心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

豊受大神宮(外宮)18 ~御正宮3 板垣南御門<いたがきみなみごもん>~ 

2015-10-21 23:40:00 | 神宮
さて、豊受大神宮(外宮)の御正宮<ごしょうぐう>でお詣りをしましょう。


手前の鳥居が板垣南御門<いたがきみなみごもん>です。
板垣南御門の内側は、写真撮影禁止です。
写真は前述の蕃塀の近辺で撮りましょう。

板垣南御門手前左手には衛士番舎<えしばんしゃ>という、衛士さん専用の小さな建物があります。
衛士とは、神宮の警備を担当する方々です。
板垣南御門近辺に必ず一人はいらっしゃいます。
わからないことがあれば、気軽に尋ねてみましょう。
親切に教えてくださいます。

板垣南御門手前で一揖<いちゆう>するのが丁寧な作法です。
一揖とは、小揖<しょうゆう>というお辞儀を一度行うことです。
しかし、周囲の混雑具合に応じて省略したり少し離れたところでお辞儀するなど、柔軟に対応しましょう。
お辞儀については過去の記事をご参考ください。
  ・お辞儀の種類
  ・お辞儀の仕方(立礼)

上の写真は、平成25年に行われた遷御の儀<せんぎょのぎ>直後のものです。
遷御の儀とは、20年に一度全ての社殿を建て替える行事である式年遷宮の中で最も重要なもので、神様に古い社殿から新しい社殿にお遷りいただく祭祀です。
では、20年経つと社殿はどのようになるのでしょう。
こちら↓が神様がお遷りになった後の古い御正宮(古殿)です。


20年という時間の積み重ねを感じますね。
社殿は、神様がお祀りされている間と神様がお遷りになった後の劣化の速度が全く違うそうです。
神様がお祀りされている間はゆっくりと劣化するそうですが、神様が新宮<にいみや>(=新しい社殿)にお遷りになり、そこにいらっしゃらなくなると、劣化が一気に加速するそうです。
古殿は取り壊され、材木は社殿建立用等として全国各地の神社に払い下げられます。
もちろん取り壊されるまでもしっかり管理されているのですが、「古殿」となった瞬間から、まるで人が住まなくなった家のごとくものすごい勢いで傷んでいくそうです。
そんなお話をうかがうと、やっぱり神様はいらっしゃるのだと思うのです。

豊受大神宮(外宮)17 ~御正宮<ごしょうぐう>2 蕃塀<ばんべい>~

2015-10-11 23:30:00 | 神宮
御正宮の入口、板垣南御門<いたがきみなみごもん>の正面に、大きな衝立のようなものがあります。


これは蕃塀<ばんべい>といいます。
角度を変えて見ると、こんな感じ。


ちなみに、写真中央の鳥居の形をしたものが、板垣南御門です。
そして、その奥に見える茅葺<かやぶき>屋根の建物は、外玉垣南御門<とのたまがきみなみごもん>。

前述したとおり、御正宮の一番外側の御垣<みかき>は「板垣」と呼ばれます。
板垣の東西南北に設けられた御門<ごもん>は全て鳥居の形状をしています。
そして、その板垣の全ての御門の前には、必ずこの蕃塀があります。

蕃塀は、邪気や穢れなど不浄なものが御正宮に入るのを防ぐためのものと言われています。

蕃塀は、上から見るとこのような位置にあります。


普通に考えると、参道を通る参拝者を遮るような、下図の緑色で囲った位置に設置しそうなものです。


古来より、邪気などの穢れは真っ直ぐ進むといわれています。
そのため、御門の真ん前に蕃塀を設置しているのでしょう。
つまり、邪気や悪霊は参拝客のように参道を直角に曲がって、御正宮に入ることは出来ないので、上図緑色の位置に蕃塀を設けることはないと考えられます。

ちなみに、風水でも同じように悪霊は直進するといわれます。
そのため、下図のような土地の水色のエリアは凶とされます。
なぜなら、道路から赤い矢印のように悪いものが水色のところに寄ってくると考えられるからです。

豊受大神宮(外宮)16 ~御正宮<ごしょうぐう>2 板垣と榊<さかき>~

2015-10-01 20:30:00 | 神宮
古殿地の前をとおり、御正宮に向かいます。

一番外側の御垣<みかき>である板垣が御正宮をぐるりと囲んでいます。


板垣の柱には、榊<さかき>が掛けられています。


神社では、榊がたくさん使われています。
鳥居や御垣の柱に掛けたり、修祓<しゅばつ>(=お祓い)をするときに用いたりします。
また、玉串<たまぐし>という神様にお供えする木の枝も榊です。

「榊」という漢字は日本で作られた漢字、「国字」です。
木へんに神と書いて字のごとく、神の木、すなわち神事に使われる木ということでしょう。

榊が持つ意味には、2つの説があるといわれています。

1 栄木<さかき>説
榊は、季節に関係なく一年中、緑の葉を茂らせています。
紅葉や落葉がなく、常に青々としたその葉は、いつみても生命力があふれています。
その葉の様子から、「栄える」という言葉と結びつけて考えられました。
常に栄えている木だから「栄木<さかき>」と呼ばれるようになったという説です。

2 境木<さかき>説
古来より神社では、外から邪霊等の悪いものが入ってこないよう、神域の境界に常緑樹(一年中葉が青い樹木)を植えていました。
境に植えられた木なので「境木<さかき>」と呼ばれるようになったという説です。

ちなみに、「栄木」も「境木」も、もともとは特定の木ではなく、様々な常緑の木(サカキ、ヒサカキ、クスノキなど)の総称だったようです。
しかし、時代がくだり、現在のサカキの木を指すようになったそうです。