かたむく暗箱

空想の暗室

最初は蠅が視界の端から端へ

2008-07-05 08:38:44 | 写真と虚言
*

最初は蠅が視界の端から端へ飛んでいった。時々。 
それから床を素速く横切っていくゴキブリが現れた。 
そして猫がやってくる。ベランダを歩いているやつではなく 
部屋を我が物顔にのそのそと猛獣気取りで歩く、あいつ。 
つぎには犬が住みついた。 台所でいつも妻の足許に寝そべっているナマケモノ。 
とうとう若い男が妻の横に並んで座る。 
幾つも蜜柑の皮をむき、食べるのではなくそれらを整然と座卓に並べる。 
ぼくの眼の前で。 
「あーあっ」 声を出すと彼らは即座に消える。 
いつも そうだ。 

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