かたむく暗箱

空想の暗室

ヒマワリは寂しそうに

2005-10-31 20:47:41 | 写真と虚言
<寒さに震える夜明け前に見た 季節はずれの夢>4 
ヒマワリは寂しそうに黙って女の子の話の圧力に耐えねばなりません 
窓から射し込む月の光が照らし出している テーブルの上の 
先の尖った 一本の鉛筆を眺めながら 
つまり 聞いていないのです 女の子の砂漠の童話を 
ヒマワリは息を吐くことができず 窒息死を想像し 焦る想いに耐えに耐え
風でなく波でもない 静に輝くヒマワリとしてけんめいに 女の子の
美しい眠りを 待ちに待つのでした 
「わたしはバカなお姫様ではありませんからね 夢を夢見るなんて事も
ありえないってこと 」 
「・・・・・・ 」
「いやよ 絶対に みすぼらしさ 気味の悪さ つまらないほら吹き話
ありとあらゆる醜さを隠した夢なんか 」
「・・・・・・ 」
「夢を待っていると想ったら大間違い 毎夜毎夜 疲れたモノたちが
断りもなくずかずか侵入し 死体のにおいを部屋一杯に満たすなんて
絶対に許せない 」
「・・・・・・ 」

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西日の真ん中へ

2005-10-30 23:21:31 | 写真と虚言
西日のまんなかに
ヘリコプターがおちてくる

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10月29日のほう

2005-10-29 22:12:01 | あんしつ
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ヒマワリはぜいぜい息切らしながら

2005-10-28 20:34:51 | 写真と虚言
<寒さに震える夜明け前に見た 季節はずれの夢>3
ヒマワリはぜいぜい息切らしながら部屋に入ります 女の子は眼を閉じています 
眠っているのではありません これは儀式なのです 湿っている空気 
気味の悪い臭い ヒマワリの身体が少し震えていますが 
少女には 気づかれてはいけないことになっています 
「もっと静に入ってもらいたいものだわ 真夜中って深い深い何かであるべきなのに 
それに あなたのツヤのなさっていったら みていられない 」
「それは 仕方がないことなんだ なぜって ぼくたちは重い重い夏に 
立ち向かってきたんだからね すてきな夜のために 」
「それは わたしのためではなく あなた自身のためのはずよ 
わたしは嫌いなの すてきな色の話し以外は 」
「ぼくたちはなにも語らない きみたちの心の中にお話が生まれるまでは 」
「美しいものがわたしを訪ね 美しくないものは去っていってくれればいいの 
それが夢のごちそうを食べているっていうこと 」

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たしかに子供たちは待っているのです 

2005-10-27 23:46:33 | 写真と虚言
<寒さに震える夜明け前に見た 季節はずれの夢>2
たしかに子供たちは待っているのです たとえ大嵐であっても来てくれないと許せないのです
子供たちの空想の中では 嵐なにするものぞなのです 風速40メートルも見事に切り裂かれ 
ごうごう唸りをあげていても びくともせず 葉の一枚も傷つかず「わたしのベッド」に向かう
ヒマワリ 
吹き上げる風に乗り グライダーのように空中を滑ってやって来るヒマワリでなければ 
ヒマワリとは呼べないのです 
「疲れないかね 夜のヒマワリは汗もかけない魔女さんだな 好かれるを 透かしてみれば嫌
われる 水晶玉に映っているじゃないか 」
「道化師ってのは必要なんだ 寂しくってもね 」
「嘘だよ きみたちヒマワリの思いも 子供たちの思いも嘘だ 夜明けのベッドには枯れ果てた
ヒマワリの死体 子供たちの悲鳴は異常に大きく 駆けつけた親たちはおまえたちをどうするか
よーく知っているはずだよ ヒマワリ 」

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10月26日のほう

2005-10-26 10:01:04 | あんしつ
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静かな静かな夜でした 

2005-10-25 21:36:14 | 写真と虚言
<寒さに震える夜明け前に見た 季節はずれの夢>
静かな静かな夜でした ヒマワリたちが月の光をうけ きらきら身体を輝かせながら歩き出したのです 空気はとても重く 悪魔が大きな身体と長い長い腕を使って ヒマワリたちの行進を邪魔しようと待ちかまえているに決まっています それでも 輝きを消してしまってはいけません 夜が 悪魔の世界であってはなりませんから

「ふざけてはいけないね あの 灼熱の真昼間こそが悪魔の世界ではないのかね 人間どもがヒマワリと名付けたために 精一杯陽を浴びているけれど おまえは光が大嫌いなはずだよ その夏が」 
「そのとおり だからこそ魔女のように夜働かねばならないのさ 子供たちが眠りの扉を開けていてくれるのだから」
「つまり 子供たちだって 光がまぶしくて くらくらしているってことだな」
「どうだろう なにしろ静かな夜の 魔女のようなヒマワリが すきっていうこと」

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ぶっ壊すものがないので 

2005-10-24 20:38:34 | 写真と虚言
ぶっ壊すものがないので 
空に火を噴く ゴジラ 

逃げ場を失い
ゴンドラから飛び降りる 自殺 

走馬灯が 昔話に突入し 
血まみれの細胞を見守る モスラ 

こうして 停滞した1コマ1コマが 
横滑りしながら 語り継がれず 
消えていく

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10月23日のほう

2005-10-23 19:14:33 | あんしつ
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髪の毛どもは逆立ち

2005-10-22 23:46:17 | 写真と虚言
髪の毛どもは逆立ち 
スカートがはためく 

階段では 
老女が 右脚で空気を掻いている 
ゆっくりした 動き 

老女はいっこうに前に進めず 
お腹が 折れるばかりだ 

わたしは 手を差しだす 
老女の手が はにかんでいる 
その手を強く引くと 
老女が はためく 

腕を上下させると 老女の身体が 
やさしく波打つ 

浮かれた気分で 腕を突き上げたまま 
階段を駆け上がり 
昇りきって 手を離す 

老女は 宙に浮いたまま 
あと戻り 
天井に頭を打ちつけ 
壁に背を擦りつけ 
レールを滑り 
ナイロン袋か 新聞紙のように 
風と 遊ぶ 

「モクテキって なければいいのに」 

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