*
円形の泥濘に 風の死体が
夜空から 降りてくる
きみもぼくも 眼を閉じ
それを 見つめる
*
*
あおや あかや
こんじきの
ちいさな 物語を
灰色のポケットに
そーっと しまう
*
走った 幼児のように赤い顔を見せ走った
お腹が痛くて 涙が流れた
母親の顔が 眼の裏側に映った
妻の顔がそれを取り除くように 現れた
お腹が破裂して
空を見上げても 見覚えのない青色だった
*
*
*
針金 傷を負った世界として 沈黙
*
小さな針穴 通過し 在るということの 伝達
在る
在るという 時間の変化
*
*