庄司紗矢香「バッハ&レーガー 無伴奏ヴァイオリン作品集」

             


 庄司紗矢香についてはレーベル、協演者の顔ぶれからかなりレベルの高いバイオリニストなんだろうと想像していましたがこれまでディスクを手にする機会はありませんでした。
 先日、横浜モアーズのタワーレコードで良さそうな雰囲気のジャケットに惹かれて試聴したところ、とてもよい印象でした。バッハの無伴奏。シェリングのノーブルな絶対盤があり、クレーメルの斬新な解釈のスケールの大きなディスクもあり、これ以上不要の整理でしたが、グールドのゴルドベルグに対するシフリッツの瑞々しい演奏に似た清々しい録音の期待で購入しました。

〔DISC1〕
1. レーガー 前奏曲とフーガ ト短調
2. バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番
3. レーガー 前奏曲とフーガ ロ短調
4. バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番
〔DISC2〕
1. レーガー シャコンヌ ト短調
2. バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番

 初めて聴いたレーガーの無伴奏とバッハの無伴奏が交互に置かれているという変わった構成になっています。レーガーの無伴奏はバッハ無伴奏に感化された雰囲気の似通った曲です。これはこれで楽しめます。

 肝心のバッハはソナタ1番、パルティータ1番にパルティータ2番が録音されています。ゆったりとしたテンポ、大きく呼吸していて安定感があります。シェリングから聴こえる深い精神性とは違ったいい意味での軽さ、明るさ、伸び伸びとした新鮮な感性が感じられます。ただ、過去の演奏様式を一概に否定するわけでもなく一番いいと思える演奏を追求している真摯な姿勢が感じられます。完成度は高いです。技術的な冴えと若々しい感受性のバランスがいい響きに繋がっています。

 聴き続けているとバッハにどっぷりと浸れます。シェリングのバッハを聴くときにはそれなりの覚悟が必要ですがこの録音は純音楽的で気軽に聴き始めることができそうな気がします。

 最後のバッハのシャコンヌも古くて新しい感性、確かな説得力のある演奏です。初めて聴きましたが、庄司紗矢香のヴァイオリンはとてもいいです。




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