QAZのつれづれ日記

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移調と転調の違い

2018年04月16日 | 音楽


楽典によれば移調(Transposition)とはある楽曲を丸ごと他の調に移すこと、転調(Modulation)とは楽曲の途中で他の調に変えることとあります。

移調はカラオケでキー(調)を上げ下げするイメージ、ギターのキーを上げるカポタストのイメージです。
移調楽器である例えばB♭クラリネットの実音は楽譜より長2度低いですのでピアノ譜と同じ高さの音を出すためにはピアノ譜より長2度高く(例えばピアノ譜がハ長調であればニ長調に)移調した楽譜を用いることになります。

移調と転調の違いで注目されることは、移調では調を変えても音符一つ一つの音価(音の長さ)や音符前後の相対的な音程関係は全くそのままであるのに対して転調ではそのままの場合とそのままではない場合とがあることです。
そのままの場合の例では曲の最後の方でサビを半音上げる場合など、そのままではない場合の例では長調から短調への転調などがあげられます。

そのままの場合は曲の途中で移調したと考えることもできますが、あくまでこの場合も転調と言い移調とは言いませんのでよく混乱するところです。
私自身はこの場合移調(あるいは部分移調)と言ったほうがいいのにといつも思うのですが、なぜ転調に含めてしまうのか識者のご意見をお伺いしたいところです。

転調には長調から長調、短調から短調、長調から短調またはその逆と4つのケースがありますが、多いのは転調しやすい同主調(主音が同じ)、平行調(調号が同じ)や属調など関係調(近親調)への転調です。

転調は聞き手に自然に聞こえなければ取って付けたような感じになってしまいますから転調する直前和音の連結に転調を匂わせる工夫がなされるのが普通ですが、ポピュラー音楽などで曲の途中で突然ピッチを全体的に半音あるいは全音上げる転調は突然ギアを入れ変えたような印象を伴うことからトラックドライバー転調と呼ばれたりします。

長調から短調またはその逆の転調で最もよく見られるのは同主調への転調で、長調から短調への転調では♭が3つ加わり、逆に短調から長調への転調では♯が3つ加わりますので楽譜で調号の変化を見ていればすぐそれとわかります。
元々ついていた♭や♯は新たに加わる♭や♯で相殺されます。
例えば♯1つのト長調が同主調のト短調に転調する場合、新たに加わる♭3つのうち1つは元々の♯と相殺され調号として♭2つが残ります。

同主調への転調の代表例(右方向への転調には♭3つ、左方向への転調には♯3つが加わる)
・ハ長調⇔ハ短調(♭3つ)
・ト長調(♯1つ)⇔ト短調(♭2つ)
・ニ長調(♯2つ)⇔ニ短調(♭1つ)
・イ長調(♯3つ)⇔イ短調
・ホ長調(♯4つ)⇔ホ短調(♯1つ)

やたら短い転調を繰り返し多用する現代邦人作曲のマンドリンオリジナル曲に辟易することがあります。
短調から長調への(あるいはその逆の)実に効果的な転調をする素晴らしい曲に出会ったときは本当に「うまいなあ」と感動します。

移調と転調、似ているようですがその違いに注目してみました。




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