高専観察録

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2.「高校生」と「高専生」の違い~授業は?単位は?テストは?~

2012年03月21日 | Weblog
高専記録の第2弾。今回は高専と高校の教育についてです。

高校生、つまり「高等学校生」と高専生、「高等専門学校生」。名前の長さも違う。そして教育方針も全く異なる。
高校教育は3年間。中学校と同じ3年間を学問、部活、生徒会、体育祭に文化祭…色々な自分に対する経験を積み立てる。高校からの経験が最も自分の将来に対して深い物となる人も多いだろう。それだけイベントも多いのだから。
一方、高専教育は5年間。そしてその上には2年間の専攻科教育という最長7年間。クラスは全く変わらず、最低5年間クラス替えは無い。
内訳として3年間は高校教育よりも少しレベルが高い「高等教育課程」。ここでは文系科目理系科目問わず、教養科目を学ぶ。3年生になると理系科目が圧倒的に多くなるのは致し方ない。この3年間は高等教育だけでなくほんの少しだけ専門基礎科目として実験実習が入ることもある。メインはあくまでも高等教育。

因みに、高校の授業時間はだいたい一コマ50分授業ではないかと思われる。ところが、高専では一コマ90分授業が1年生のころから基本だ。大学の授業が90分であるので、授業時間は大学と同じ。慣れない生徒は集中力が持たず寝てしまったりする。自分もそうだったのだから。それも5年間経過すると体が順応してしまうのであまり気に掛ける事は無いだろう。

そして成績に関する基準も高校とは異なる。よく言われる「赤点」。つまり落第点と呼ばれる点数。高校では30点以下だろうか。高専はそんな甘えは許されない。赤点は60点以下。これも大学と同じだ。他にもこんな名前の点数が存在する。多少の相違がある可能性があるが、あくまで俗称なのでそれは気にしないでもらいたい。

・黒点→60点以上の点数。学生はこの点数範囲への達成を目指す。

・赤点→60点以下の点数。授業担当の先生は59点というあと1点届かない場合の救済措置をレポートや追試験という形で学生にチャンスを与える。学生曰く「まだ救われる点数」。特に必修科目では担当教諭も「落第生の面倒を見るのも大変。自分の都合があるのでなるべく全員合格を出す」という本音も聞こえる点数だ。

・青点→30点以下の点数。「点数を見て顔が真っ青になるほどの点数」という由来もあったりなかったりするが、定かではない。先生や担当科目によっては救済措置が発動する。

・白点→10点以下の点数。「目の前が真っ白になるほどの点数」とか、「白紙の様な点数」。担当教諭も、もはや救いようのない点。
つまり、高校での赤点ライン30点は高専では青点。「俺、30点だったんだよー。」「でも赤点だろ?何とかなるって」という高校生の会話は高専生にとって「点数基準低いなー」と思ってしまったこともしばしば。

4年目になるとその状況は逆転する。メインは専門科目、教養科目は二の次。機械工学科ならば機械工学の専門科目を学ぶことになる。その基礎は3年間の教育だ。序盤で手抜きをすると後々になって痛い目に合うのである。
さらに、4年になると「必修科目」「選択必修科目」「選択教養科目」の他に「学習単位科目」が追加される。一コマ105分で、「一つでも単位を取り損ねるとその時点で留年が確定する」という恐ろしい科目である。だが、科目内容は機械工学などの専門工学を学ぶ上で切っても切れない科目であるから、学生は結局、「工学の世界で生きるためには欠かせない科目だから…。」と納得して何だかんだで単位取得をする。

5年目は研究室に配属されて卒業研究を行う。論文輪講や研究に対する実験など。自分の将来に対する基礎研究を行うのだ。5年目になるとクラスでの授業も研究室のスケジュールによって極端に減少する。この時期に5年生は就職活動や大学や専攻科への進学へと研究の傍らで準備を始めるのである。

余談だが、自分が高専生の時、こんな言葉が飛び交った。

「JABEEやべぇ」…日本技術者教育認定機構プログラム、通称「JABEE(ジャビー)」の単位認定基準について説明を受けた時、誰が思いついたのかわからないが、ドイツ語読みすると「JABEE→やべー」と言ったのが始まり。結局「勉強を頑張らないとやばい」という事。

次回は「生徒と先生のつながり」について記述する予定である。

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