ご無沙汰ですねぇ。どこかで再開してくれればいいのに。
いまだに在り処の定まらない飛鳥武蔵の、生々流転が完了しそうな物語としても『柳生暗殺帖』はおもしろいです。自分探し、という言葉は好きではありませんが、そう云いたくなるほど、この人は迷ってる。
まず、五輪(※01)の戦士と帝(インドラ)+四剣王の関係をおさらいします。
※01:方位は五気(土用、冬、夏、秋、春)で当てました。
- (央)空ノ守:飛鳥武蔵(らしい)
- (北)風ノ守:小次郎 -《天風剣》(※02)
- (南)火ノ守:伊達総司-《緋炎剣》
- (西)水ノ守:
- (東)地ノ守:
- (央)帝釈天:帝(インドラ)-《柳生暗殺帖(インダラヴァジュラ)》
- (北)多聞天:是音
- (南)増長天:柳生蓮夜(らしい)
- (西)広目天:吹雪
- (東)持国天:
※02:ただでさえ、ややこしい人間関係に揉まれている小次郎は、五大明王の不動(央)、五気の冬(北)、風魔一族(五行の東)、天風剣(八卦の南)、虎(四神の西)、と四通八達です。万能だな、おい。
連載中は、無名(武蔵)は持国天の座を奪い、空の戦士の魂は小桃が開いた“門”から我流羅(ガルラ)の肉体へ転生するのかも・・・と思っていましたが、よくよく考えるとそうじゃない。
剣が2本ある。
空の剣と、持国天の剣。どちらも長刀。
イベントを時系列に並べると、
- 『夜叉篇』以前
300余年前、柳生は表(風ノ守に従う一族)⇔裏(羯磨衆)に分かれる。
“火”の里が帝(インドラ)と契約した羯磨衆によって滅びる。 - 『夜叉篇』
柳生蘭子が聖剣《風林火山》を風魔の小次郎に還し、四剣王の武具が表の守護=裏の封印としての役を終える。その後、多聞天(ヴァイシュラヴァナ)、持国天(ドリタラーシュトラ)、広目天(ビルヴァークシャ)の武具は羯磨衆の手に渡る。 - 『聖剣戦争篇』
「華悪崇の乱」で103流ある忍の一族が壊滅状態となる。
十聖剣が失われる。 - 『風魔反乱篇』
“風”の里で内乱が起こる。 - 『柳生暗殺帖』以前
“風”の里が「鬼面党事変」でほぼ滅びる。
“空”の里で、無名が我流羅を斃す。無名は空の一族が護っていた剣を手に入れる。我流羅は頑摩(転生人造体γ)とされ、仮の持国天として剣を与えられる。
武蔵が本当に空の戦士であるならば、人と剣の関係はすでに正常です。
そして頑摩は小次郎に斃され、結局、持国天は空位のまま。お札をベタベタ貼られた剣もぶち折られ、さらに短くなって真価を発揮しないまま。
五輪の里は、羯磨衆に介入されてことごとく滅ぼされたっぽい。“水”も“地”もヤバそう。
だとすると、ヤな感じに妄想が膨れるわけです。無名が“空”の里(虚空楼)でなにをしたのか。どうしてあそこが空っぽだったのか。
- 「いちばん望むところへお帰りなさい・・・」で、武蔵は「月」から真のルーツである“空”の里へうっかり「帰還」した。
- そこで、「化け物」としての力が空の一族(のDNA)に由来することを知った。
- 「空ノ守」としての宿命を聞かされ、またか、とキレた。
ヤっちゃったんじゃないでしょうね。同じDNAを持つ一族を。皆殺し。
強い、強いと名を売った傭兵でも、本人はちっとも怖れられたくも闘いたくもなかったわけで、それが、
(俺、もうたくさんだからどこかで死んだように生きる・・・)
ではなくて、
(俺は世界をぶっ殺して“神”を消滅させてやる!)
と、ある意味で生きる意欲を滾らせたきっかけはあったはず。
武蔵は不幸慣れしすぎて、自ら退路を断ってしまうようなところがあるので、今さらなにが同胞だ、そのせいで俺は、とぶっキレたら・・・やりかねない。
いつ、どこで是音(ゼノン)と会ったのか。虚空楼でどんぴしゃ、だったのか。武蔵が無名であるかぎり、五輪の戦士は揃わないのかもしれない。
それを知っている是音は余裕しゃくしゃくだけど、持国天もまた羯磨衆から離反しているのかもしれない。
裏切りの裏切りが、帝(インドラ)を倒すため、最後に切られるカードなのかもしれない。
ほらぁ、おもしろいじゃん。
知りたいから続きを読ませてくださいよぉ。
死が死でないことを絵里奈ちゃんに教えてもらったら、武蔵の長い旅も終わるだろうに。小次郎にシバかれないとダメかね。やっぱり。
おまけで、いかにも虚空蔵っぽい武蔵のお名前拝見。
- 武:
止と、戈(カ、ほこ)とを合わせて、武器を持って歩く意、ひいて、ひとまたぎ、また武勇の意を表す。
①ひとまたぎ。半歩。「歩武」
②たけし。いさましい。強い。「勇武」
③兵威。軍事。[対]文。
④軍人。もののふ。
⑤ほこる。あなどる。
⑥戦いの術。武芸。
⑦武官の冠。
⑧あと(跡)。あしあと。
⑨武夫(ブフ)。①さむらい。武人。軍人。勇士。②玉に似た美石。[同]碔砆
- 蔵:
艸(くさ)と、臧ソウ(かくしてしまう意)とで、草でおおいかくす意、ひいて「かくす」「おさめる」の意を表す。転じて、「くら」の意に用いる。
一
①かくす(匿)。かくれる(かくる)
(ア)身をひそめる。身を退く。「行蔵」
(イ)人に知られないようにする。「腹蔵」
(ウ)物をかくす。
②おさめる(をさむ)。たくわえる(蓄)。しまっておく。「貯蔵・収蔵」
二
①くら。物をしまっておく所。「土蔵」
②[仏]すべてを包みおさめるもの。「法界蔵」
③「西蔵チベット」の略。
な、なるほど。武力は「戈(ほこ)で止める」力のことなんですね。なにかを止めることが本来の性質なんだ。
- 止:
足あとの形にかたどり、あしの意を表す。趾シのもとの字。ひいて、「とどまる」意に用いる。
①とまる。とどまる。
(ア)立ちどまる。「停止」
(イ)じっとして動かない。「静止」
(ウ)いる。「居止」
(エ)やすんじる(安)。おちつく。「止足」
(オ)あつまる(集)
②とめる(とむ)。とどめる(とどむ)
(ア)禁じる。「禁止」
(イ)ひきとめる。
(ウ)おさえる。「制止」
(エ)とらえる。
③やめる(やむ)。やむ。
(ア)中止する。
(イ)すてさる。
(ウ)なくなる。なくする。
(エ)おわる(終)
④ようす。ふるまい。「挙止」
⑤ただ。わずかに。「止可二以一宿一 ただもってイッシュクすべし」[荘子・天運]《国語》とどめ。人を殺し息の根をとめる。
参考資料:
『福武漢和辞典』(福武書店)
懐かしい名前にビビビときました。
連載再開されてほしいですよねえ。
無名が「空」の境地にいるのなら、呼び戻せるのは「色」でしょうか。
小次郎や総司たちのド派手な色で染め上げればいいと思います。
逃げてもムダです★ベッタベタ
柳生一族の陰謀、という気がせんでもないですが、ランコレンヤ(漫才師か)の動向と是音サマの絡みも気になりますし。
本当に、連載再開されてほしいですよね~!
(↑無限ループ)
こんばんは。つい最近、ビビビと来たので書いてみました。なんの電波だろ。
>「空」・・・「色」
ああ、あいつ、「空」の境地にいるつもりで「色」に染まりまくってるんですよ。
小次郎と総司、2人に責められて口からなんか吐けばいいと思います。ドMだから。
>ランコレンヤ
そうですね。そもそも柳生一族の分裂が引き起こした一大事、あの姉弟と是音の絡みは必至でしょう。再開されれば。
再・開・さ・れ・れ・ば。