厚生労働省は今月から、10年ぶりに改訂された母子手帳を配布します。
今回の母子手帳改訂のポイントは、父親の育児参加を勧める記述や、母親が悩みを
記入する項目があるなど、この10年間で変わった「子育ての常識」です。
この母子手帳は日本発祥の「育児手引き」で、広く世界に普及している「ジャパン
ブランド」なのだそうです。
実は昨年9月、私は国連人口基金(UNFPA)の主催による、国連ミレニアム開
発目標(MDGs)の母子保健分野における活動が予定通り実践されているか確認す
る仕事でラオスを訪問してきました。
その折りに、この母子手帳が「ラオス版母子手帳」として翻訳され、識字率が低い
地域においてもイラストなどでわかりやすいよう工夫されていることを知りました。
ラオスでは、「妊婦が一人で山奥にこもり出産をする」といった伝統を持つ部族が
いるなど、出産や育児に関しては独特な風習があったのだそうです。
そのため、妊産婦と乳幼児の死亡率が極めて高く、近年では国際的に問題視されて
きました。
そこで、ラオス版母子手帳が配布され、衛生面や栄養面など、これまでは重視され
てこなかった具体的な問題点について改善が徐々になされ、実際、UNFPAの調査
によると、妊産婦と乳幼児の死亡率が10分の1以下になりました。
このように、母子手帳は、日本発のジャパンブランドとして広く世界に普及し、多
くの命を救っています。10年ぶりに改訂がなされた母子手帳が、新たに産まれてく
る命を守り育んでいくことを願ってやみません。