プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

池田弘

2021-02-02 13:53:49 | 日記

1977年

ドラフト指名六選手のうち、投手がただ一人、野手重点が目立ったことしのライオンズの新人補強、他球団が投手に偏りをみせたこともあって、異彩を放っているが、ライオンズにはそれなりの理由がある。その一つが昨年ドラフト六位、池田弘投手(鷲宮製作所)の期限切れ直前の滑り込み入団。ことしのドラフトで近鉄が一位指名した「柳川商の久保以上」(毒島スカウト)という実力に期待は日ごとに高まっている。トレードで日本ハムに移った佐伯をほうふつさせる右の本格派、181㌢の長身。日南商から鷲宮製作所に入って四年目のことし、メキメキ頭角を現した。山本良材投手(阪急がことし六位指名)と交互にマウンドに登ったことしの成績は、16試合に投げて12勝2敗、114回で被安打109本、62奪三振、30与四球、24自責点、防御率1.89と立派な数字だ。「長身から投げおろす真っ直ぐはもちろん、大小二種類のキレのあるカーブが武器。スライダー、シュートもひと通り持っているしとにかく楽しみな投手です。ことし各球団から指名を受けた投手の中で、真っ先に第一線に出てくるのは、やはり池田でしょう」ルーキーに厳しい目を向けることで有名な毒島スカウトが押した太鼓判。池田本人も「ポッと出の高校生や大学生と比べられる方がおかしい」と胸を張って、期待はふくらむばかりだ。日南商ー鷲宮製作所とたどったコースは不遇。高校時代は県予選のよくて二回戦までだったし、社会人になっても在籍四年間で、都市対抗とスポニチ大会出場が一度あるきりだった。だから、社会人のベストナインに選ばれたこともなければ、賞をもらったこともない。無名の中の無名選手。「だけど、無名だからプロではやりやすいと思うんです。それに無名のぼくには貧乏人のド根性というやつがあります」と、マユひとつ動かさず、それでいてさらりと池田は言う。球界に久しく絶えていたハングリー・ガッツが、ライオンズには頼もしい。「契約金はオヤジに全部やったんです。家をたてるのが一家の夢だったから」実家は広島がスプリング・キャンプを張る宮崎県日南市大字平野、天福球場のすぐ真下。ふた間きりの借家で五人の子供を育てた父親・重光さん(54)の苦労はおして知るべしだろう。「中学で野球をやってきたときはグラブは借り物、ユニホームは買ってもらえず、一年間タイツで過ごした」そんな池田にあこがれのプロ野球の生活はかけ足でやってくる。二十二日に会社を円満退社した。実家でキャンプを待つばかり。もちろん、日南海岸の梅ヶ浜で、ランニング主体の個人練習に取り組む作戦だ。輝かしい未来に向かって池田は言い切った。「外木場さんが目標です」


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