心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(伊勢の神宮 外宮) 1 ~天照大御神の料理番~

2015-04-21 09:00:00 | 神宮
これまで、「神社参拝時の作法」と題して、神拝作法等を紹介してきました。
大方の作法は説明できたと思うので、これからは伊勢の神宮を写真とともに紹介していきます。

伊勢神宮の正式名称は「神宮」です。
神宮は、「皇大神宮<こうたいじんぐう>(内宮)」、「豊受大神宮<とようけだいじんぐう>(外宮)」を中心に、大小あわせて125の宮社<ぐうしゃ>があります。
これから複数回にわたり、豊受大神宮(外宮)について記事にしていきます。

豊受大神宮(外宮)のご祭神は豊受大御神<とようけのおおみかみ>です。
食事の神様、産業の神様といわれています。
豊受大御神は男性の神様ですから、さしずめ料理男子といったところでしょうか。
こちら↓は、豊受大神宮入口手前にあるご由緒書です。


ご鎮座は雄略天皇の即位22年、西暦477年です。
時代区分は、飛鳥時代の前の古墳時代ですね。
それよりも500年ほど前に皇大神宮(内宮)にご鎮座なさっていた天照大御神が、時の天皇に「我が御饌神<みけつかみ>、豊受大神を我が許<もと>に」と仰せになったことが由来とされています。
神様にお供えする食事のことを御饌<みけ>というので、御饌神<みけつかみ>とは「食事の神様」ということです。
天照大御神が天皇の夢の中で「わたし、伊勢の田舎でひとりでいるのは寂しいし、わたしのご飯作ってくれる神様を近くによこして欲しいなぁ」と、おねだりしたということでしょうか。
なんとも可愛らしいなぁ、と思う反面、理にかなっているなぁ、とも思うのです。
身体は食べ物から作られます。
健康な身体を手に入れるには、健康な食事が必要です。
また、誰しも身体の外側からの攻撃には、ある程度耐えられますが、身体の内側からの攻撃には非常に弱いものです。
身体の内側とは、胃や腸などの内臓です。
そこを直接攻撃するとは、変な食べ物、たとえば毒物などを食べさせるということです。
そう考えると、信頼できる食材を、信頼できる人が調理した食事を頂きたいと願うものです。
だから、天照大御神が信頼できる御饌神を望んだのは当然なのでしょうね。

神宮は、まず豊受大神宮(外宮)を先にお詣りし、次に皇大神宮(内宮)をお詣りするのが慣例です。
天照大御神が「我が祭りに仕え奉る時は、先ず豊受の神の宮を祭り奉るべし。しかる後に我が宮の祭り事を勤仕(つかえまつる)べし」と命じたことにより、祭祀は先に豊受大神宮で行われ、その後で皇大神宮(内宮)で行われる「外宮先祭<げくうせんさい>」に基づくものです。
ただし、20年に一度全ての社殿を建て替える式年遷宮に関する祭祀については、皇大神宮(内宮)が先に行われます。

神社参拝時の作法⑩ ~まずは御正宮(御正殿・御本殿)をお詣りする~

2015-04-11 09:00:00 | 神宮
たくさん社殿がある場合、まずは御正宮から
規模が大きな神社には、主となる神様をお祀りする御正宮<しょうぐう>・御正殿<しょうでん>・御本宮<ほんぐう>とよばれる、大きな社殿の他に、その神社にゆかりのある神様をお祀りする別宮<べつぐう>、摂社<せっしゃ>、末社<まっしゃ>など、数多くの社殿がある場合があります。
せっかくそんな大きな神社に来たのなら、時間の許す限りたくさんお詣りしたいですよね。
そんなふうにたくさん社殿がある場合、一体どこからお詣りすればいいのでしょうか。
近々試験があるから、学問の神様に真っ先にお詣りしたい?
やっぱり金運が気になるから、商売繁盛の神様を優先?
結婚したいから縁結びの神様?
でも、まずは、その神社の主となる神様にお詣りをするのがスジというものでしょう。
ですから、御正宮・御正殿・御本宮とよばれる、その神社で一番大きな社殿にお詣りするべきです。

ご祈祷・お札・お守り・おみくじは、参拝の後で
神社にお詣りに行くと、お詣り以外にもいろいろとしたいことがありますよね。
お札やお守りをお受けしたり、おみくじをひいたり・・・。
それらは全てお詣りが終わってからにしましょう。
これは、今流行のスピリチュアルの観点から見ても理にかなっているのですが、その理由については別の機会に述べたいと思います。

また、ご祈祷をお願いする場合も、お詣りを済ませてからにしましょう。
社務所でご祈祷の受付をお願いすると、神社によっては「お詣りはすまされましたか?」と尋ねられます。
そこで「まだです」と答えると「では、まずはお詣りを先にどうぞ」と案内されるのです。

神社参拝時の作法⑨ ~その他の注意事項②~

2015-04-02 09:00:00 | 神宮
前回に引き続き「その他の注意事項」として、作法や作法以外の注意事項に触れたいと思います。
今回は、伊勢の神宮に立てられている看板を紹介します。

こちら↓は、伊勢の神宮、皇大神宮(内宮)の入口手前にある注意書きの看板です。


神社の敷地内のものを、勝手に持ち帰らない
神域内にある物、たとえば敷きつめられた石など、なんとなくパワーがありそうな気がしますよね。
そのパワーを自分のものにしたいがために、勝手に盗って(とって)持ち帰るのは、泥棒ですよ。
でも、残念ながら、そういう参拝者が少なからずいるんですよね。
私も見かけましたよ、伊勢の神宮、豊受大神宮(外宮)で。
古殿地(以前、正宮があった御敷地)に敷きつめてある、こぶし大の石を盗って持って帰ろうとした参拝者を。
あまりに見かねて声をかけたのですが、彼女は恥ずかしがることなく、悪びれることもなく、その場を立ち去りました。
あなたは人様のお家にお邪魔して、相手の許可なく物を持ち帰りますか?
それって犯罪ですよね。
神社でも同じです。
また、神社は「鎮守の森」とも言われ、自然が多く残されています。
そのため、珍しい草木やクワガタなどの昆虫、鳥、魚、場所によっては鹿などの野生動物も見られます。
それらも取るのはやめましょう。

喫煙・飲食はしない
境内の、定められた場所以外での喫煙や飲食はやめましょう。
ガムをクチャクチャ噛みながら、タバコをプカプカふかしながら参道を歩くのは、崇敬する神様にお詣りするときの態度ではないですよね。
歩きタバコは、境内でなくても周りの方々にやけどを負わせる等の危険があります。

ペットは境内の外でお留守番
以前の記事でも触れましたが、ペットは神域に入れません。
ただし、ペットに対するご祈祷ができるという特別な神社では、ペットも飼い主さんと一緒に神社参拝ができます。
その場合は、神職さんの指示に従い、他の参拝者の迷惑にならないよう配慮してください。

参道以外の場所に入らない
神社には、柵やロープ(注連縄<しめなわ>)などで、明確に立ち入りを禁じているところと、そうでないところがあります。
そうでないところ、すなわち、入ろうと思えば入ることができてしまう場所もあります。
参道脇の木々が生い茂る場所などがそうです。
しかし、参拝者が通ることができるのは、参道だけです。
参道には、たいてい玉砂利が敷きつめられているので、すぐにわかるはずです。
入ることができるからといって、勝手に参道以外の場所に入らないようにしましょう。


そして、伊勢の神宮には、こんな残念な看板もあります。

これは、皇大神宮(内宮)の手水舎<てみずしゃ>の横に立てられている看板です。
同じ看板が、御正宮の手前にも立てられています。
お賽銭の記事でも触れましたが、神域にもスリがいるようなのです。
手水舎と御正宮の手前にこんな看板があるということは手水を取る時と拝礼をしている時に、最もスリに狙われると考えていいでしょう。
まぁ、その2か所は必ず人だかりができますから、ごもっともな話です。
残念なことですが、しっかり自衛しましょう。