「フルトヴェングラー THE GREAT EMI RECORDINGS」

             

 映画の帰りは横浜モアーズのタワーレコードに寄って、フルトヴェングラーのリマスターを選びました。今月のお小遣い残状況からは2枚くらいまでです。
 ベートーベンの「1番&英雄」と「運命&7番」の2枚とイメージしていましたが、ブラームスの1番も聴きたいなあ、でもフルトヴェングラーのブラームスなら4番だよなあなど迷っていると、何とボックスがありました。前回も脇に置いてあるのは知っていましたが既存のモノかと思っていました。今回の新リマスター8枚を含む全21枚、輸入盤で5300円です。一枚あたり250円、安い! 国内盤のSACDなら3300円、その差は3050円です。勿論SACDではありませんが、今回はデジタル・リマスターによる生まれ変わりなのでそんなに違いはない筈です。

 これからじっくり聴きますが、当分、至福の時間を楽しめます。



CD1(新リマスター)
1. ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 作品21
2. ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

⇒第3番は1944年のウラニアのエロイカなどヒロイックな演奏もありますが、これは1952年のバランスのよいスケールの大きな演奏です。キズはほとんどありません。感動的なウラニア盤の価値は録音悪くとも永遠ですが、この音質だと1952年盤の評価もそれに肉薄します。この時代のウィーンフィルの力強さ、美しさです。録音が悪い演奏ではオーケストラの違いはあまり拘りなかったのですが、ここまでクリアになるとウィーンフィルの良さが光ります。

CD2(新リマスター)
1. ベートーヴェン:交響曲 第2番 ニ長調 作品36
2. ベートーヴェン:交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

⇒第2番は1948年の録音。1950年を境に何らかの録音技術の向上があったのか、1940年代はさすがに古い。リマスターしても音は靄の向こうです。第4番は端正でゆったりしていて大きな演奏。弦の繊細な音が素晴らしい。他のディスクもですがフルートの音が印象的、芳醇な響きがあります。第4番はクライバーやムラヴィンスキーの推進力のある演奏を聴き慣れてきましたが、この録音の演奏は美しい、何て優しい曲なんだろうという感動があります。

CD3(新リマスター)
1. ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」
2. ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

⇒第7番の音源が世界初リリースだそうです。第5番、第7番ともにがっちりと構築されます。ピアニシモが有機的に演奏されるのでその対極にあるフォルテシモが半端なく巨大です。ティンパニのさく裂には驚かされます。

CD4(新リマスター)
1. ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2. ベートーヴェン:交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
 ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

⇒フルトヴェングラーのベートーヴェンは奇数の印象が強かったのですが、第4番、第6番、第8番と偶数も凄くいいです。第6番はたっぷりと呼吸して音楽が悠々と流れます。単なる自然の描写ではなく、幸福感溢れる地球賛歌。それにしても自然です。力が抜けきっているのですが弛緩せずにこれしかないという音楽になっています。第4楽章‘嵐’でもこの世の終わりのような脅かしはなくあくまで自然です。これまで聴いてきた田園とはちょっとスケールの違う演奏です。第8番も1948年のライブ録音で音質は十分ではありませんが天空を駆ける爽快感、躍動感が魅力です。

CD5(新リマスター)
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
 エリーザベト・シュヴァルツコップ、エリーザベト・ヘンゲン、ハンス・ホップ、
 オットー・エーデルマン、バイロイト祝祭合唱団、管弦楽団

⇒SACDとCDの違いは私の耳、我が家のオーディオではよく分かりません。強いて挙げると残響面で5%くらいの違いがあるような・・・(はっきりとは断定できません)。

CD6
1. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
 エトヴィン・フィッシャー、フィルハーモニア管弦楽団
2. バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番
 ユーディ・メニューイン、フィルハーモニア管弦楽団

CD7
1. ベートーヴェン:協奏曲(ヴァイオリンと管弦楽のための)ニ長調 作品61
 ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団
2. メンデルスゾーン:協奏曲(ヴァイオリンと管弦楽のための)ホ短調 作品64
 ユーディ・メニューイン、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD8&9
ベートーヴェン:フィデリオ 作品72(全曲)
 マルタ・メードル、ヴォルフガング・ヴィントガッセン、ゴットロープ・フリック、
 オットー・エーデルマン、アルフレート・ポエル、セーナ・ユリナッチ、ルドルフ・ショック、
 アルヴィン・ヘンドリクス、フランツ・ビアバッハ、ウィーン国立歌劇場合唱団、
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

CD10(新リマスター)
1. ブラームス:ハンガリア舞曲集
2. ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56a「聖アントニ・コラール」
3. ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

⇒ブラームスの4曲も新リマスターですが、ベートーヴェンと比較すると第1番以外はそれ程凄いという驚きはありません。勿論、演奏としては最高水準であることは変わらないのですが。第4番第3楽章のド迫力のリズムが堪りません。

CD11(新リマスター)
1. ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73
2. ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

CD12(新リマスター)
1. ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98
2. ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 作品62
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
3. ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第2番 作品72a
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD13
1. ブラームス:ヴィオリン協奏曲 ニ長調 作品77
 ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団
2. ブラームス:協奏曲(ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための)イ短調 作品102
 ヴィリー・ボスコフスキー、エマヌエル・ブラベッツ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

CD14
1. モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2. チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74「悲愴」
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD15
1. R.シュトラウス:ドン・ファン 作品20
2. R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28
3. R.シュトラウス:死と変容 作品24
4. フルトヴェングラー:交響的協奏曲 ロ短調-アダージョ
 エトヴィン・フィッシャー、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

CD16-19
ワーグナー:トリスタンとイゾルデ(全曲)
 キルステン・フラグスタート、ルトヴィヒ・ズートハウス、ブランシュ・テーボム、
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ヨゼフ・グラインドル、エドガー・エヴァンス
 ルドルフ・ショック、ロデリク・デイヴィース、
 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス合唱団、フィルハーモニア管弦楽団

CD20
1. ハイドン:交響曲 第94番 ト長調「驚愕」
2. ケルビーニ:「アナクレオン」序曲
3. シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D.759「未完成」
4. リスト:前奏曲 S.97
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

CD21 フルトヴェングラーの思い出
 アルド・チッコリーニ(ピアノ)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)、ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)、 ペーター・ゲルホーン(指揮者)、ベルトルト・ゴルトシュミット(指揮者)、フィルハーモニア管弦楽団のメンバーとしてフルトヴェングラーと演奏したプレイヤーたち 他




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