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アラン・ムーア/デイブ・ギボンズ「WATCHMENウォッチメン」

             

 荻原魚雷著「活字と自活」で紹介されていたアメリカンコミックです。「SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞し、タイム誌の長編小説ベスト100にも選ばれた、グラフィック・ノベルの最高傑作!」という宣伝文句が使われています。3570円と高額ですがそこまで言われたら読みたくなります。アマゾンで注文すると1週間で届きました。

 A4版サイズで400ページ超です。A4サイズ規格で文学を超えた(?)漫画に以前ご紹介した「マウス」と「風の谷のナウシカ」がありました。同じような豪華装丁作品に期待は膨らみます。

 アメリカンコミックといってもどういうものか私も承知していませんでしたが、次のような劇画です。

          

 1930年代から1970年代にかけてアメリカで活躍したコスチューム(仮装)・ヒーロー。その後、自警行為の禁止により、ほとんどのヒーローは引退して新しい人生を歩んでいます。時は1985年。ソ連がアフガニスタンに侵攻して東西の緊張感が高まる世相の中、コスチューム・ヒーローの一人が殺されます。続いてまた一人、罠に掛けられ…。不審に思ったアウトローで今だにヒーローを続けるシミコスチューム男が捜査を開始する。元ヒーロー達の昔の光と影も明かされながら事件は展開して、シミコスチューム男にも悪の手が迫る…。

 全12章立てなのですが、章と章の合間に元コスチューム・ヒーローの自伝的手記や当時の新聞記事などが挿入されて、ストーリーの補足をします。
 なかなか面白いのですが、噴出しのコメントも長くて文学的です。体形の崩れた昔のヒーローが登場して、若干コメディータッチなのかと思いきやそうでもなく、壮大なSFの構想もあって、どう捉えてよいのか難しい作品です。魚雷氏も「難解かつ壮大な怪作」と書いています。一読、楽しかったとシンプルに言える作品ではなく、いろんな解釈が可能な現代漫画です。これまでに読んだことのないジャンルの難作、読み返さないと十分な理解は容易でなさそうです。


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