在日米軍は10月から横田基地に、オスプレイ5機を正式に配備する。同基地の「日米友好祭」で展示されたオスプレイを見学するために並ぶ人たち=同基地で2018年9月15日、黒川将光撮影在日米軍は10月から横田基地に、オスプレイ5機を正式に配備する。同基地の「日米友好祭」で展示されたオスプレイを見学するために並ぶ人たち=同基地で2018年9月15日、黒川将光撮影

基地のある福生市出身、大妻女子大の高田准教授に聞く

 米軍横田基地(東京都福生市など)に1日、垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ5機が正式に配備された。福生市出身で米国の航空政策に詳しい大妻女子大の高田馨里(かおり)准教授(49)は、地元の議論が深まっていない中での配備に疑問を呈する。高田准教授に配備への感想などを聞いた。

 大人から「丘の上は危ないから近づくな」と言われて育った。高台にある横田基地は、あって当たり前の存在であるとともに、触れてはならない存在と幼心に感じていた。

 米軍関係者を相手に商売する人や米兵の父親を持つ子供は多く、私の父も若いころに米軍関係者を顧客とする自動車修理工場で働いていた。基地問題について家族や友人と話しにくい風潮があった。

 歴史的要因もある。横田基地は旧陸軍基地を接収して造られた。民有地を取り上げるようにして造られた沖縄の多くの基地とは異なり、住民との間で土地所有権を巡る問題が生じることはなかった。主に輸送機が離着陸するため戦闘機の訓練が少なく、近年は深刻な事故は起きなかった。

大妻女子大学の高田馨里准教授=東京都千代田区の大妻女子大学で、川上珠実撮影大妻女子大学の高田馨里准教授=東京都千代田区の大妻女子大学で、川上珠実撮影

 しかし、今回のオスプレイ配備によって、軍事空輸拠点としての横田基地の機能は大きく強化される。オスプレイは横田から米軍厚木基地を通って米軍横須賀基地へと飛行する可能性が高く、都心部の住民が影響を感じることは少ないだろう。その一方で、事故の恐れや騒音など、飛行ルートに当たる多摩地区やその周辺部の住民が受ける影響は大きくなる。本土が沖縄に負担を押しつけてきたように、中央が周辺住民に負担を押しつける構図が東京でも再現されることになる。

 私の大学在学中に東西冷戦が終わり、「なぜ、戦後何十年たっても日本に米軍の基地があるのだろう」と疑問を抱いた。日本には領空上の主権がないことに気づいたことが研究を始めるきっかけになった。このまま配備が続いていいのだろうか。オスプレイの正式配備で問題がより切実になった今、地元住民が身近なテーマとして議論を深めていくべきだろう。【聞き手・川上珠実】