*
帰り道、ビデオを拾った。
シーソーが画面の中央にあって、季節は冬らしく木枯らしがひゅーひゅー音を発て
砂煙が舞っていた。右に地球が載っていて、左には子供が腰掛け、シーソーは天秤
のように平衡を保っていた。
地球には大きな彗星が接近し、危機に瀕している。宇宙ステイションは原子爆弾を
積み、星に向かって自爆を決心しているらしかった。
地上の基地では、赤子を抱く女がカメラに向かって言う「あなたのいない地球なんて
無意味なものよ、私やこの子にとって。誰のことも考えることはない、あなたと私たち
のことを考えて欲しい。地球上にほかの誰も生存していなくとも、あなたと私たちが
生きていればそれがいいのよ・・・・」子供を諭すように淡々と静かに語り続ける。
一刻を争う、そんな設定の話の筈なのに、隊員たちが女の話を意識から外す素振
りを見せない。語りは長々と続き、その語りに耐えられなかったかのように、雑音が
女の部屋一杯に反響し画面が白く光った瞬間、黒い画面に変わる。
エンドタイトルが女の語りを流しながら、下から上へ移動する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/42/decbaf2051e5aeacb9e9b1e10031366b.jpg)
帰り道、ビデオを拾った。
シーソーが画面の中央にあって、季節は冬らしく木枯らしがひゅーひゅー音を発て
砂煙が舞っていた。右に地球が載っていて、左には子供が腰掛け、シーソーは天秤
のように平衡を保っていた。
地球には大きな彗星が接近し、危機に瀕している。宇宙ステイションは原子爆弾を
積み、星に向かって自爆を決心しているらしかった。
地上の基地では、赤子を抱く女がカメラに向かって言う「あなたのいない地球なんて
無意味なものよ、私やこの子にとって。誰のことも考えることはない、あなたと私たち
のことを考えて欲しい。地球上にほかの誰も生存していなくとも、あなたと私たちが
生きていればそれがいいのよ・・・・」子供を諭すように淡々と静かに語り続ける。
一刻を争う、そんな設定の話の筈なのに、隊員たちが女の話を意識から外す素振
りを見せない。語りは長々と続き、その語りに耐えられなかったかのように、雑音が
女の部屋一杯に反響し画面が白く光った瞬間、黒い画面に変わる。
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