唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

二流

2006-09-22 17:51:59 | Weblog
とぼとぼと馬を歩ませながら姚令言は考えていた。

「俺はなんだったのだろう」

従う兵も逃げ散ってわずか数人だ。

八ヶ月前、節度使として軍を率い東征に発した自分

雨に打たれ、粗末な給与に激怒した兵達を制することができなかった自分

なりゆきで朱をかついで謀反した自分

反乱の中でも二流の扱いしかうけなかった自分

そして今、叛臣として逃亡する自分

あの時の氷雨がなかったら

皇帝が賞賜の出し惜しみをしなかったら

京兆尹王翃が粗末な飯をださなかったら

俺は決して叛臣などにはならなかった

実直に積み上げてきた俺の軍歴

頂点の節度使までに成り上がった俺

東征で栄誉を受け、忠臣として終わったはずの俺

「俺はなんだったのだろう」

追っ手が背後に迫ってきた

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