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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

沖縄差別の象徴 普天間基地移設問題の解決方法は撤去・廃絶のみ

2011年09月08日 | 沖縄差別の解消と基地問題

 

もはや出口なしとも思われる普天間基地移設問題にも可能な解決方法はあると思います。

 

1 素人なら素人らしく  

一川保夫防衛相が9月11日から野田内閣の閣僚として始めて沖縄を訪問し、仲井間沖縄県知事と会談します。 

一川防衛相は、就任直前に「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と発言したことで一躍有名?になりましたが、これについて、同防衛相は先日の就任記者会見で、「あらゆる分野で国民的感覚、一種の素人的な感覚でしっかり対応したいというのが自らの政治姿勢だ。そういったことが、そういう発言になったかもしれない」と釈明したと釈明しました。 

普天間基地問題は、野田民主党政権ののどに刺さったとげのような問題ですが、ならば、まさに国民的感覚で普天間基地移設問題に取り組んだらどうでしょうか。 

 

2 普天間基地移設問題の歴史と背景 

普天間基地移設問題がこれだけこじれているのには歴史があります。 

沖縄は、大日本帝国により、本土決戦を遅らせるための捨て石として使われました。その結果、日本で唯一地上戦の行われた沖縄では20万人が犠牲となったのです。 

戦後は沖縄の地主の意思に反し広大な土地が接収され、次々と米軍基地が建設されました。今も沖縄県全体の1割余、人口が集中する沖縄本島の2割弱が米軍施設・区域なのです。 

自民党は10年以上前に沖縄の了承を取ることなく、普天間基地を辺野古に写すという県内移設をアメリカと合意してしまいました。 

民主党の鳩山由紀夫前首相は、一時は普天間の「最低でも県外移設」を明言しておきながら、今年2月、首相当時の昨年5月に米軍普天間飛行場の沖縄県外移設断念の理由に米海兵隊の「抑止力」を挙げたことについて「後付けの理屈」、つまり、方便だったと言い放ちました。 

このように沖縄が本土の都合で踏み続けられている「沖縄差別」が、普天間基地移設問題の根本なのです。



2009年11月8日、宜野湾市に集まった2万1000人の集会


3 普天間基地は米国本土では存在が許されない差別の象徴

ところで、イタリアの基地では夏場の昼寝の時間帯には一切米軍機が飛びません。 

 同じ海兵隊基地でも、米国本土のキャンプ・ペンドルトンでは、民間地上空を軍用機が飛ぶことは全くないのだそうです。
 そもそもアメリカ本国では新型機配備の際は環境影響評価(アセスメント)を実施し、自然環境に与える影響などを詳細に分析しています。滑走路両端の一定区域には一切の構築物を建ててはならないクリアゾーンをもつことが米軍の安全基準となっていますが、普天間はその基準さえ満たさないのです。 

普天間では、その米国の基準では建物があってはならないクリアゾーンに18の公共施設があり、4千人が暮らしています。 

市街地のど真ん中にある普天間基地が「世界で最も危険な飛行場」、といわれる所以です。 

普天間基地は米国本国ならば存在さえ認められない飛行場なのです。 

ところが、沖縄では、米軍は夜間の発着を原則禁止とする協定を結んでも平然と破り、明け方まで爆音をまき散らすのです。 

これが差別でなくて何が差別でしょうか。欧米人に比べて日本人の命と健康は軽いと言わんばかりです。 


 

 

4 「未亡人製造機」オスプレイの配備 

来秋には、そんな普天間基地に、これまで全世界で7回も墜落した「未亡人製造機」=パイロット殺し、垂直離着陸機MV22オスプレイを配備する予定になっています。 

予定とは言いますが、いくら情報が出ても政府がオスプレイ配備を認めることはありませんでした。それなのに米国が発表するや、何の異議を挟むのでもなく沖縄県や宜野湾市などに伝達したのです。 

沖縄の基地と原発建設と決定的に違うのは原発はまがりなりにも立地自治体の了承を取り付けている点です。また、事故後は、政府が不十分とはいえ脱原発も含めたエネルギー政策転換に踏み込んでいます。これに対し基地問題は地元沖縄がとことん拒否し続けても政府は普天間県内移設にこだわっているのです。

 海兵隊のヘリコプターが宜野湾市の沖縄国際大学に墜落して8月13日で7年が経過しました。 

当時の小泉純一郎首相は事故後、観劇を楽しむ一方、沖縄県知事との面談は拒否しました。今、東京や大阪で同じ事故が起こったら、石原都知事や橋下府知事との面会を断れるでしょうか。

沖縄の街中の大学にいきなり軍用機が墜落する理不尽な環境を、政府はいつまで放置し続けるのでしょうか。

 

米軍 沖縄に枯れ葉剤を埋めて隠蔽・「未亡人製造機」オスプレイ配備 沖縄差別を忘れないで

 



沖縄国際大学での米軍ヘリ事故

 


 未亡人製造機オスプレイ

 


5 踏まれ蹴られ続けた沖縄

野田内閣は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を盛り込んだ米国との合意を引き続き推進する方針を示しました。

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題を巡り、防衛省の中江事務次官が、9月1日、沖縄県の仲井真知事と会談した際、名護市辺野古への移設を進めるため、環境影響評価の手続きの最終段階となる「評価書」を年内にも沖縄県に提出する意向を伝えたのです。

玄葉光一郎外相は、9月5日、米軍普天間飛行場の移設問題について

「日米合意に基づいて進めていく」

と述べ、現行の辺野古移設案を推進する考えを表明し、

「沖縄の負担軽減は大事なので、踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄の皆さんに向き合っていく」

と話しています。

 心優しい沖縄人は外相を蹴ったりしませんよ。

 しかし、これまで踏まれて蹴られてきたのは沖縄の人々なのをわすれてはなりません。

 

玄葉外相「沖縄に向き合う」なら普天間基地は辺野古移設でなく廃絶を!

 


 同じく宜野湾市の集会



6 海兵隊は日本に不要

 普天間基地の移設、移設と言いますが、本当に普天間基地が必要なのかは、まさに福島原発事故前の原子力発電所と同じく、真剣には検討されてきていません。

 普天間基地は海兵隊専用の基地です。そして、海兵隊は米軍の陸海空軍とは別の、海外での緊急展開部隊です。自国では活躍する場がない。。。。つまり、有り体に言えば侵略部隊なのです。

 そして、海兵隊は、湾岸戦争やアフガン、イラク戦争などで「活躍」していますが、こんな侵略部隊が「専守防衛」の日本にとって必要なのでしょうか。

 仮定の話ですが、米国の海兵隊が日本にいる意味は、中国が台湾に侵攻したときに奪回するとか、北朝鮮に攻め込む、という場面しか考えられません。

平和憲法の日本がそういうことに協力すること自体が違憲ですが、万歩譲って、そういうことも想定すべきだとしても、日本の防衛のためではない、そんな先制攻撃のための部隊が常時日本にいる必要性はないのです。日本から中東に海兵隊が出張っていったように、グアムなどから日本に来ればいいでしょう。

普天間基地撤去・廃絶を 辺野古移設の現行案は達成不可能 米国上院軍事委員会 米海兵隊は日本に要らない!


映画「フルメタルジャケット」より

 

 

7 普天間基地は撤去・廃絶しかない

 物事の判断は、メリットとデメリットを秤にかけるべきです。

 原発推進か脱原発かも原発事故の危険性も含めてこれからは判断されるでしょう。

 普天間基地のあまりに大きいデメリット、沖縄の負担を考えれば、メリットは小さすぎて話になりません。

 基地廃絶のデメリットですが、普天間基地の移設を断り、廃絶をしたからといってアメリカが日本と国交断絶するわけもありません。日米安保条約を廃棄するわけではないんですから。

フィリピンだって、米軍のスービック基地とクラーク基地を撤退させましたが、友好関係は続いています。

日米の外交関係がぎくしゃくしたとしても一時のことです。

 

同盟の危機だって? 米大使館が新聞の普天間報道に呆れ顔 週刊文春


 

沖縄差別の解消のため、普天間基地は廃絶するしかない

普天間基地廃絶のメリットは、沖縄県民の負担からの解放です。そして、沖縄差別解消への第一歩となることです。

 他方、現実的にいって、県外移設も海外移設も事実上不可能である事は、もう確認済みでしょう。

 逆に、辺野古への移設だって、これだけ地元住民が反対しているのに無理だし、やるべきではありません。また、それでなくても世界一の基地で沖縄発展の最大の妨げになっている嘉手納基地に統合することは論外です。

 海兵隊基地の存続を前提として考えるから無理があるのです。

 普天間恒久化を脅しの材料に辺野古への移設が強要されたり、逆に辺野古移設が沖縄県民の反対で断念された結果、普天間がそのまま残るという結果を避けるために、「普天間廃絶」こそが必要であり現実的だと考えます。

伊波洋一宜野湾市長の講演 速報

名護市市長選挙 普天間基地移設反対派市長が誕生!

 

 

 

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3 コメント

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言いたいことはわかります (774)
2011-09-22 16:30:54
しかし普天間基地が出来た当初、周りに民家なんかありませんよ。これは当時の航空写真を見れば一目瞭然ですがね。
それに沖縄国際大学に米軍機が墜落したのに沖国からは普天間反対の意見があまりないですよね。沖国自体が普天間基地の思いやり予算、余剰電力や余剰水道なんかを無料で使わせてもらってるから経営破綻せずにすんでいる現状で、基地が無くなると沖国自体に経営破綻の危機が訪れるからではないですか?
他方からの意見なども勉強した方がより他の人に上手く沖縄の現状を伝えられると思います。
でも現政権に振り回されてる感は否めませんね…
返信する
沖縄国際大学では (ray)
2011-09-22 17:43:07
毎年、抗議集会を開いていますよ。
学長以下教員と学生さんたち数百人でやっておられます。

今年も普天間基地の早期閉鎖を求める集会をされました。
日本テレビの動画
http://www.news24.jp/articles/2011/08/13/07188559.html

事実に基づいて考えないと沖縄の方々に失礼だと思います。

普天間基地が出来たときに周りが否かだったかどうかではなくて、いまが危険かどうかが問題だと思われませんか?

いまを生きる沖縄の方々を大切に。
返信する
Unknown (ひろ)
2012-02-06 22:51:01
こないだテレビでざこば師匠が普天間基地近所の家々を聞いて回ってましたが 皆さん大して基地を気にしとらんとゆうてました ある方は表向きは反対だけど…ね と 若者たちは 全く無くなったら経済もだめになるし 支那が来そうで怖いと… の 考えの方もいるのも事実です 私は基地万歳派ではありませんが くそマスコミみてたら沖縄県民総員が反対してるみたいな報道はまさに戦前の新聞社を連想します 意見は両者あって当然でしょうね しかし何故危ない基地の周りに皆さん引っ越してきたのでしょうか(*_*)まるで伊丹空港利権が好きで文句言ってる方がたみたいにみえます ←ちなみに関空ができたとたんに伊丹存続にかわりましたが…
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