「政府案は統一教会のやり方を把握されていない。統一教会は法人ではなく個人に献金される。消費者契約法を引っ張ってきているが禁止行為が狭すぎる。統一教会にはほとんど適用されない」
と語る阿部弁護士。
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岸田政権は2022年11月18日に統一教会問題を受けた被害者救済新法の概要を与野党に示しました。
子や配偶者に生じた被害を救済する仕組みなど、野党の主張を一定程度盛り込んではいますが、何しろ法律を作るとこれは与党公明党と一体の創価学会や、神社神道など自民党の支持母体にも同じく適用されますので、非常に腰が引けた案になっています。
例えば、年収の4分の1以上の献金はダメだという野党案の上限規制さえ、公明党は
「実効性も含めてあり得ない」
と猛反対したのですが、いったい、創価学会は信者さんたちからどれだけ献金を搾り取っているのか、そっちの方が恐ろしくなります。
公明党は、上限規制の代わりに「建物等の処分」で寄付の原資を調達させることを禁止する案を「事実上の上限規制」と主張していますが、給料を丸ごと献金したり預貯金を取り崩した場合はもちろん、株式や田畑や森林や宝石を処分して作ったお金なら無制限に寄付できるとか、ちょっと考えても抜け道があり過ぎます。
消費者庁が示した資料から見た、被害者救済新法の骨子ですが
1 寄付勧誘に関する一定の行為を禁止。禁止される行為は、消費者契約法に定められた取り消し事由(不退去、退去妨害、霊感等による知見を用いた告知など)の6項目
2 上記の禁止行為による寄付は、意思表示の取り消しが可能に
3 家族の寄付で被害を受けた子どもや配偶者を救済するため、扶養義務などにかかる債権を保全する形で子どもらによる取り消しも可能に
4 借り入れなどによる資金調達の要求を禁止
5 措置命令違反に対する刑事罰を適用
となっています。
1と2はそもそももう消費者契約法で取り消しができたんですから、新法を作る意味がありません。
また、この取消権は2018年の改正で規定されたんですが、使い勝手が悪くて実際に使われた裁判例はない、という代物です。
酷いのは、統一教会などの「信者」の意思表示の自由を尊重する趣旨から、民法の債権者代位権(民法423条)類似の制度として採り入れられた3。
これだけが、二世信者など「信者」の家族を救済する条項なのですが、債権者代位権は債権者が債務者に対する債権を保全するために、債務者が第三者に対して有する債権を代わりに行使するという制度です。
統一教会で言えば、「信者」の家族(債権者)が「信者」(債務者)に対して有する債権(扶助請求権)を保全するために、「信者」(債務者)が第三債務者(統一教会)に対して有する債権(献金の取戻し権)を代わりに行使します。
しかし、あくまで、家族の扶助請求権を行使するためにその限度で行使できるだけなので、毎月5万円の養育費が請求できる二世信者は、たとえ親が統一教会に対して1億円の献金の取戻し権を有していても、月額5万円×12×満18歳に達するまでの年数分しか、権利を代位行使できないんですよ。
こんなの、もらった献金は返したくないという創価学会など既存の宗教の利益を守るために、肝心の統一教会の二世信者らご家族の権利を踏みつけにしたも同然ではないですか。
また、現行の消費者契約法は本人に将来不利益が生じると不安をあおる手口を規制対象としているのに対して、政府の救済法案は家族を含めた現在の不安を悪用する手口にも拡大する、というのですが、そこに
「不利益を回避するためには、契約が必要不可欠」
と統一教会側が言ったという厳しい要件が加わってしまっています。
統一教会が「あなたやご家族が不幸にならないためには献金が必要不可欠」と言わないと取り消せないというのですが、そこまで確定的な約束はこれまでもしてこなかったでしょうし、これからは統一教会や他の宗教団体も、献金が必要不可欠とまではいいませんが、あなたとご家族が不幸にならないためにとても役に立つことでしょうなどという言い方をするだけのことではないですか。
まさに、全国霊感商法対策弁護士連絡会が記者会見で
「加害行為の実態に即していないため、被害救済のためにはほとんど役に立たないものとなっている」
と言った通りの内容です。
11月18日の与野党6党の幹事長級による会談後、自民党の茂木幹事長は
「各党の主張も可能なものは取り入れられている」
と語り、公明党の石井啓一幹事長は
「おおむね評価している」
と言っているのですが、公明党が真っ青になって反対するような案でなければ、統一教会の「信者」やそのご家族は救われないというリトマス試験紙です。
救済法案の名に値しない岸田政権の救済新法は白紙撤回し、全国弁連が主張するマインドコントロール下の献金を規制することも含めて練り直し、今の臨時国会を年末ぎりぎりまで延長してでも成立させるべきです。
決定版 マインド・コントロール
今回の岸田自公政権の「救済」新法案で、公明党と創価学会が飲める案ってこんなに幅が狭いのか、いったい創価学会や他の新興宗教ってどれだけ献金させてるんだと空恐ろしくなりました。
宗教とさえ言えない統一教会の「信者」救済を突破口に、他のカルト宗教団体の献金の実態も暴かないとダメですね。
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2022年11月4日
今国会での被害者救済に向けた法整備を求める声明
全国霊感商法対策弁護士連絡会
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
事務局長 弁護士 川井康雄
1 本年11月1日に行われた悪質献金等被害者救済の法整備を議論する第4回与野党協議会において、与党は、高額献金への規制などを柱とする新法について、今国会での成立先送りを提案したと報じられている。これに伴い、与党は、消費者契約法等の改正や現在の制度の強化・充実による対応だけを行う方向のようであるが、それでは被害者救済として明らかに不十分である。
2 世界平和統一家庭連合(以下「旧統一教会」という。)による新たな被害を防止し、あるいは発生した被害を実効的に救済するためには、少なくとも旧統一教会による被害の中核である信教の自由の侵害及び財産権の侵害を規制する新法の成立が不可欠である。また、旧統一教会以外にも存在する、市民の思想・良心・信教の自由等の人権を侵害する団体による被害の防止及び救済、現在大きく問題になっている家族の被害も、新法が成立しなければ正面からの対処が困難である。
与党も、いわゆるマインドコントロール下の行為を明確に定義付けた上で禁止することや、禁止を担保するための行政処分等の創設、家族被害の救済策などについては今後検討するとしているのであり、大筋の方向性としては野党と一致しているはずである。
旧統一教会の被害は、国が30年以上放置してきた問題であり、そもそもこれ以上時間をかけるべきではない。また、同被害には現在進行中のものもあり、その被害拡大防止及び新規被害の発生防止の観点からも一刻も早く被害者救済策を示すことが強く求められている。
これ以上先送りせず、被害抑止・被害者救済という観点から、与野党一致して、今臨時国会内で速やかに被害者救済の法整備を行うべきである。
以上
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済をめぐり、政府は18日、新たな法案の概要を示した。法人が寄付の勧誘をする際、個人の不安をあおる行為を禁じるなどの内容だが、法規制を求めてきた弁護士からは「極めて不十分な内容で、ほとんど役に立たない」との声も漏れており、政府が目指す今国会での成立は見通せていない。
「骨抜きになる」立憲・維新批判
政府が18日、与野党6党の幹事長・書記局長会談で示した新たな法案の概要は、個人から法人に対する寄付を規制。居住する建物を売却したり借金をしたりして寄付をするよう法人が求める行為を禁止した。また勧誘する際に現在や将来の重大な不利益を回避できないとの不安をあおることや、不安に乗じて不利益を回避するためには寄付をすることが必要不可欠であると告げることも禁じた。
また、禁止された勧誘行為により困惑して寄付の意思表示をした個人は、寄付を取り消すことができる(取り消し権の行使期間は最長で10年)と明記。家族も寄付の取り消し権を行使することを可能にする特例措置を導入するとした。ただ、マインドコントロール(洗脳)下にある人の寄付取り消しについて、政府は「洗脳の定義はせず、行為を禁止した」と説明した。
禁止された勧誘を行った場合、首相は法人に是正を勧告、命令し、それでも従わない場合は、刑事罰を適用する。<picture></picture>
政府は、概要に沿って法案作成作業を進め、今国会への提出と成立を目指したい考えだ。
だが、18日に示された概要への評価はさまざまだ。立憲民主党や日本維新の会は、洗脳下にある人の寄付の取り消しや寄付の上限の目安を設けることを求めてきた。立憲の岡田克也幹事長は寄付上限の目安が含まれていないと指摘し、「事実上、上限はないに等しい」と批判した。維新の藤田文武幹事長も「少し物足りなさを感じている。骨抜きになる懸念が大きい」と語った。
宗教団体の創価学会を支持母体に持ち、「野党主導」の新法案が宗教界全体の活動制限につながることを懸念してきた公明党は、政府案が「高額」寄付規制ではなく「悪質」寄付規制にとどまったことに安堵(あんど)。石井啓一幹事長は18日、記者団に「我々は評価している」と語った。国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「われわれの考えはおおむね入っており評価する」と述べた。
岸田政権は新法案の会期内成立を目指すが、最終的に野党側の協力を得られるかは、世論や被害者が政府案をどう受け止めるかにかかっている。政権が目指す「会期内成立」が実現しなければ大きなダメージになるが、世論の支持を十分に得られていない法案を強行で可決させる場面は避けたいのが本音。対野党の折衝や国会運営で今後も難しい判断を迫られる。【畠山嵩、安部志帆子】
「極めて不十分」「借金禁止は画期的」
法案の実効性について、元信者や救済に尽力してきた弁護士らはどうみているのか。
過去に多額の寄付をした元信者の男性(39)は「何らかの規制を設けることになったのは良かった」としながらも、実効性には疑問を感じている。野党が求めていた寄付金額の上限規制が盛り込まれなかった点が「特に残念」という。
男性は20代の7年間で、計500万円を教団に渡した。半分は献金で、もう半分は「買わないと地獄へ落ちる」と言われて購入した貴金属や衣類の代金だった。「当時は生活を切り詰めて、給料をほぼ教会に使っていた。信者はそうやってめいっぱいの額を渡そうとする。だから1億円を超える高額献金者の問題が出てきてしまう。上限は必要」と訴える。
法規制を求めてきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)代表世話人の山口広弁護士は「極めて不十分な内容でがっかりしている。私たちがこれまで接してきた被害者の救済や被害防止には、ほとんど役に立たない」と失望を隠さない。
最も批判するのが、禁止行為の要件に「不利益を回避するには寄付が必要不可欠、と告げること」を挙げた点だ。「勧誘する側が『必要不可欠』などと言うわけがない。言われても立証はほぼ不可能」と語る。「個人から法人への寄付」を対象としたことにも「教団内の小グループや個人に寄付する場合は、規制対象にならない。抜け道はいくらでも作れる」と懸念する。
有識者は課題を指摘しつつ、一定の評価もする。消費者行政に詳しい国民生活センター前理事長の松本恒雄・一橋大名誉教授は、借金や住宅売却による寄付の禁止を盛り込んだ点が「画期的だ」と述べる。取り戻す献金の対象となる子どもの養育費や生活費などに将来分も含まれた点を特に評価し、「現行法制に比べ、献金を取り戻す点で家族の救済の範囲が広がったのではないか」と話す。
ただ、「金額は個別に家庭裁判所が判断することになる。献金額ではなく、あくまで扶養に必要な金額で決まるため、多額の献金を取り戻せる仕組みにはなっていない」と指摘する。
法案のたたき台となる報告書を作成した消費者庁の有識者検討会で委員を務め、カルト団体やマインドコントロールの問題に詳しい西田公昭・立正大教授(社会心理学)は「子や配偶者ら親族が寄付を取り消しできるようにするなど、寄付の問題を解決する面で全体として前進した内容になっている」と評価する。ただ、「本人による寄付の取り消し期限は最長10年となっているが、信者の中には10年以上たって被害を受けたと気づく人だっている。どこまで救済できるかは不透明だ」と指摘した。【春増翔太、神足俊輔、金秀蓮】
声明では、宗教法人などによる正体を隠した上での勧誘方法を正面から規制するべきとしています。あわせて、立憲民主党や日本維新の会が提出した野党案を修正して検討するべきとしています。
会見で紀藤正樹弁護士は、「抜本的な改正をすると考えていた。ところが、でてきた案は接ぎ木のようになっている」「霊感商法のかなりの部分が救えない。一度も使われない法律になりかねないという懸念を持っている」と述べました。
被害者救済新法はやはり“ザル”だった 全国弁連も「違法性を狭めかねない」と骨抜きを危惧
11/20(日) 9:06配信
新法で被害者は救済されるのか…(C)日刊ゲンダイ
案の定の展開だ。岸田政権は18日、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題をめぐる被害者救済新法の概要を与野党6党の幹事長・書記局長会談で提示。そこにはマインドコントロールの定義もなければ、寄付の上限規制もなかった。先んじて独自法案を提出した立憲民主党など野党は非難囂々だ。
【写真】安倍新内閣はまるで“カルト内閣”…統一教会がらみ12人、日本会議系も12人(2019年)
政府が提示したのは、「被害救済・再発防止のための寄附適正化の仕組み」と題した文書2枚。規制対象は個人から寄付金を集める法人と定義し、借金や居住中の建物などを処分して寄付金を調達するよう要求してはならないとした。寄付をしないと重大な不利益を避けられないと不安をあおる行為も禁止し、違反した場合は刑事罰を適用する。
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の代表世話人を務める山口広弁護士は、「統一教会による被害の実態を理解しているとは到底思えない。これでは全く役に立たないし、むしろ違法性の範囲、つまり救済の範囲を狭めかねない」とこう続ける。
「規制対象を『法人』に限定すれば、教団側は〈信徒会がやった〉などと信者に責任を押し付け、言い逃れするでしょう。せめて『法人もしくは団体の役職者』に広げないと、網をかけられない。〈借り入れ等による資金調達の要求の禁止〉も同様です。献金返還を求めた民事判決で認定されたのは〈献金勧誘行為〉まで。〈要求〉ではなく〈勧誘〉にすべきです」
とにかく問題だらけだ。文書には〈霊感等による知見として、本人や親族の重要事項について、現在又は将来の重大な不利益を回避できないとの不安をあおり、又は不安を抱いていることに乗じて、当該不利益を回避するためには寄附をすることが必要不可欠であることを告げること〉と記載されている。
「一度お金を出した被害者は正常な判断能力を失っているケースが少なくない。当初は不安につけ込まれて献金しても、2回、3回となると〈氏族メシアの使命を果たさなければ〉などと教義に基づいたトークにやられてしまう。〈不安を抱いていること、もしくは正常な判断ができない状態にあることに乗じて〉ぐらいに範囲を広げ、〈必要不可欠〉の〈不可欠〉は取り除いてほしい。〈あなたやご家族に必要ですよ〉とは言っても、〈必要不可欠です〉と断言することはありません」(山口広弁護士)
ちなみに、国民民主党は「われわれの考え方はおおむね入っており、評価する」(榛葉幹事長)としている。どっちを向いているのか、しっかり覚えておきたい。
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安倍晋三元首相を銃撃したとされる山上徹也容疑者の母親は、その父、容疑者の祖父から提供された資金を寄付に充てたとされていますね。この寄付が取り消されても、祖父には戻りません。なぜなら、容疑者の母と祖父の間での金銭の流れは闇の中だからです。祖父からは寄付ではありませんから、母親に順法精神があれば当然贈与税の申告をします。伝えられている寄付金額から見ると、当然贈与税の対象ですが、まず間違いなく脱税ですね。
統一教会の構成員、つまり信者たちは、多くは親族から金銭をむしり取って寄付をしていると思われます。「寄付する金がなければ、闇金から借りるしかない。私がどうなってもいいのか。」等々の脅迫的言辞を持ってむしり取っているのです。当然足がつかないように現金渡し。これでは、寄付を取り消したところで構成員に戻るだけで、もともとの資金提供者には戻りません。構成員は戻った寄付金をまた寄付するということになるでしょう。統一教会にとっては、痛くもかゆくもない結果になるだけです。
本当に、統一教会の実態を調査したのでしょうか。被害者の声、訴えをしっかりと聞いたのでしょうか。
まさかとは思いますが、加害者の声だけを聴いていたのではないですか。
何しろ、統一教会政権ですから。