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心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(外宮)17 ~御正宮<ごしょうぐう>2 蕃塀<ばんべい>~

2015-10-11 23:30:00 | 神宮
御正宮の入口、板垣南御門<いたがきみなみごもん>の正面に、大きな衝立のようなものがあります。


これは蕃塀<ばんべい>といいます。
角度を変えて見ると、こんな感じ。


ちなみに、写真中央の鳥居の形をしたものが、板垣南御門です。
そして、その奥に見える茅葺<かやぶき>屋根の建物は、外玉垣南御門<とのたまがきみなみごもん>。

前述したとおり、御正宮の一番外側の御垣<みかき>は「板垣」と呼ばれます。
板垣の東西南北に設けられた御門<ごもん>は全て鳥居の形状をしています。
そして、その板垣の全ての御門の前には、必ずこの蕃塀があります。

蕃塀は、邪気や穢れなど不浄なものが御正宮に入るのを防ぐためのものと言われています。

蕃塀は、上から見るとこのような位置にあります。


普通に考えると、参道を通る参拝者を遮るような、下図の緑色で囲った位置に設置しそうなものです。


古来より、邪気などの穢れは真っ直ぐ進むといわれています。
そのため、御門の真ん前に蕃塀を設置しているのでしょう。
つまり、邪気や悪霊は参拝客のように参道を直角に曲がって、御正宮に入ることは出来ないので、上図緑色の位置に蕃塀を設けることはないと考えられます。

ちなみに、風水でも同じように悪霊は直進するといわれます。
そのため、下図のような土地の水色のエリアは凶とされます。
なぜなら、道路から赤い矢印のように悪いものが水色のところに寄ってくると考えられるからです。

豊受大神宮(外宮)16 ~御正宮<ごしょうぐう>2 板垣と榊<さかき>~

2015-10-01 20:30:00 | 神宮
古殿地の前をとおり、御正宮に向かいます。

一番外側の御垣<みかき>である板垣が御正宮をぐるりと囲んでいます。


板垣の柱には、榊<さかき>が掛けられています。


神社では、榊がたくさん使われています。
鳥居や御垣の柱に掛けたり、修祓<しゅばつ>(=お祓い)をするときに用いたりします。
また、玉串<たまぐし>という神様にお供えする木の枝も榊です。

「榊」という漢字は日本で作られた漢字、「国字」です。
木へんに神と書いて字のごとく、神の木、すなわち神事に使われる木ということでしょう。

榊が持つ意味には、2つの説があるといわれています。

1 栄木<さかき>説
榊は、季節に関係なく一年中、緑の葉を茂らせています。
紅葉や落葉がなく、常に青々としたその葉は、いつみても生命力があふれています。
その葉の様子から、「栄える」という言葉と結びつけて考えられました。
常に栄えている木だから「栄木<さかき>」と呼ばれるようになったという説です。

2 境木<さかき>説
古来より神社では、外から邪霊等の悪いものが入ってこないよう、神域の境界に常緑樹(一年中葉が青い樹木)を植えていました。
境に植えられた木なので「境木<さかき>」と呼ばれるようになったという説です。

ちなみに、「栄木」も「境木」も、もともとは特定の木ではなく、様々な常緑の木(サカキ、ヒサカキ、クスノキなど)の総称だったようです。
しかし、時代がくだり、現在のサカキの木を指すようになったそうです。

豊受大神宮(外宮)15 ~御正宮<ごしょうぐう>1 御垣内<みかきうち>~

2015-09-21 18:20:00 | 神宮
古殿地<こでんち>を過ぎると、西の御敷地に御正宮<ごしょうぐう>があります。

御正宮は御垣<みかき>が四重にめぐらされています。
御垣は、外側から順に次のとおりです。
 ・板垣<いたがき>
 ・外玉垣<とのたまがき>
 ・内玉垣<うちたまがき>
 ・瑞垣<みずがき>

豊受大御神<とようけおおみかみ>がお祀りされている御正殿<ごしょうでん>は、一番内側の御垣である瑞垣の中にあります。
一般の参拝者は一番外の御垣である板垣の内側までしか入ることができません。
残念ながら、御正殿を間近に拝観することはできないのです。

そして、各御垣の南北に御門<ごもん>があります。
御門は、それぞれ以下の名称です。
 ・板垣南(北)御門
 ・外玉垣南(北)御門
 ・内玉垣南(北)御門
 ・瑞垣南(北)御門

神社の社殿は、一般的に南向き、または東向きに建てられています。
伊勢の神宮も社殿は南向きに建てられています。
そのため、板垣南御門をくぐって参拝します。
板垣の中では写真撮影は禁止です。
自分の心で、直接その感銘を受けることが大切です。
それを「零台の方寸<れいだいのほうすん>」といいます。
写真撮影は、板垣南御門の前で行いましょう。

豊受大神宮を上から見た図(平面図)です。

豊受大神宮(外宮)14 ~古殿地<こでんち>~

2015-09-11 23:00:00 | 神宮
大庭<おおば>を過ぎると古殿地<こでんち>があります。
ここは、平成25年までの20年間、ご正宮<しょうぐう>があった場所です。


写真の左手奥に、新しく造られたご正宮があります。
伊勢の神宮では、20年に一度、社殿が造り替えられる「式年遷宮<しきねんせんぐう>」という行事が行われます。
20年に一度、社殿を新しくする理由は様々な説があり、現在も神宮の神職さんや神道学者の方々により研究がされています。
一般的には、社殿を新しくすることにより、神威(=神様のお力)をより高める、などといわれています。
また、定期的に造り替えることにより、祭祀や建築様式など多岐にわたる伝統的な様々なものを、次世代に伝承するねらいがあるともいわれています。
他にも様々な説がありますが、それは機会があれば述べていきたいです。

正面から古殿地を臨みます。


奥の方に覆屋<おおいや>があります。


ここは、ご正殿<しょうでん>の中心で、心御柱<しんのみはしら>が建てられる場所と言われています。
心御柱は、ご正殿の御床下に建てられる特別な御柱です。
忌柱<いみばしら>、天ノ御柱<てんのみはしら>等とも呼ばれているようです。
そして、神宮の神職さんですら口にすることをはばかられるような、非常に神聖で大切なものとされています。
口にすることをはばかられるようなものですから、詳しいことはごく限られた人しか知らないとのこと。
心御柱を建てる儀式である「心御柱奉建<しんのみはしらほうけん>」は、深夜に行われる秘儀で、ひときわ重んじられています。

豊受大神宮(外宮)13 ~大庭<おおば>~

2015-09-01 09:00:00 | 神宮
九丈殿、五丈殿の前にある石原は、大庭<おおば>と呼ばれています。


昔は、ここで奉幣の祭祀における玉串行事が行われていたそうです。
玉串行事とは、神前に玉串をささげる儀式の事です。
現在、奉幣における玉串行事はご正宮の御垣内で行われています。

しかし、20年に一度の遷宮における玉串行事は、昔のままにここで行われます。
また、遷御の儀の翌日に行われる幣帛読合<へいはくとくごう>も、ここで行われます。
幣帛読合とは、奉幣における点検(お供え物を目録と読み合わせて確かめる)の儀式の事です。


この大庭の南西隅には、榊の木が1本立っています。
これは廻り榊<めぐりさかき>、一本榊<いっぽんさかき>と呼ばれていたそうです。
昔は、お祭りの後、神職さんが冠につけていた木綿<ゆう>をほどいて、この榊の枝にかけていたそうです。

木綿<ゆう>とは、和紙の原料である楮<こうぞ>の皮をさらして織ったものです。
しかし、現在は麻を代用しているようです。
この木綿<ゆう>を冠に巻いて鬘<かつら>とし、参籠・潔斎した神職さんが、穢れを祓い清浄になった姿を表すためにつけます。
木綿<ゆう>でつくられた鬘<かつら>を木綿鬘<ゆうかづら>といいます。

こちらは、祈年祭で御饌をお供えするために参進する、神宮の大宮司です。


冠に生成り色のヒモのようなものを巻いていらっしゃいますね。
これが木綿鬘<ゆうかづら>です。