矢野正之

1997年
ジュニア球宴で矢野が、ウエスタンの先発として2回を無失点に抑えた。だが三振は一つだけだった。「真っすぐは走っていたけれど（三振が少ないのは）寂しすぎますね」とマウンドでの結果は、満足できるものではなかった。横浜・霧が丘高出身。神奈川県大会の行われた相模原球場では一度も投げたことがなかった。高校には五年間も在籍。140㌔の球を投げても授業をさぼったことで登板機会は与えられなかった。実現した夢マウンドを見ようと観客席には家族や友人が訪れた。プロ入りしてから、関東では初めての登板。二軍にいる限り、今後のその機会はない。「次は一軍に上がって、横浜球場で投げたいですね」新たな夢マウンドに向かって突き進む。


自慢の140㌔台の直球がズバッと決まった。全ウの先発としてご当地のマウンドに上がった阪神・矢野が2回を投げ無失点と、与えられた役目を十分果たした。神奈川・霧が丘高校では二度留年し、5年間高校に通った異色の経歴を持つだけに、相模原も慣れ親しんだ場所。「きょうは80点。でも、全部三振を狙っていたので、ちょっと残念」と奪三振が１だったのを悔やんだが、二回に右前打と四球で無死一、二塁のピンチでは、焦らず後続をピシャリ。スタンドに駆けつけた家族を喜ばせた。「後半戦へのきっかけにしたい」と矢野。イチロー、伊良部といまをときめくスターを生んだ晴れの舞台で、矢野は自信という財産をつかんだ。