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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

磯崎陽輔首相補佐官が「関係ない」と言っちゃった法的安定性はなぜ重要なのか。

2015年07月28日 | 憲法9条改憲・安保法制・軍拡反対

 

 安倍首相の懐刀の磯崎陽輔首相補佐官が、戦争法案の合憲性について、2015年7月26日、堂々と講演で

「(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」

と言っちゃったことが、やはり大問題になっています。

 枝野幹事長ら民主党は磯崎氏の首相補佐官解任を求め、安保法制特別委の理事会は28日午前に同発言を協議し、自民党は礒崎氏が党の聴取で

「国民や委員会運営にご迷惑をおかけした。心から反省し、おわび申し上げる」

と謝罪したと報告しました。

 ちなみに、菅官房長官は27日の記者会見で

「安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるという認識を示したもので、法的安定性を否定するようなことはなかった」

とわけのわからないことを言っています。

法的安定性は関係ない」

と言い切っているのに、法的安定性を否定するようなことはなかった、ってどういうこと?

安倍首相、磯崎陽輔首相補佐官、山本一太議員の3馬鹿トリオで始まる参院の戦争法案審議。

 

 

 

 一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、法律の世界では、法的安定性は非常に大事な理念です。

 憲法を筆頭に、法は社会のルールです。

 ルールは、なにをすればルールにあっており、なにをしたらルール違反になるかが、われわれ社会の構成員に事前に分かっているという「予測可能性」がとても大切です。

 たとえば、昨日はこの道を60キロのスピードで車を走らせても捕まることはなかったのに、今日はいきなり40キロでも速度制限違反で捕まっちゃった!ということになると、危なっかしくておちおち社会生活が営めません。

 つまり、ルールの中身と運用が安定して行われることで、皆が安心して生活できるのです。規則がコロコロ変わったら困るということです。

 これが法的安定性です。

 

 

 

 いま、「安保法制」=戦争法案で安倍内閣が使えるようにしようとしている集団的自衛権とは、政府解釈によると

「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」

です。

 そして、法律解釈を政府として公式に行う内閣法制局はこれまで、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、

「集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」

としてきました。また、歴代首相、閣僚もこれに沿って答弁してきました。

 ですから、集団的自衛権を行使できるようにするためには、憲法を変えなくてはいけません。

 ところが、安倍政権は去年、いきなり閣議決定で、集団的自衛権の行使は憲法上許されるとしてしまったのです。

 だから、安倍政権のやり方は「法的安定性」を損なうとして問題になっているのです。

 

憲法記念日 自民党憲法改正草案に環境権の規定などないことをご存知でしたか?

憲法「改正」も口当たりの良さそうなところからお試しでやればいいと主張している磯崎氏。

 

 

 もし、安倍内閣のこういう憲法を解釈でいきなり変えてしまうようなことがまかり通ってしまったら、もういつでも憲法違反の法律や行政行為がやりたい放題になってしまいます。

 だから、徴兵制は憲法に違反するとされているから絶対しないと安倍政権がいくら言っても、もはや信用されないのです。

 これこそが、法的安定性が害された根本的な弊害です。

 この戦争法案が通れば、政府は他のことでもいつでも横紙破りをやっても平気になってしまうし、国民も政府が憲法や法律を守ると信頼できなくなります。

 法は解釈と適用が安定的に運用されて、はじめて社会のルールたり得るのです。

 憲法と法と政治に対する信頼を根本的に損なったという点で、安倍首相のやったことの罪はとても重いのです。

 ですから、法的安定性は関係ないなどと言い放つ磯崎首相補佐官は解任しないといけないし、事の重大性が全く分かっていない菅官房長官の発言も許されないのです。

こんな磯崎陽輔首相補佐官らが起案したのが今の自民党改憲草案です。

磯崎氏は、立憲主義って聞いたことがありませんと放言したことでも知られています。

こんな無知・無教養な人物を重用している安倍首相には任命責任が問われてしかるべきです。

安倍自民党の「日本国憲法改正草案」の恐怖1 緊急事態条項=戒厳令の明記

安倍自民党の「日本国憲法改正草案」の恐怖2 基本的人権規定の内容を削減して極小化し法律で好きに制約

安倍自民党の「日本国憲法改正草案」の恐怖3 軍法会議の設置 

 


この人まだ当選2回なんですが、安倍首相はどうしてこういうキャラが好きなんでしょうかね。

やはり、類友なんですよね。

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これも磯崎氏の有名なお笑い「舌禍」事件。

【悲報】総理補佐官の礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke)が、ツイッターで喧嘩をふっかけるも論破され、相手が10代女子とわかるとブロックして逃走←バカ

 

 

 

安保法案「法的安定性関係ない」 補佐官発言を与野党が批判

2015年7月28日 東京新聞 朝刊

 憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案をめぐり、礒崎陽輔(いそざきようすけ)首相補佐官が法的安定性を軽視するような発言をしたことに対し、与野党幹部が二十七日、発言を相次いで批判した。

 民主党の枝野幸男幹事長は「行政に関与する資格がない」と記者団に指摘。「行政や法の支配のイロハも分かってない首相補佐官をいつまで使い続けるのか」と安倍晋三首相に解任を求めた。

 維新の党の片山虎之助総務会長は「適当な発言ではない」と述べ、共産党の山下芳生書記局長は「安保法案は法的安定性に欠け、立憲主義を踏みにじる違憲立法だと自ら認める発言だ」と廃案を求めた。社民党の吉田忠智党首も解任を訴えた。

 自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「そのような発言をしたとすると、極めて配慮の欠けたことだ」と苦言を呈した。安保法案に関する参院特別委員会の理事懇談会では、鴻池祥肇(こうのいけよしただ)委員長(自民)が発言の事実関係や真意を報告するよう自民党理事に求めた。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるという認識を示したもので、法的安定性を否定するようなことはなかった」と擁護し、野党の解任要求を拒んだ。「誤解されるような発言は慎まなければならない」とも述べた。

 礒崎氏は二十六日の大分市での講演で、憲法解釈の変更について「法的安定性は関係ない。わが国を守るために(集団的自衛権の行使が)必要かどうかが基準だ」と述べた。二十七日には「政府の憲法解釈は一貫して何も変わるところはない」と記者団に釈明した。

◆礒崎首相補佐官 発言要旨

 礒崎陽輔首相補佐官の二十六日の講演での発言要旨は次の通り。

 憲法には自衛権について何も書いていない。一九五九年の(最高裁の)砂川事件判決は、わが国の存立を全うするための自衛の措置は国家固有の権能であるとした。

 中身を言わないから政府は解釈してきた。昔は憲法九条全体の解釈から、わが国の自衛権は必要最小限度でなければならず、集団的自衛権は必要最小限度を超えるから駄目だと解釈してきた。七二年の政府見解だ。

 ただ、その時はまだ自衛隊は外に行く状況ではなかった。その後四十年たって、北朝鮮は核兵器やミサイルを開発し、中国も軍備を拡張している。

 政府はずっと必要最小限度という基準で自衛権を見てきたが、四十年たって時代が変わったのではないか。集団的自衛権もわが国を守るためのものだったらいいのではないか、と提案している。

 何を考えないといけないか。法的安定性は関係ない。(集団的自衛権行使が)わが国を守るために必要な措置かどうかを気にしないといけない。わが国を守るために必要なことを憲法が駄目だと言うことはあり得ない。「憲法解釈を変えるのはおかしい」と言われるが、時代が変わったのだから政府の解釈は必要に応じて変わる。

 (安全保障関連法案の審議は)九月中旬までには何とか終わらせたいが、相手のある話だから簡単にはいかない。

 

 

礒崎首相補佐官:謝罪 「法的安定性は関係ない」発言で

毎日新聞 2015年07月28日 10時50分(最終更新 07月28日 12時03分)

礒崎陽輔首相補佐官
礒崎陽輔首相補佐官
 

 自民党は28日午前の参院平和安全法制特別委員会の理事懇談会で、安全保障関連法案に関し「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官が、政府と同党の聴取に対し「私の発言で国民ならびに委員会運営にご迷惑をおかけし、心から反省をし、おわび申し上げる」と謝罪したと明らかにした。

 これに対し、民主党は「反省の気持ちがないのではないか」などと批判。鴻池祥肇委員長(自民)は「もう一度、礒崎氏に注意を与えるように」と自民側に求めた。【高橋克哉】

 

 

首相「法的根拠しっかり」 安保法案、参院委で補佐官発言修正 

2015/7/28 11:37 (2015/7/28 13:00更新) 日本経済新聞

 今国会の焦点である安全保障関連法案が28日午前、参院平和安全法制特別委員会で実質審議に入った。安倍晋三首相は「あらゆる事態に対処するためにも一日も早い法整備が不可欠だ」と強調。他国軍との共同訓練など自衛隊の活動拡大には「法的根拠をしっかりと定めておくことが必要だ」と述べ、法的安定性を確保する必要性を訴えた。

 自民党の佐藤正久氏への答弁。首相は「法的根拠を明確にしていくことによって、平素より各国と連携した訓練や演習が可能になる」と述べた。礒崎陽輔首相補佐官が安保法案をめぐり法的安定性を軽視したともとれる発言をしたことを踏まえた。

 特別委理事会は28日午前に同発言を協議。自民党は礒崎氏が党の聴取で「国民や委員会運営にご迷惑をおかけした。心から反省し、おわび申し上げる」と謝罪したと報告した。

 首相は特別委で中国による東シナ海のガス田開発に関し「(日中の共同開発区域を定めた)2008年の合意が守られていない状況もある」と批判した。中国による南シナ海での岩礁埋め立てをめぐっては中谷元・防衛相が「海軍や空軍のプレゼンスを増大させる可能性がある。日本の安全保障への影響は否定できない」と警戒感を示した。

 首相は「野党も対案や独自案を提出し、できる限り一致点を見いだす努力を重ねることが与野党を問わず政治家の責務だ」とも強調。民主党などを念頭に、法案修正の可能性を探る与野党協議に応じるよう呼びかけた。

 

 

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必要は法律を知らない (L)
2015-07-28 16:26:59
 シャラップ上田の折、日本の刑事司法は中世並みという国連筋の評価が話題になりました。

 磯崎の言葉もまた、本質的にこいつらが「中世」なことを示していると思いますね。
 まさに「必要は法律を知らない」という中世の絶対王政の言辞じゃないですか。
返信する
そんなの関係ね~ (おおむらます)
2015-07-28 17:53:06
そんなの関係ね~
言い訳しないで開き直りゃいいのにね(笑)

開き直りも結構じゃないですか!?
先生も、以前コメントで開き直ってましたからね。

返信する
Unknown (12434)
2015-07-28 19:34:53
>おおむらます様

冗談きついですよ。私の気にしすぎかもしれませんが。
返信する
無法国家つまり国家破壊を目指すということですね (洲蛇亜林)
2015-07-28 21:24:04
「法的安定性は関係ない」なんて言っちゃったら何のためにワザワザ有識者懇談会で検討させて集団的自衛権合憲の報告を出させたのか意味がないですね。

しかし、これが安倍首相周辺の政治家の本音なんでしょうね。
集団的自衛権推進派の中でも法秩序重視派は何とか憲法との整合性をつけようと四苦八苦しているのに、その苦労も台無しにしてしまうような暴言ですね。
こんな補佐官は直ちに解任に値するでしょうけど、それを簡単にはしないところに安倍首相やその周辺の体質が現れていると思われます。

憲法など法の縛りなど関係なしに権力者が恣意的に政治を行えば、これはもう近代国家とは言えません。
誰かが言われていたように、もう「中世」へのリターンですね。
返信する
本音代弁 (リベラ・メ)
2015-07-28 22:04:29
磯崎補佐官は、“大変に正直に”本音を述べたのです。ついでに発案・賛同した大多数の議員達の本音も代弁したのです。
返信する
Unknown (みずたまり)
2015-07-29 05:10:23
この方の出身大学や学部からして、立憲主義を聞いたことがないなんてありえませんね。

開き直って適当なことを言っているとしか思えません。
我々国民も心底舐められとるなあ。。
返信する
冗談ではなく (おおむらます)
2015-07-29 10:50:18
「リベラ・メ」の言うように、磯崎陽輔首相補佐官は大変正直に本音を述べ、発案・賛同した大多数の議員達の本音も代弁したものと私も思います。

「言い訳しないで開き直りゃいいのにね」
冗談ではなく私の本音です。
批判を受けて発言を訂正するから、政治家の発言に重みが無くなるのです。考えた上での発言なら批判を受けても開き直ればいいと思います。
周囲がどう思うかは別ですが…

憲法に現状を合わせるのではなく、現状に憲法を合わせる議論が今後行われる事を望みます。

返信する
Unknown (12434)
2015-07-29 13:37:24
>おおむらます様

しかし開き直ったら余計自民党の支持率下がります。他の与党議員であのような発言を容認する者はいないでしょうし、問題発言は訂正した方がいいです。
返信する
12434さんへ (おおむらます)
2015-07-29 14:19:36
開き直ったら支持率はガタ落ちになるでしょうね。
また、他の与党議員も支持率を意識して容認する者もいないでしょう。

しかし、信念を持ってした発言なら訂正せずに
「今は受け入れられなくとも、国民にもわかる時がくる」位言って辞任すればよかったのにと思います。
不用意に発言をしてしまったのなら訂正をした後に責任を取って辞任…

あ~
結局議員辞職しなさいと言うことか。
返信する
Unknown (12434)
2015-07-29 17:27:14
>おおむらます様

なんか皮肉ばかりいうような感じで悪いのですが、5月の衆院本会議で安倍総理は法的安定性に十分留意するといいました。法的安定性の維持は合憲性の根拠だったのです。首相の面子をぶっ潰す首相補佐官の信念ってなんでしょうかね?

それと、「現状に憲法を合わすべきだ」と自民党が本気で思っているなら、やっぱり安保法案の前にまともな憲法改正をした方がいいでしょう。
安倍さんは最初は普通に憲法を改正したかったはずです。2013年にはそうした議論がなされました。憲法の解釈を変更したのは次の年です。しかし僅か1年で急に状況が激変したわけではないでしょう。無茶な解釈改憲までして迅速な対応が必要だというなら、なぜ一昨年に普通の憲法改正の議論をしたのですかって話です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40061

ついでにいうなら、解釈変更で安保法案ができるなら別に通常の憲法改正は要らないでしょう。自民党改憲案も無意味になってしまう。自民党の皆さんは「去年解釈を変更したからそれ以前は違憲でも今はこの安保法案は合憲なんだ!野党も従え!従わない政治家がいるなら憲法違反で裁判所に訴えてやる!」とは開き直りません。しかしいっそことそれで開き直った方がわかりやすいかもしれません。そうすれば、中谷大臣も礒崎首相補佐官もあんな問題発言はしなかったはずです。もちろんこれは皮肉ですよ?

もっともあんな解釈改憲など国民は絶対に容認してはいけません。少なくも立憲主義を重んじるつもりがある人はそう考えています。アメリカ政府がもし、日米安保において憲法の範囲外のことをやろうとしたら、アメリカ人は猛反発するでしょう。なにせ、イギリスと戦争して民主主義を勝ち取った国ですから。我々がそれと同じことをしてもいいでしょう。

こういうと、「憲法なんか関係ないんだ!国を守るためにはこの安保法案が必要なんだ!」という方もいますが、それなら維新案で充分ですよ。持てる力の全てを専守防衛に使うべきです。自衛隊を海外派遣して米軍の兵站をするなんて、自国を守ることにはなりません。

アメリカはイラク戦争のような戦争犯罪をやらかしてきた国です。自衛隊も海外派遣によりそれに参加しました。とても国防の役に立ったとは思えません。安保法案の前にイラク戦争の総括が必要です。紛争地で活動してきた国際的なNGOも安保法案に反対しています。
http://mblog.excite.co.jp/user/ngonowar/entry/detail/?id=23422059&_s=45793d2d21aa42e610a53944f232339e

恐らくおおむらます様は、テロ組織やならず者国家により攻撃できるような備えが、国防になると考えておられると思います。しかしこちらが侵略戦争を仕掛ける側になる危険性もあります。前述したようにアメリカがそれをやらかしましたし。
返信する

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