老女二人 影に引き入れ
赤を 中央に置く
緑板に押しピン
ポスターが捲れ 白い内臓を曝す
倉庫 灰色の絞首刑
スチール椅子が 独りを反射する
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三角形の日溜まり 老女
過ぎるように 過ぎる
断面の波紋
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ガラス越しに 黒い上半身だけのマネキン
頭はなく
横断歩道や 走行する車の反射映像を載せ
生きて いる
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少しばかり赤味を帯びた壁に 凹みがあって
何かが仕舞ってあるらしく 錠前が付けてある
光が凹みを際立たせ
隠されているものが 何であるかより
光を帯びた錠前を 投影した
その影が 美しいのだった
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アニメのような 遠い 右と左
空へ そして街へ
直線の変形と静寂の歪みが あって
朝から夜
ぼくの身体が 口ずさむ
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言葉をなくした鳥は 地上には降り立てず
空翔る 記憶を1つ
胃液とともに 吐き出す
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