project-REN

南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【大河ドラマ】『天地人』-惜しい! 元亀4年-天正9年までやり直して-(第18回『義の戦士たち』)

2009年05月04日 01時39分44秒 | テレビ番組

惜しい、惜しいぃぃ。
本気で惜しい魚津城合戦。なにが惜しいって、いろいろよ。さまざまよ。
ぶつかり合う小さな義と義が、この魚津城合戦で大きな義に統合されるさまを徹底的に描けばよかった。それを観たかった。今までぶつかり合っていたのは情と情にしか思えない。

直江兼続(妻夫木聡)は織田勢15,000に対して数千の兵で持ち堪えてきた戦いの意味、すでに散った命の意味を、吉江宗信(山本圭)に問われて言葉が出ない。
いくさで越後の地を服従させることはできない。人の心は力で支配できない。死して「上杉の侍」を天下に示す、という宗信。

(宗信)「ここで降伏しては、これまでのわれらの戦いは無に帰す」

いや、生きてこそ「上杉の侍」は天下に示せるもの、と説き伏せようとする兼続。

(兼続)「1人でも多く、生きて帰っていただきたい。これは殿の御意にございます!」

両極(生と死)の手段で同じものを守り、同じものを貫く。このたったひとつの軸に絡む2つの螺旋が、

  1. 上杉景勝(北村一輝)と景虎(玉山鉄二)の対立
  2. 上杉謙信(阿部寛)の死と「御館の乱」
  3. 織田勢の侵攻

を経て、大きく、強く交錯していたら。それが魚津城で老いた宗信と若い兼続の世代交代に昇華され、泣かない、と誓った兼続が、幼なじみの安部政吉(葛山信吾)との別れが辛くて泣き、

(景勝)「兼続。われらの戦いはこれからじゃ。信長風情になぞ負けぬ!」

若き棟梁の景勝が、これぞ上杉の義!と高らかに宣戦布告していたら。
きっと号泣した。ティッシュどころかバスタオルだった。惜しい。
戦国の世だからこそ、死を死のままに置かない(紅葉とする)器量が備わっていた兼続は若くして家老にとり立てられたのではなかったのか。それが彼の人を活かす道、その美しさを(毘沙門)天は愛する・・・で、どうよ。
あ、でも戦国武将ってそういうものだったような気がする。あれ、じゃ、兼続は普通なのか・・・いや違う、このドラマの兼ピーは普通じゃない。「ラブ・アンド・ピース」だった。混乱してきた。

織田信長(吉川晃司)はともかく、羽柴秀吉(笹野高史)、徳川家康(松方弘樹)らの動向はそれこそナレーションでよかったんじゃ・・・と思いますよ。知名度の高い武将と知り合いになっても兼続の辣腕が映えるわけじゃない。そういうのを、虎の威を借るなんとかって云うんですけどね。
ま、これも個人の好み、ドラマと反りが合うか合わないか、是非に及ばず!
おっと来週はその「人間五十年」、第19回『本能寺の変』だ。魚津城合戦に絞ってやればいいのに・・・ちゃんと上杉の、越後の話をしてくれれば・・・。
どんな『天地人』を観たかったのか、わかってすっきり、もやもやが晴れました。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なぎらさま、おっはようございます☆ (きつね)
2009-05-04 10:43:00
なぎらさま、おっはようございます☆

「義の戦士たち」見ました!(脳内BGMは「サラバ宇宙戦艦大和」で)
ひさびさに汚れた甲冑を見た気がします。
こういうのを見ると、戦の場面はなくても臨場感が高まりますね~。
(相変わらず兼続のクビから上は綺麗なままでしたけども;←どんな泳ぎ方したのよ)

泣かせる展開でしたけども、お言葉どおり「義」というより「情」。。
もっとストレートに「感情的」と言ってもいいレベルに思いました。
コッソリ魚津を囮に仕立てるのが「義」なの~?と、こちらも感情的に突っ込んでしまう;

でも、「天地人紀行」で取り上げられた連番状で、魚津の面々の「義」を実感しました。
順当にこちら寄りの話にしてほしかったなあ、と思いましたですハイ。

次回は本能寺のようですが、森蘭丸のカゲが薄い!
(お兄ちゃんは名前だけ出ていたようですが)
そして初音のカゲが濃すぎます。
いっそ 初音=蘭丸 でもいいような気がしてきました。
炎上場面のBGMにモニカが流れても驚かないと思います。
来るなら来い!

...なんだかんだで結構期待してます。
ど、どーなるんでしょうね??
返信する
きつね様 (なぎら)
2009-05-04 12:08:21
きつね様

おっはようございますー☆
観ましたよー、ほんとにアニメ(CG)だった(^∇^)。
昨日のMVPは圧倒的に吉江のおっちゃん。
上田衆が感情的なだけ、籠城で餓え(握り飯をほおばる余裕はあるらしい)、ここで死花を咲かせる、と覚悟した者の冷静が際立っていました。

>汚れた甲冑
その代わり、泳いで潜入したはずの兼続の着物がヤケに乾いていたのが気になりますが・・・家老がいきなり水に跳び込んで、足でも攣ったんですかね。

>魚津を囮
あと4キロまで迫ったのに、どうしても本丸に近づけない、助けられない、織田勢が越境してきた、ここで退き陣とは・・・
(景勝)「宗信、許せ!」
(兼続)「仁介ぇぇぇ!」
って、フツーにやってくれればよかったんですよ、連番状を活かして。そうしたら・・・

>モニカ
秀吉が信長に宛てた援軍を乞う書状が「織田殿」だったので、ひぃい!と震え上がりました。サルが殺される! あれ、上様は「ふっ、かわいいやつよ・・・」とご機嫌が麗しいようです。なんで?
いっそ、森蘭丸=男装の麗人(初音)で本能寺を落ち延び、亡き上様を偲びながら暗躍し続ける、みたいなファンタジーでもよかったですね。
信長@モニカなら、エレキギターで光秀に応戦してもいいんじゃないでしょうか。幸若舞もそれで。
「人間五十年んんん! 下天の内を比ぶればぁあああ!」
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。