら、親が子どもを懲らしめることを認める「懲戒権」だ。民法から削除する答申案が、法相の諮問機関である法制審議会の部会でまとまった。

 児童虐待が深刻化する中、暴力や暴言を正当化する口実になっていると指摘されていた。

 体罰は、子どもの成長や発達に悪影響を与えることが、科学的に明らかになっている。根絶するためにも、政府は直ちに法改正の作業を進めるべきだ。


 懲戒権は、明治時代の民法の定めが戦後に引き継がれた。子どもの問題行動を正すには、体や心に苦痛を与えることも許されるとの考え方が背景にある。

 11年前の民法改正時にも削除すべきかどうかが議論された。しかし、「正当なしつけもできないとの誤解を招く」との反対論が出て見送られた。


 しつけを名目に親が虐待し、子どもを死に至らしめる事件が相次いだことから、2019年に児童虐待防止法が改正され、体罰の禁止が明文化された。

 今回の答申案も「子の人格を尊重するとともに、年齢・発達の程度に配慮しなければならない」「体罰その他、心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」との規定を新設するよう提言している。


 「子どもは親に従うものだ」との固定観念が日本には根強い。親が自分の価値観を押しつけたり、過剰な要求をしたりすることが、虐待につながるケースもある。

 日本が批准している「子どもの権利条約」は、子どもを独立した人格と位置づけている。大人が子どもの気持ちや意見に耳を傾けることを求めている。


 国連の委員会は、子どもを巡る日本の現状を問題視している。懲戒権の存在もその一つだ。

 現在、「こども家庭庁」の創設など、政策の拡充が議論されている。子どもの権利を守るとの理念を明記した「基本法」の制定も必要だろう。

 「体罰はやむを得ない」との時代遅れの考えは、改めなければならない。社会全体で意識を変えていきたい。

 

 

 

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