池上彰さんといえば、NHKの週刊こどもニュースに始まって、そうだったのか!池上彰の学べるニュースまで、穏やかに、わかりやすく、世の中の様々な事象を解説してくださる人気者ですね。さきごろ、取材や執筆活動に専念するためにテレビのレギュラー番組を全部降りると発表されたときには、日本全国で惜しむ声があふれたのではないでしょうか。
わかりやすく伝える。これは物凄い努力のいることです。難しいことを難しく伝えるのは比較的簡単なんですよね。というか、それって「伝える」ことになっていません。
池上さんとは比較になりませんが、私も法律というやっかいで面白くないものを、かみ砕いて伝えて1年間生徒さんを引っ張るという作業を、もう10年以上続けていますので、ほんの少し、池上さんが注意されていることがわかるような気がします。
わかりやすく伝えることの核心は、「物事の本質を伝える」ということです。本質と枝葉末節を分けて、本質だけを掘り下げて伝える。
逆に言うと、わかりやすさの危険性は、本来難しい本質を変質させて伝えてしまうこと。もっと、恐ろしいのは、難しい部分を解説するのをあきらめて、わかりやすい部分だけ伝えてしまうことです。
池上さんの番組の多くは、この狭間をすりぬけ、うまく本質を伝えていたから、良心的な番組として視聴者に支持されていたのではないでしょうか。
制作スタッフと良く打ち合わせされ、ビジュアル面でも大変な工夫の跡がうかがえました。
さて、これから池上さんの主要な活動の舞台となる執筆先の一つに、ニューズウィークがあるのですが、その10月15日の記事「金持ち優遇税制」というけれど」が、池上彰さんらしからぬ、上手の手から水が漏れた内容だったので、批判というよりも、大変僭越ながら、少し補足解説をさせていただきたいと思います。
池上さんは、同誌の10月5日号の記事「富裕層に増税したいオバマの悲しい計算ミス」を解説されています。
「実はアメリカでは、最富裕層の所得税率は低所得の国民と比べて非常に高い。年間所得が100万ドルを超える国民が納めている連邦所得税率は平均 29%強だ。所得が減るに従って税率は変化し、2万~3万ドルだと5・7%にまで下がる。上位20%の高額納税者が、連邦税総額の実に70%近くを負担している」
これに対する、池上さんの感想が、
「うーむ、これを読むと、アメリカの税制に対する印象が変わります。アメリカも累進課税をしているではないか。」
・・・池上さんともあろうお方が、本当にアメリカの所得税が累進課税になっていることをご存じなかったのでしょうか(汗)。先進国の所得税で累進課税になっていないところなど、逆にないと思うのですが。。。。
(ワシントンを占拠せよ 庶民のティーパーティ(茶会)に発展する「ウォール街を占拠せよ」運動)
さらに、池上さんは
「ただ、29%強が「非常に高い」という表現が妥当かどうかは疑問です。日本の場合は国税としての所得税の最高税額が40%、それに地方税である住民税が加わると、最高55%になるからです。」
と続けるのですが、これは困ったなあ。
先の記事が言っている29%強というのは確かに低いですが、これは実効税率で、実際にアメリカの高額所得層が納めている税率がその程度であるというのが、その記事の主張です。
それに対して、日本の最高税率が40%というのは、法律上の税率、理論的な最高税率です。
比較対照しているものがまるっきり違います。後で見るように日本の富裕層は全然そんなに税金払っていません。
おかしい。。。。「ニュース解説の達人」池上さんがこんな初歩的な間違いをするとは。
そして、池上さんは、
「日本に比べれば、まだまだ低いではないか、と突っ込みを入れたくなりますが、それでも、アメリカでも高額所得者は税負担の割合が低所得者より大きいというのは意外でした。」
と信じられない感想を述べます。低所得層のほうが高額所得者より税負担率の高い国なんてさすがにないでしょう。それではすぐ革命が起きてしまいそうです(汗)。所得が多いから、総額が多いだけ!
そして続けて、
「なんで日本の新聞は、こういうことをきちんと書かないのか、と思ってしまいます。」
と日本のマス・メディアを批判するのですが、それはかなりミスリードなので、日本の新聞でさえ書かないのではないかな、と思います(笑)。
池上さんは最後に
「オバマの増税路線を伝える日本の新聞も、アメリカの税制の仕組みをきちんと解説する必要がある。この記事は、そのことを教えてくれました。」
と締めくくって、アメリカの税制の仕組みをきちんと理解しないまま、記事を終えてしまいます。
池上さんのこれまでのニュース解説番組が少し不安になる締めくくりでした。
(なんだかいろんな方面について、危なっかしいこと言ってるなあ。「その代わりのもの」がいるのかから考えてもらいたい。沖縄差別の象徴 普天間基地移設問題の解決方法は撤去・廃絶のみ)
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さて、ここからが、私の「そうだったのか!宮武嶺の学べるニュース」です(あまり視聴率稼げそうにないですが 笑)。
実際には、アメリカの連邦所得税率はこうなっているそうです。
2010年米国個人税率は、独身で課税対象額が
$0~$8,375以下は、10%、
$8,375以上は、$837.50 + $8,375を超えた額の15%、
$34,000以上は、$4,681.256 + $34,000を超えた額の25%、
$82,400以上は、$16,781.25 + $82,400を超えた額の28%、
$171,850以上は、$41,827.25 + $171,850を超えた額の33%、
$373,650以上は、$108,421.25 + $373,650を超えた額の35%
池上さんは
「大富豪の投資家ウォーレン・バフェットは、自分が自分の秘書(当然ながらバフェットより所得が低い)より低い税率しか国税を払っていないことをおかしいと言っています。この主張だけを読むと、「アメリカの税制はおかしい」と思いますが、この記事によれば、バフェットの収入の多くが投資の収益であり、これに関しては、税率が15%のキャピタルゲイン(資産売却所得)税が適用されているからだというのです。」
「株式投資など投資活動を活発にするために、投資の収益に関して低い税率を課すというのは、理論的にありうることです。投資できるのは富裕層ですから、結果的に金持ち優遇税制になっていますが、アメリカの株式投資は多くの中間層が関わっています。キャピタルゲイン税を引き上げると、中間層に打撃を与える可能性があるというのです。」
と書いているのですが、バフェット氏は、そこがまさにおかしいと主張しているのです。キャピタルゲイン税率が著しく低いことを利用して富裕層の実質所得税率が極端に低くなってしまっているのがおかしいのです。
また、アメリカ議会調査局(CRS)は、オバマ大統領の高所得層向け増税が多くの中小企業に影響を及ぼしたり、貯蓄や投資を抑制したりすることはないとの見解を示しています。
当然です。
だって、中間層が富裕層よりも株式投資で所得を上げているわけはないからです。
世界長者番付3位のバフェット氏も「甘えた富裕層に増税を」 日本の富裕層には所得税増税を
バフェット氏は、ヒュールスカンプ議員への返書で、自らの昨年の課税所得はほぼ4000万ドルだったと公表しました。納税が690万ドルだったことから、所得税率は17.4%となります。
まさに、本当に自分のスタッフよりも低い税率だったことを勇気を持って示したのです。
東日本大震災と福島原発事故に苦しむ我が国で、我が世の春を謳歌する日本の富裕層も、自ら応分の負担を申し出る気持ちはないのでしょうか。
ウォール街を占拠せよ 全米でデモ広がる 「国難」東日本大震災に沈黙する日本の富裕層に富裕税の導入を!
では、日本の場合はどうか。ここからが本題です。
日本のキャピタルゲインは現在10%(うち住民税3%)と、アメリカよりさらに低くなっています。そして、これが総合課税ではなく申告分離課税が選べます。
つまり、株式投資などに回してそこからの所得にすれば、税率は10%にしてしまえるのです。
確定申告をする | 確定申告をしない (確定申告不要制度適用) | ||
---|---|---|---|
総合課税を選択 | 申告分離課税を選択 | ||
借入金利子の控除 | あり | あり | なし |
税率 | 累進税率 | 所得税 7%(15%) 地方税 3%(5%) (※1) |
所得税 7%(15%) 地方税 3%(5%) (※1) |
配当控除 | あり | なし | なし |
上場株式等の譲渡損失との損益通算 | なし | あり | なし |
扶養控除等の判定 | 合計所得金額に含まれる | 合計所得金額に含まれる(※2) | 合計所得金額に含まれない |
そして、富裕層は株式投資に資金を回しますから、高所得層は「株式等の譲渡所得等」の割合が急上昇し、株式譲渡所得は申告分離課税で税率が総合課税の税率よりも極端に低い結果、結果として実効税率が著しく下がってしまうのです。
なんと、財務省が作った下の図にあるように、所得が年間1億円が最高の税率で、それでも26・5%です。
そして、そこから高所得になるにつれ実効税率は下がる一方で、所得10億円の人は21%、100億円以上の人は14%しか所得税を支払っていないのです。
これだけの事実をつかんでおきながら、所得税の累進課税率を上げるのではなく、まだ消費税に固執する財務省の金持ち優遇は犯罪的です。
日本にも富裕税の導入を!年間所得100億円以上の富裕層は14%の税率でしか税金を支払っていない
もし、ニューズウィークの、「アメリカでは年間所得100万ドルを超える高所得層の所得税平均が29%強」という記事が本当なら、日本のほうが高所得層の実効税率はアメリカよりはるかに低く、日本のほうがひどい格差社会ということになります。
日本はアメリカより格差社会 日本の貧困率はアメリカ以上 子ども達のためにこれ以上消費税は上げられない
そもそも、日本の所得税率が下がりすぎです。イギリスも最高税率を下の図から50%に引き上げました。
このままでは格差はますます進み、日本の貧困率は、先進資本主義国最悪になるでしょう。
貧困率過去最悪の16% 6人に1人は所得112万円未満 一人親世帯は半分以上貧困 子ども貧困率も最悪
私が度々、富裕税の導入を提唱しているのは、どうしても所得の段階では課税をすり抜けてしまうからなんですね。所得税は累進課税率を上げ、さらに貯まった資産に富裕税をかける。
現在、日本の富裕層が持っている金融資産が350兆円。これに年率1%の富裕税をかけるだけで、年3・5兆円。
復興増税も、社会保障と税の一体改革も解決するのです。
日本の富裕層にも、バフェット氏らの爪の垢でも煎じて飲んでいただいて、ほんの少しだけ負担を増やしてもらえないものかと思います。
野田内閣 復興増税・税と社会保障一体改革増税 ダブル消費税増税の危険性
厚労省が年金受給年齢の68~70歳に引き上げを検討 税と社会保障の一体改革で一生年金もらえなさそう
宮武嶺のニュース解説講義いかがだったでしょうか。
難しいことから逃げずに、わかりやすく、正しく、本質を突いて。
やってみると本職のようになかなか上手く行きません。
やはり池上さんにお願いして、このあたりもきちんと取材していただいて、わかりやすいだけでなく、正確な解説にトライしていただきたいものです。
(この本は大丈夫だったのでしょうか・・・・)
池上彰さんのファンの方も
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調べ物をしていてここにたどり着きまして。
さて、「累進課税の是非」――これ、中々難しい気がしますよ。
と言うのは、税金として徴収したお金をどの様に分配するのか――が一番肝心であり、そのチェック無くして「分配」が機能するはずは無いと感じるからです。
rayさんを始めとする「所得税の累進課税率アップや富裕税創設」を語る人たちは、集まった税金がどのような形で「予算」として分配されるのか、考えたことがあるのでしょうか?
今のシステムのままでは、税金が増えても各省庁の予算の増額に回るだけで、「格差の是正」には繋がらない可能性も強いからです。
日本では財務省に集まり、各省庁との折衝の上で決まるのですが、その折衝と言うのがなかなか大変で、決して平坦ではありません。
それで無くても、各省庁から「予算の要望」がうるさい――とも聞きます。
そんな中で「集まる税金」が増えたとしても、それがそっくり低所得者の補助&救済に回るとお考えですか?
それなら、本当に甘いとおもう。
だからこそ、「徴税の強化」を語るのなら、その分配のあり方にも踏み込んで語らないと、それこそ弱者の救済にはつながらない――と、感じるのです。
もっと、「集まったお金の流れるルート」にも切りこんで欲しいですね。
長くなりましたが、それでは、またです。
相続税対象額に対して課税できているのは数パーセントだけですので、増税余地は十分に残っています。
(2020年には相続税対象額が109兆円になるそうです)
そこに、資産×死亡年齢(%)で課税すれば、約90兆円にもなります。
それを分配するような機能(BI)を付ければ、大きく格差を是正できると思います。
統計的には格差の大きな社会ほど出生率は高いので、最良格差の説得に使うとより大きな較差が望ましいという結果になってしまうのではないでしょうか?
また、所得100億円を超えるような層はおそらく金融所得ですので課税がそもそも困難です。
(そのレベルの超高所得者層は税率の高い国に国籍を置く必要が無いため)
結果的に税率が下がっている、というのが妥当な見方では無いでしょうか?
>K太さん>rayさん>keiさん
やや本題から離れているように思います。富裕税はストックに対する課税でフローに対する課税ではないですからね。このポストは貴族的な代々の資産家への課税ではなく現代的な高所得者の問題がテーマだと思います。
ちなみに
狭義の富裕税(預金税、金融所得税、不動産税のハイブリット)はかつて欧州各国で導入されていましたが租税忌避行為、租税回避行為によって税収が逆に下がってしまいました。
特に金融所得に関して富裕税の導入は税収を下げる効果があるため高所得層への課税は困難なようですね。
(国籍や居住地の変更、他国金融機関を利用などで回避できたため)。
そのため現在では狭義の富裕税はなくなってしまいました。
現在は実質的には不動産税の累進性(所謂2軒目課税や特定の上物への狙い撃ち税)を高めることで徴税力を高めつつ、租税回避を防ぐ方針を各国がとっています。
スペインの場合はややポピュリズムよりな貴族への見せしめ的な課税という向きであってこれはやや特殊な例です。
私の考えでは今日本では『少子化』がしゃれにならない問題になっているので、これを改善するくらいに格差を無くすべきだと思います。
データを見ると明らかなのですが、日本では貧乏人はあまり結婚しないし、結婚したとしても子供をあまり産まないのです。
だから金持ちから税金をガンガン集めて、貧乏人に分け与える。
今は所得100億円以上の人の所得税は14.2%となっています。こういうおかしいのを是正するだけでかなり改善されると思います。
こと格差に関する限り「駄目な日本」というと根拠に欠けます。
格差に関して「駄目」というからには「本来あるべき格差」からどの程度離れているのか?という視点が必要ですが、それが提示されていないからです。
考えようによっては、もしかしたら、今の格差が「最良」かもしれません。
だって、「最良の格差の程度はどこか?」に関して、学問的には答えが出ていないのだから。
消費税アップでは良くならないことはデータが証明してるよね。
老後の生活の糧とする退職所得だろうが、
税率表をひとつにするべきと言っているのですね?
日本の税制を少しだけでもかじってから記事をエントリーするべきでしょう。
今のダメな日本を作り出した実行力の無い自称知識人にしか思えない。
富裕税に反対している方々は、机上と感情でしか物事を見ていないように見えます。
知識しか無い方々が社会の空気を読めない(読まない)のは往々にして有ることで、官僚はまさにそういった性質を持つ方々の方がが出世するしくみになっていますから、この国がこんな酷い借金を抱える羽目になったのではないでしょうか?
私には富裕税はとても現実的な方法に思えるのですが。
国のことを考えれば当然の措置でしょう。
まあ、そういうことです。
ワシントンを占拠せよ 庶民のティーパーティ(茶会)に発展する「ウォール街を占拠せよ」運動
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8419858a99531f821260046056d62edf
資産課税の実効性なんて学部レベルのお話でしょう・・・
もちろん素人が発言してはいけない、というつもりはありませんが限度があると思います。
わかっていて発言しているのなら橋本知事並のポピュリストでしょうし、この程度の知識が本当に無いのなら失望します。
野田内閣 復興増税・税と社会保障一体改革増税 ダブル消費税増税の危険性
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/5c5d4d54c9982954304a187bae48daed
20年続く不景気に東日本大震災と福島原発事故が重なった今の日本で、消費税増税をしたら、日本経済は即死だと思います。
消費税については次の記事を準備中で、近いうちに公開します。
だとしたら是正すればよい。
それだけのことじゃないかな。
「持ってる人が払えば良いのだ。」という考え方は道徳的で素敵な社会だと思う。
逆に、持てる者が弱者をどんどん搾取する社会は、犯罪者や自殺者や病人が増えていずれ崩壊するか、革命が起きるよ。
取り返しがつく今のうちに何とかしたいね。
>とか書いている人はなにがわかったんでしょうか。富裕層はあなたや私よりもずっと多くの税金を納めています。
>累進課税を支持するくらいなら、共産主義にしてしまったほうがいいですよ。
↑↑↑
今まで税金について不勉強だったという事を率直に感想として書いたまでで、別に「累進課税を指示する」とは一言も書いてませんよ。
他にも皆様のコメントで色々な考えがあることが分かり、またまた勉強になりました。
次回は消費性向から中産階級が担う経済活性化の役割を書いてください。
富裕層増税で経済は活性化します。
池上さんは確信犯だと思いますよ。
共産主義を採用してしまったほうが簡単だと思いませんか。
1:日本はジニ係数が世界的に見て低く、社会主義的と言われているにもかかわらず、さらに平等を目指したら、共産主義になってしまう点。
2:経済学的な常識として、所得税はフラットな方が経済の効率があがります。また、消費税は最も効率的な税としてよく知られており、上げた場合でも、一番経済への影響を少なくできるます。なので、不景気なのであれば、所得税はフラット化を目指すのがベターなはずです。
3:貧困率と書いていますが、ご指摘の貧困率は「相対的貧困率」という、ちょっと社会主義入った人が考えだした数字でして、ジニ係数のほうがよっぽど真実を表す数字なので、そちらを中心に議論すべきだと思います。アメリカの貧困層と日本の貧困層を一緒にされたら、あちらが、「一緒にするな」と怒ります。
4:日本の所得税の表やアメリカの所得税の表には、「地方税」が含まれていません。それはフェアな表だとは思えません。
5:経済学的には投資にかかる税金はゼロが基本です。投資がうまく行かなければ、全額持っていかれてしまうのですから、景気を良くしたければ、よりリスクを取る人が増えるよう、低くすべきです。
残念ながら、共産主義が陥った「お金持ちからお金を取り上げても、貧乏人はお金持ちにはならず、貧乏な人はより貧乏になった」という歴史的な事実から学ぶべきと思います。
素晴らしいコメントありがとうございます。
これからも格差問題について記事をアップする予定です。
近日中に消費税について書きたいと思います。
是非、それまでここだけのものでも結構ですからハンドルネームを固定していただいて、議論をさせていただけたらと思います。
私はしばらくの間、橋下府知事ファンを撃退するのが忙しいと思いますので(笑)、後ほどよろしくお願いいたします。
なお、記事では池上さんうっかり説をとっていますが、実際には池上さんは確信犯的に定率所得税ないし人頭税wを支持しているのだと思っています。
恐慌というのは、大きなバブルの崩壊の後に起こりますね。
したがって、バブルを予測できれば、恐慌を予見できますが、それは可能でしょうか?
そりゃ、100人適当な人を並べて、一年ごとに「今年は恐慌になる」と予測させれば、誰かは当たります。
そうではなく、官民で共同で未然にバブル崩壊対策を施しうるレベルで認識を共有できるかどうかというレベルでは不可能に近いでしょう。
なぜか?
人は、モノやサービスの本質的価値を判断できないからです。
バブルというのは、「本来あるべき価格から、現在の価格から乖離する」という現象です。
1000円のはずのものが5000円や10000円で取引される。
でも、モノが5000円するときには、皆それが当たり前の価格だと思って売買していますし、5000円の時に「なぜ1000円が正しいのか?」を矛盾なく説明する力を持ちません。
そして、乖離した価格はやがては修正するわけですが、その速度や規模が大きい場合に「恐慌」と言われるわけです。
では誰も見抜けないのか?
それはさすがに違います。
非常に敏い、しかもごく少数の人間はそれに気付き、かつ、さらに勇気があれば正しいポジションを取ることが出来ます。
では、そのような人物に中央銀行の運営を任せたらどうか?という話になりますが、さて、それを選ぶのは誰でしょうか?
バブルそのものにすら正しい認識を持てない大衆が、人の評価だけは正しく行えるとは、さすがに無理な話でしょう。
かつて、バブルを未然に防げなかったグリーンスパンを「マエストロ」と評したのは誰だったのか?
さらにその前の氏の「根拠なき熱狂」という警告を無視したのは誰だったのか?
そう考えると、バブルの規模はともかくとして、バブルそのものの発生と崩壊自体は、人間が人間である限りついて回るものかもしれませんね。
あと法人税率だけどこの問題になると大手企業の話になる。国内だけで頑張って毎年利益出してる中小企業は高い法人税率のまま税金納付してるんだけどな。
中小は赤字だから法人税率下げても意味が無いって言われるのもね。
安定的に少人数を事業規模に沿って毎年雇用してるし、大手と違って波は少ない訳で、日本の雇用下支えしてるのは中小企業でしょ…
何かおかしいんだけど。
年収が高いもの全員が投資に回す余力があるわけではありません。
今の日本の税制は、持たざる者が体一つで借金してリスクを抱え、雇用を創出し、努力をして頑張ろうとしているのに懲罰的な制度だと実感しています。しかも集めた税金をろくな使い方をしていない。今は税金を納めるのがばかばかしい、というのが実感です。
政官の徹底した無駄削減が先決で、あらゆる増税の前にすることがあるだろうと思います。
ただし、自然にそうならざるを得ない面があるけれども、一方では意識的に富裕層増税反対へ、走る傾きも生じてしまう。これを、人情と言うのでしょうか?
イヤハヤ、世相の流れに掉さす、このブログ頁のような人権重視は、ざらにいない忍耐強い方だから、感心しています。
池上さんの経済スタッフが、どうも弱体なのでは?
その点、実は、このように大恐慌を予測される場合に、やはりマルクス理論が欠かせないのではないですか?アメリカの経済関係者も、自信を喪失している昨今です。
これらの観点から、このブログ頁の検証は、なかなか厳しくて、参考になるでしょう。
さらに、日経、エコノミスト誌、ウォールストリート・ジャーナルなどを、併せて読んでみてくださいネ。
参考まで、、、
という部分ですが、ブログ主さんのこの指摘はさすがにいただけないかと・・・。
「社会保障と税の一体改革」を「持続可能な社会保障とその財政の確立」と定義した場合、年3.5兆では全然足りないからです。
一回こっきり3.5兆増えただけでは、3年で「社会保障費の自然増」でなくなってしまいます。
この「自然増」は、年1.2兆円です。
20年で24兆です。
つまり、急速な高齢化が進む現在においては、「2年に一度、1%消費税増」というようなペースで増税しないと、持続可能性がないというお話になります。
それが嫌なら「年金減らして、医療費の窓口負担でも増すか?」っていうことになります。
破綻したギリシャの連中が、身の丈に合った消費をせず、必要な分のコストも負担せずに騒いでいますが、こと社会保障と税に関していえば、日本も五十歩百歩ですね。
いま、年金の受給開始をどうやって68歳まで持っていくか議論されていますが、財政と高齢化率を考える場合、68が75であっておかしくない状況だと思います。
漢字が読めないのはどうかと思いますが、かの麻生さんは「中福祉を得たいならそれなりの中負担がいるんだよ」というようなことを選挙戦時に言っていましたね。
国民は「16.8兆円、どこからか出てくるから」っていうハトに投票しましたが。
バフェット氏の主張はニューヨークタイムスの「Stop Coddling the Super-Rich」に書かれています。
http://www.nytimes.com/2011/08/15/opinion/stop-coddling-the-super-rich.html?_r=1
超金持ちの税金の異常な優遇はおかしいみたいな事が書かれていますね。
で話は変わりまして、これを探す時にたまたま見つけたのですが、日本共産党の「大門議員 金持ち優遇やめよ」という記事なんですが、
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-07/2011100702_02_1.html
「証券税制の国際比較/株式譲渡1億円の場合の実効税率」というので日本10%、アメリカ26.4%、イギリス27.1%、フランス31.1%、ドイツ26.4%と書かれていました。日本が他国の半分以下なので笑ってしまった。
いろいろ見ていくと税には見直さなくてはいけない部分があるような気がします。
仮にこの課税で得た金を平等に分配する場合(分配面での所得に対する効果をイーブンにする場合)、累進課税は格差縮小的な役割を果たします。
そして、その累進度によって効果の強さが変わるというだけです。
仮に「今よりも格差を縮小した方が理想である」ことが明らかな時、累進課税を強化することでその目的に近づけるというだけです。
したがって、「あとどのくらい格差を縮小する必要があるのか?」を明らかにし、課税面、分配面で諸々ある手段の中から「なぜ累進課税の強化を選ぶのか?」と明らかにし、そして、累進課税の強化を選ぶことが最善である時に、それを用いればいいというだけの話です。
たとえば、仮に分配面でとある手段が累進強化よりも効果的である時、その手段を優先して行えばいいだけの話で、こうした前提を規定せずに手段の是非やそのレベルの高低を論ずることは意味が無いと思いますね。
あと「マネーゲーム」という言葉についてですが、定義が曖昧で論ずるに値しないと思います。
「諸々ある経済行為で、どれがマネーゲームで、どれがマネーゲームではないのか?」というライン引きが容易ではないからです。
米国の農家が、コーンと大豆の値段を勘案して、その時その時で利益の上がるだろう方を選んで栽培したり、「コーンが上がるだろう」という投機的な動機を元に栽培した時、それは「マネーゲーム」となるのか?
我々がなけなしの金を、自分で選んだ投資信託で毎月積み立て、それをプロが運用する時、その資産を提供する我々は「マネーゲームに加担」していることになるのか?
貯蓄した金が国債で運用される場合は?
年金の運用がなされる場合はどうなのか?
年金基金に「もっと運用益が上がれば老後が楽になるのに」とプレッシャーを掛けることはどうなのか?
キリがありません。
少なくとも、世の中の多くの経済行為は市場を介して行われ、そこでは「出来るだけ損をしないように(言い方を変えれば得するように)」皆は行動します。
「明日値上がりするから、商店に利益を持っていかれるよう、明日買おう」なんて奴はいないのです。
とすれば、マネーゲームとは、突き詰めれば皆の「合理的であろうとする行動」の集積であり、よく言われる「強欲な金融機関のマネーゲーム」とは、数ある経済行為の中の「目立ちやすい部分」であるというだけということになります。
「強欲」は皆にあるのです。
そして、資源配分の手段が実質的にそれしかない以上(市場に委ねないのであれば、人間が計画的に配分するしかない=計画経済)、それを否定してもしょうがないのです。
市場に変わって人が配分する実験は、盛大に行われた後、失敗しました。
ソ連を見れば、開放前の中国を見れば分かるでしょう。
我々は、マネーゲームという言葉に代表される、市場が持つ機能を否定的に見るというよりは、我々が強欲であることを認め、より市場が失敗しないような「使い方」を論ずるべきなのではないかと思いますね。
上記のタロ氏コメントで書かれているように、ここからいろいろと考えていこうとする姿勢に大いに賛同します。
この問題は以下のように分けて考えるべきなのでしょうかね?
◆累進課税
累進課税の是非をコメントしている人がいますが、池上氏の記事に以下の記述があります。
「上位20%の高額納税者が、連邦税総額の実に70%近くを負担している」
これを見ると、仮に国民全員同じ税率にしたら次のどちらかが起こるのではないでしょうか?
「政府の税収が激減して政府が成り立たない」「国民の10%くらいが餓死する」
累進課税になるのはしかたがないような気がします。
◆富の分配
例えば福島原発の事故現場で復旧作業をしている8次下請けの人の日当が、本来は日当10万円くらい出ているのにピンハネされまくって日当8000円程度になってると騒がれたことがあります。現場での作業は既に死者が3名出ているほど過酷なものです。明らかに富の流れがおかしい。そういう事をウォール街の人も感じているのではないでしょうか?
◆マネーゲーム
サブプライムの時は「家を持っているだけで富が増えていく」という異常な状態でした。この異常な状態を利用して金融界の人は莫大な富を得ました。で結局世界金融危機です。このアオリをくらって失業した人なんかは怒って当たり前だと思います。
◆税の抜け穴
ウォーレン・バフェットが訴えているように税の抜け穴が存在します。抜け穴は無くすべきですし、無くせないのならなんらかの対策をすべきです。raymiyatakeさん(URLを見るとこの名前でいいのでしょうか)が主張されている富裕税も良いアイデアだと思います。
最後に『格差が悪い』と単純なキャッチフレーズに飛びつくのは楽ですけども、そこで思考停止せずにじゃあどうすればいいのか。例えば富裕税はどうだろうかなどと議論を深めていく姿勢が大切だと思います。池上氏の記事にそういう姿勢が見えなかったのが非常に残念です。
お世話になっております。
投資の話になったので,おもわずコメントしました。
「と書いているのですが、バフェット氏は、そこがまさにおかしいと主張しているのです。キャピタルゲイン税率が著しく低いことを利用して富裕層の実質所得税率が極端に低くなってしまっているのがおかしいのです。」
とありますが,先生と池上氏の記事しか読んでないので,あまり自信はないのですが,バフェット氏は先生が言っておられる趣旨でおかしいと言っているのでしょうか?
私は少し疑問に思います。
キャピタルゲインによる収入は,要はバクチによる収入で,働いただけ返ってくる収入ではなく,当然リターン以上のリスクが存在するわけです(つまり,富裕層でも突っ込めば突っ込むほど大損害を受けるリスクを負うわけです。)。
信用リスクだけ負い,相場変動リスクを他人に押し付けるインカムゲインなら,多少は富裕層に不利な税制をすべきだというのはわかりますが,キャピタルゲインは,自ら相場変動リスクを負うので,あまり税率を上げると,だれもやる気が起きなくなります(それをフォローする税制もありますが)。
そうすると,キャピタルゲインで儲けようとする人が減り,株式市場等がお寒い状態になってしまい,企業の直接金融による資金調達や,市場の活性化などが停滞するおそれがあります。
そうなると,銀行等の間接金融ばかりに資金が流れてしまうことになりかねないわけです。
投資被害弁護士としては,素人はローリスク・ローリターンな間接金融の方がお勧めですが(間接金融でも投資信託や仕組み債などリスクが高いものもありますのでご注意),市場が活性化を望み,銀行や生保等の金融機関による企業支配を少しむかつくと思っている一市民としては,やはり取引の適合性がある人は,積極的に相場市場に資金を突っ込んで,市場の活性化や直接金融の活性化されて欲しいなあなんて思っちゃいます。
ただ,ギャンブルは,お金持ちの方が勝ちやすいという法則があるので,それを考えると,多少富裕層に不利な税制でもいいのかもしれないなあと思ったりもします。
取りとめもなく,書きなぐっちゃって,すみません。
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日本の法人税率は高いか
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51508393.html
上記サイトより引用『平均の法人税率が40%なのに、財界系企業が30%以下だということは、法人税にも古い重厚長大企業を保護する「老人バイアス」があることを意味する。』
そのサイトに細かいデータが書いてありますが、上位100社平均の実効税率調べたら33.7%、日本全体の実効税率で見たら40%ってことです。
あちこちが歪んでいますね。
まさか「上下格差全く無しが理想の格差」ということはないでしょうから(働かなくても働いた奴と同じだけもらえる社会)、「理想の格差の程度」というのがあるはずです。
果たしてそれはどれくらいなのか?
客観的に示す必要があると思います。
格差を論ずる時、まずそれを明らかにする必要があります。
ジニ係数で言うと0.2か?0.3か?それとも0.5か?
もし、0.5が理想だったとしたら、「今より格差が拡大した方が良い」という結論になりますし、0.2ならその逆の結論になります。
この点は重要だと思うんですがね。
また、格差を論ずる場合、その格差を実質的に左右する再分配全体の議論が欠かせませんが、そうなると税制だけを取り上げるのは片手落ちかと思います。
実質的な国民負担である社会保障負担、そして分配面では給付面を含めて「バランスが取れているのか?」を論じなければならないかと。
例えば、税金で偏っていても、社会保険料でそれを補完していれば問題ないですし、バランスの良い負担をさせていても、給付が偏っていては問題があるからです。
とか書いている人はなにがわかったんでしょうか。富裕層はあなたや私よりもずっと多くの税金を納めています。
累進課税を支持するくらいなら、共産主義にしてしまったほうがいいですよ。
>わかりやすく伝える。これは物凄い努力のいることです。難しいことを難しく伝えるのは比較的簡単なんですよね。というか、それって「伝える」ことになっていません。
その通りですね。このブログのコメントにも同上の方が時々見受けられるので・・ちょっと疲れますが(もちろん!スルーしてます)