Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

国連報告書「日本は年間1ミリシーベルト以上被ばくの地域の避難に伴う住居や教育、医療などを支援すべき」

2013年05月24日 | 福島原発事故

 

 被ばく問題を調査していた国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が2013年5月24日明らかになりました。

 これによると、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう日本政府に要求しています。これに対して日本が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、

「人権に基づき1ミ リシーベルト以下に抑えるべきだ」

と指摘しています。

安倍首相が浪江町を訪問「時が止まったようだ」 放射線管理区域の4倍の年20ミリシーベルトでも避難解除準備

 このほか、事故で避難した子供たちの健康や生活を支援する「子ども・被災者生活支援法」が2012年6月に成立したにもかかわらず、いまだに支援の中身や対象地域などが決まっていない現状を懸念し、

「年間1ミリシーベルトを超える地域について、避難に伴う住居や教育、医療などを支援すべきだ」

と求めています。

子どもたちが給食を食べて内部被曝することを容認する文科省は存在価値がない


 このように、ICRP(国際放射線防護委員会)でさえ、緊急時のみの基準としている20ミリシーベルトを、福島原発事故が収束したと言いながら未だに基準としている日本は、福島やその他の地域の住民の「人権を侵害」しているのです。

原発推進派が大慌て! ICRPの基準に科学的根拠なし NHK「低線量被ばく 揺れる国際基準」の衝撃!!

 また、数々の問題点を指摘されている福島県民健康管理調査についても、この報告書は、子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視しています。そして、白血病などの発症も想定して尿検査や血液検査を実施するよう求めています。

内部被曝は外部被曝よりはるかにダメージが大きい 内部被曝の恐怖39

 さらに、甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう求めているのです。

山下俊一福島県立医大副学長と福島県の県民健康管理調査の闇 秘密会議ですり合わせ 県民はモルモット

 そもそも、被ばく、特に内部被曝の恐怖は、数十年にわたっていつどんな被害が出るかわからないことです。この国連報告書がいうように、危険な可能性が少しでもあるのだから、1ミリシーベルト以上の地域に住んでいる人が避難・疎開したいときには公費で支援すべきです。その方が今さら無駄な除染をするより、ずっと安上がりでもあるのですから。

福島県郡山市の幼稚園児の体重増加が昨年の4分の1 一刻も早く集団学童疎開を!

 

 

いつになったら日本は人権の国際標準に達するのか。

そして、わたしも原発事故に対する自分の感性が薄れているのに愕然としました。。。(猛省)。

お手間でしょうが、ぜひ、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

 

 

毎日新聞 2013年05月24日 15時00分(最終更新 05月24日 16時59分)

 東京電力福島第1原発事故に よる被ばく問題を調査していた国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が24日明らかになった。福島県が実施する県民健康管理調査は 不十分として、内部被ばく検査を拡大するよう勧告。被ばく線量が年間1ミリシーベルトを上回る地域は福島以外でも政府が主体になって健康調査をするよう求 めるなど、政府や福島県に厳しい内容になっている。近く人権理事会に報告される。

 報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病な どの発症も想定して尿検査や血液検査を実施するよう求めた。甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求して いる現状を改めるよう求めている。

 また、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上 の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう政府に要求。国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき1ミ リシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘した。

 このほか、事故で避難した子供たちの健康や生活を支援する「子ども・被災者生活支援法」が昨年6月に成 立したにもかかわらず、いまだに支援の中身や対象地域などが決まっていない現状を懸念。「年間1ミリシーベルトを超える地域について、避難に伴う住居や教 育、医療などを支援すべきだ」と求めている。【日野行介】

 ◇グローバー氏の勧告の骨子

 <健康調査について>

・年間1ミリシーベルトを超える全地域を対象に

・尿や血液など内部被ばく検査の拡大

・検査データの当事者への開示

・原発労働者の調査と医療提供

<被ばく規制について>

・年間1ミリシーベルトの限度を順守

・特に子供の危険性に関する情報提供

<その他>

・「子ども・被災者生活支援法」の施策策定

・健康管理などの政策決定に関する住民参加

 

「避難の権利」ブログさんより

国連特別報告者アナンド・グローバー氏の国連人権理事会への報告書の暫定版が公開されました

国連特別報告者アナンド・グローバー氏の国連人権理事会への報告書の暫定版が公開されました。

国連特別報告者アナンド・グローバー氏・日本調査報告書(2013年5月23日暫定版)http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A-HRC-23-41-Add3_en.pdf

下記はヒューマンライツ・ナウによる仮訳です。

勧告

Recommendations

76. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations in the formulation and implementation of its nuclear emergency response system:

特別報告者は、日本政府に対し、原発事故の初期対応 の策定と実施について以下の勧告を実施するよう求める。

(a)    Establish regularly updated emergency response plans that clearly demarcate the command structures and specify evacuation zones, evacuation centres, and provide guidelines for assisting vulnerable groups;

原発事故の初期対応計画を確立し不断に見直すこと。対応に関する指揮命令系統を明確化し、避難地域と避難場所を特定し、脆弱な立場にある人を助けるガイドラインを策定すること

(b)   Communicate disaster management plans, including response and evacuation measures, to residents of areas likely to be affected by a nuclear accident;

原発事故の影響を受ける危険性のある地域の住民と、事故対応やとるべき措置を含む災害対応について協議すること

(c)    Release disaster-related information to the public as soon as a nuclear accident occurs;

原子力災害後可及的速やかに、関連する情報を公開すること

(d)   Distribute promptly iodine prophylaxis before or as soon as the accident occurs;

原発事故前、または事故後可及的速やかに、ヨウ素剤を配布すること

(e)    Provide for prompt and effective usage of such technology as SPEEDI in gathering and disseminating information on affected areas;

 影響を受ける地域に関する情報を集め、広めるために、Speediのような技術を早期にかつ効果的に提供すること

77. With respect to health monitoring of the affected population, the Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations:

  原発事故の影響を受けた人々に対する健康調査について、特別報告者は日本政府に対し以下の勧告を実施するよう求める。

(a)    Continue monitoring the impact of radiation on the health of affected persons through holistic and comprehensive screening for a considerable length of time and make appropriate treatment available to those in need;

全般的・包括的な検査方法を長期間実施するとともに、必要な場合は適切な処置・治療を行うことを通じて、放射能の健康影響を継続的にモニタリングすること

(b)   The health management survey should be provided to persons residing in all affected areas with radiation exposure higher than 1 mSv/year;

1mSv以上の地域に居住する人々に対し、健康管理調査を実施すること

(c)    Ensure greater participation and higher response rates in all health surveys;

すべての健康管理調査を多くの人が受け、調査の回答率を高めるようにすること

(d)   Ensure that the basic health management survey includes information on the specific health condition of individuals and other factors that may exacerbate the effect of radiation exposure on their health;

「基本調査」には、個人の健康状態に関する状態と、被曝の健康影響を悪化させる要素を含めて調査がされるようにすること

(e)    Avoid limiting the health check-up for children to thyroid checks and extend check-ups for all possible health effects, including urine and blood tests;

子どもの健康調査は甲状腺検査に限らず実施し、血液・尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大すること

※最初に掲載した訳に誤りがありました。

(f)    Make follow-up and secondary examination for children’s thyroid check-up available to all requesting children and parents;

甲状腺検査のフォローアップと二次検査を、親や子が希望するすべてのケースで実施すること

(g)   Simplify children’s and their parents’ access to information regarding their test results, while ensuring the protection of private information;

個人情報を保護しつつも、検査結果に関わる情報への子どもと親のアクセスを容易なものにすること

(h)   Refrain from restricting examination for internal exposure to whole-body counters and provide it to all affected population including residents, evacuees, and to persons outside Fukushima prefecture;

ホールボディカウンターによる内部被ばく検査対象を限定することなく、住民、避難者、福島県外の住民等影響を受けるすべての人口に対して実施すること

(i)     Ensure mental health facilities, goods and services are available to all evacuees and residents, especially vulnerable groups such as older persons, children and pregnant women;

避難している住民、特に高齢者、子ども、女性に対して、心理的ケアを受けることのできる施設、避難先でのサービスや必要品の提供を確保すること

(j)     Monitor the health effects of radiation on nuclear plant workers and provide necessary treatment.

原発労働者に対し、健康影響調査を実施し、必要な治療を行うこと

 

78. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations regarding policies and information on radiation dose

  特別報告者は、日本政府に対し、放射線量に関連する政策・情報提供に関し、以下の勧告を実施するよう求める。

(a)    Formulate a national plan on evacuation zones and dose limits of radiation by using current scientific evidence, based on human rights rather than on a risk-benefit analysis, and reduce the radiation dose to less than 1mSv/year;

避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1mSv以下に低減するようにすること

(b)   Provide, in schoolbooks and materials, accurate information about the risk of radiation exposure and the increased vulnerability of children to radiation exposure;

放射線の危険性と、子どもは被曝に対して特に脆弱な立場にある事実について、学校教材等で正確な情報を提供すること

(c)    Incorporate validated independent data, including that from the communities, to monitor radiation levels.

 放射線量のレベルについて、独立した有効性の高いデータを取り入れ、そのなかには住民による独自の測定結果も取り入れること

79. Regarding decontamination, the Special Rapporteur urges the Government to adopt the following recommendations:

 除染について特別報告者は、日本政府に対し、以下の勧告を採用するよう求める

(a)    Formulate urgently a clear, time-bound plan to reduce radiation levels to less than 1mSv/year;

年間1mSv以下の放射線レベルに下げるよう、時間目標を明確に定めた計画を早急に策定すること

(b)   Clearly mark sites where radioactive debris is stored;

汚染度等の貯蔵場所については、明確にマーキングをすること

(c)    Provide, with the participation of the community, safe and appropriate temporary and final storage facilities for radioactive debris;

安全で適切な中間・最終処分施設の設置を住民参加の議論により決めること

80. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations regarding transparency and accountability within the regulatory framework:

 特別報告者は規制の枠組みのなかでの透明性と説明責任の確保について、日本政府に対し、以下の勧告を実施するよう求める。

(a)    Require compliance of the regulatory authority and the nuclear power plant operators with internationally agreed safety standards and guidelines;

(b)   原子力規制行政および原発の運営において、国際的に合意された基準やガイドラインに遵守するよう求めること

(c)    Ensure disclosure by members of the Nuclear Regulation Authority of their association with the nuclear power industry;

原子力規制庁の委員と原子力産業の関連に関する情報を公開すること

(d)   Make information collected by the Nuclear Regulation Authority, including regulations and compliance of nuclear power plant operators with domestic and international safety standards and guidelines, publicly available for independent monitoring;

 原子力規制庁が集めた、国内および国際的な安全基準・ガイドラインに基づく規制と原発運営側による遵守に関する、原子力規制庁が集めた情報について、独立したモニタリングが出来るように公開すること

(e)    Ensure that TEPCO and other third parties are held accountable for the nuclear accident and that their liability to pay compensation or reconstruction efforts is not shifted to taxpayers.

 原発災害による損害について、東京電力等が責任をとることを確保し、かつその賠償・復興に関わる法的責任のつけを納税者が支払うことかないようにすること

81. In relation to compensation and relief, the Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations:

  補償や救済措置について、特別報告者は政府に対し以下の勧告を実施するよう求める

(a)    Formulate, with the participation of the affected communities, the implementing framework under the Victims Protection Law;

「子ども被災者支援法」の基本計画を、影響を受けた住民の参加を確保して策定すること

(b)   Include cost of reconstruction and restoration of lives within the relief package;

復興と人々の生活再建のためのコストを支援のパッケージに含めること

(c)    Provide free health check-ups and treatment that may be required for health effects from the nuclear accident and radiation exposure;

原発事故と被曝の影響により生じた可能性のある健康影響について、無料の健康診断と治療を提供すること

(d)   Ensure that compensation claims by affected persons against TEPCO are settled without further delay;

さらなる遅延なく、東京電力に対する損害賠償請求が解決するようにすること

82. The Special Rapporteur urges the Government to ensure effective community participation, especially participation of vulnerable groups, in all aspects of the decision-making processes related to nuclear energy policy and the nuclear regulatory framework, including decisions regarding nuclear power plant operations, evacuation zones, radiation limits, health monitoring and compensation amounts.

 特別報告者は、原発の稼働、避難地域の指定、放射線量限界、健康調査、補償を含む原子力エネルギー政策と原子力規制の枠組みら関するすべての側面の意思決定プロセスに、住民参加、特に脆弱な立場のグループが参加するよう、日本政府に求める。

                                                                                        以上

 

※【緊急集会】原発事故後の人権状況~国連人権理事会でのアナンド・グローバー氏勧告を受けて(5/29 18時~@参議院議員会館)

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/529-04d5.html

 

 

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 人間としての尊厳、人間最後... | トップ | マイナンバー法とそれを通す... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
疎開裁判、仙台高裁の不当判決について ()
2013-05-25 21:17:09
郡山の疎開裁判の二審で、裁判所は郡山市の現状がチェルノブイリと同等に汚染されており、今後放射能によるリスクがあることを認めましたが、避難については国や県が移住の権利を阻害していないとして、移住したければ「勝手に自己責任で避難しろ」と言わんばかりの判決が下りました。
この判決は憲法十七条の定める「国家賠償請求権」や、二十五条の生存権にある「健康で文化的な生活」を営む権利を認めない、明らかに不当な判決です。
憲法七十六条三項には「すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、日本国憲法及び法律にのみ拘束される」とあるのですから、たとえ裁判官であっても、このような憲法を無視した判決を下す権限があるとは思えないのです。
このような明らかに間違った判決を下す裁判官に対して、憲法七十八条にある「公の弾劾」による罷免をすることはできないのでしょうか。
このままでは多くの国民が国家(放射能の健康被害)によって殺されてしまいます。

チェルノブイリの事例から考えると、もう時間はあまり残されていないと考えられます。一刻も早い、高放射能汚染地域の住民の避難を!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

福島原発事故」カテゴリの最新記事