日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

ひさびさの「おしん」

2014-12-26 22:14:33 | おしん
「おしん」の白眉は、なんといってもおしんが婚家から飛び出すエピです。

着のみ着のまま夫の家に身を寄せたおしんは、家中からいびられる。
しかし持ち前の努力と忍耐で、味方は一人ふえ二人ふえ、最後は義妹の子の乳母になることで、かたくなだった姑さえおしんに頭を下げる。
やれやれ良かった、これでハッピーエンド……と誰もが胸をなでおろしたところで、ほかならぬおしんが反逆するのです。

「ハッピーエンドですって!? 冗談じゃないわ! 腕いっぽんダメにされて、子供を殺されて、いったいどこがハッピーなのよ」
さらに続けて、
「このままここにいたら、朝から晩まで働かされて、でも米一粒自由にならない暮らしが、一生続くのよ。考えただけでぞっとするわ」と。


なんで「おしん」を思い出したかというと、この本を読んだから。




この本は繰り返し、征服者にとって都合の良い先住民の姿を皮肉に描き出します。
キリスト教による無力化。自ら望んで征服者の奴隷になる先住民たち。
まさしく「朝から晩まで働かされて米一粒自由にならない暮らし」こそが、征服者たちが夢見た、被征服者のあるべき姿なのです。

田倉家にとっての「幸福なおしん」は、
おしんにとっては「考えただけでぞっとする」状態だった。

「おしん」を観ていた頃の私は、(今もそうだが)どちらかというと征服されている方の立場でした。
そうでさえ何の疑問も抱かず「征服者の視点」で社会を見ていた、見させられていたことに、このエピソードで、はじめて気付いたのです。


で、ここで例によって飛んで、
地球人にとって幸福な明神タケルは、
タケルにとってはどうだったかというのが、
二次創作のネタになるわけですな。
(またカテゴリー分けに苦労する文を書いてしまった)

訃報

2013-09-22 06:57:52 | おしん
石田太郎氏、死去。

加賀屋の主人役でした。
アニメファンには「ルパン三世 カリオストロの城」の、
カリオストロ伯爵といった方が通りがいいかも。

「おしん」は、「女のドラマ」なので、
正直、影が薄かった。
おしんを加賀屋に置いておくか追い出すかで、揉めたことがあります。
彼は最初追いだし派で、でもいつの間にか受け入れ派に転向していた。
同じく追いだし派のみの(加賀屋の奥様……ほーら、石田太郎の方は役名も覚えていない)が、
急におしんを可愛がり始めた方は、ちゃんと描写があるのに。
みのは夫が必要で、
加代には父親が必要だから、
そこにいたキャラ、みたいな扱いでしたね。


ともあれ、69歳は早すぎる。

意外と……?

2013-09-09 20:06:15 | おしん
おしんはガチガチのエゴイストだ。
そう思っていた私です。

たとえば、お加代の息子の希望に、
自分たちとは血のつながりがないことを話すタイミング。

長男の雄が、中学入試を突破した直後なんです。

昔は私は、
「はは~~ん。おしんの奴、
大店の娘と、帝国学士様の間のサラブレッド(=希望)に頼らなくても、
自分の実の息子の出来の良さが証明されたもんだから、
お前とは赤の他人だよって、希望に話す気になったんだな」
と解釈していました。
(ずいぶんひねくれた見方だと言われると、
存外でしたわ)

でも、この年になってみると、
「雄が自分の道を歩み始めたので、
希望の自主性も尊重しようとしたに違いない」
と、考えが変わりました。

……後者の方が普通なのかしら??