カザルス「バッハ 無伴奏チェロ組曲(全6曲)」(SACD)

            

 EMIクラシックスの名盤SACDシリーズからもう一枚。カザルスのバッハ無伴奏です。こちらも外せません。

 バッハの無伴奏チェロ曲第1番~第6番を史上初めて録音し、この曲の魅力を世の中に知らしめたカザルスの名盤です。1936年から1938年にSPレコード(といっても何か知りませんが要するにテープ以前の原始式)に収録したものです。録音が悪くても絶対的なバイブルとされる歴史的演奏はいくつかありますが、フルトヴェングラーのバイロイト第9と双璧でしょうか。

 改めて旧CDを復習してから、SACDに耳を澄ませます。これは凄いです。ここまで音が生まれ変わるとは想像していませんでした。技術の進歩、関係者の貢献は驚異的です。
 旧盤も古いとはいえ魂に訴えかけるリアルで強い力を持った演奏でした。ただ、音の歪みはあった。録音は1930年代だし仕方ないよね・・・それが、収録70年後に原音が現れました。元々の響きなんだと思いますが、厚みのある自然な音です。これまでは少し離れて聴いているような印象でしたが、今回、音が迫ってきて、どっぷりと旋律に浸かれました。これが本来の音楽の楽しみ方ですね。

 全て素晴らしいのですが、強いて挙げると、第1番の自然な広がりと愉悦感、第5番の深み、第6番の繊細な表現。それぞれの曲の特徴・演奏の違いをはっきりと感じることが出来るようになりました。このSACDもバイロイトの第9リマスター同様に事件です。


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