森井教授のインターネット講座(神戸大学大学院工学研究科教授 森井昌克)

1996年から2009年3月まで朝日新聞に連載してました森井教授のインターネット講座のネット版(もどき)です。

リアリティの追求: ハナコアラもか??

2005年09月23日 11時57分33秒 | Weblog
お仕事の話から。 広く「通信」に関する研究を行っているのですが、そのなかでコミュニケーションのリアリティを求めるという研究というか、考え方があります。「臨場感通信」というのも、そのなかの一つですが、実際の対話や会合と同じように、通信技術を用いてコミュニケーションを取るという技術の開発も重要で盛んに行われているのですが、そうではなくて、コミュニケーションを取ろうとするする人にとって違和感の無い、あるいは求めている環境を作り出すという意味での「リアリティ」を求めるという考え方もあります。アニメなどはその典型でしょう。(少し違うかもしれませんが、彫刻などもそうかもしれません。抽象芸術はともかく、たとえば「ミロのビーナス」にしても究極の美、身体のような扱われ方をしてますが、あのような体系の人間はいない、あるいはいたとしても、かなりアンバランスだそうです)いわゆるアニメのリアリティをいくら追求しても、やはり実際の存在物ではなく、アニメなのですから。

で、どうしてそのような話を取り上げたかというと、相変わらずTVを流していると、損保会社のCMが流れていました。3匹のコアラが出ていて(ハナコアラというそうです)、そのコアラが自動車の屋根に木から落ちてきて、踊りだすのですが、3匹とも同じ振り付けで踊るのですが、微妙な違いや遅れで踊っているのです。感心しました。アニメですから、まったく寸分も異ならずに、同じ振りで踊ることが出来るのですが、わざと、少しずらしているのです。確かにまったく同じだと少し違和感があり、リアリティに欠けるのです。

こういうテレビの見方は職業病です。