琵琶湖:暖冬で水の循環不全 湖底の酸素濃度低下に
記録的な暖冬の影響を受け、滋賀県・琵琶湖北湖(琵琶湖大橋以北)で、例年冬から春にかけて起きる表面と深層の水の混合「全循環」が観測史上初めて、3月に入っても起きていないことが分かった。最大水深約104メートルと深い北湖では近年、深層で水中の酸素(溶存酸素)の濃度低下が指摘されている。湖底へ酸素を送り込む全循環は“琵琶湖の深呼吸”とも呼ばれるが、温暖化で琵琶湖が“呼吸不全”に陥った状態。生態系などへの影響を懸念する研究者らは10日、緊急声明を出して危機感を表明した。
研究者らがこの日、滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市)で「琵琶湖の全循環と湖底の酸素濃度に関する検討会」を初めて開催。今月9日の観測結果で、水面から水深50メートル程度までは溶存酸素濃度が1リットル当たり10ミリグラム以上あるのに、水深70メートル以深では酸素濃度が6~8ミリグラム程度で、表層と深層の水の性質が異なることなどが報告された。有志の研究者らが、今後も監視が必要などとする共同声明を発表した。
京都大生態学研究センターの永田俊教授は「夏や秋に向けて、深水層の溶存酸素濃度が例年より低下する可能性がある」との見解を示した。【服部正法】
毎日新聞 2007年3月10日 12時34分
記録的な暖冬の影響を受け、滋賀県・琵琶湖北湖(琵琶湖大橋以北)で、例年冬から春にかけて起きる表面と深層の水の混合「全循環」が観測史上初めて、3月に入っても起きていないことが分かった。最大水深約104メートルと深い北湖では近年、深層で水中の酸素(溶存酸素)の濃度低下が指摘されている。湖底へ酸素を送り込む全循環は“琵琶湖の深呼吸”とも呼ばれるが、温暖化で琵琶湖が“呼吸不全”に陥った状態。生態系などへの影響を懸念する研究者らは10日、緊急声明を出して危機感を表明した。
研究者らがこの日、滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市)で「琵琶湖の全循環と湖底の酸素濃度に関する検討会」を初めて開催。今月9日の観測結果で、水面から水深50メートル程度までは溶存酸素濃度が1リットル当たり10ミリグラム以上あるのに、水深70メートル以深では酸素濃度が6~8ミリグラム程度で、表層と深層の水の性質が異なることなどが報告された。有志の研究者らが、今後も監視が必要などとする共同声明を発表した。
京都大生態学研究センターの永田俊教授は「夏や秋に向けて、深水層の溶存酸素濃度が例年より低下する可能性がある」との見解を示した。【服部正法】
毎日新聞 2007年3月10日 12時34分